❅"口にしてはいけない砂時計"
"口にしてはいけない砂時計"
少しずつ少しずつ減っていく2つと疎らな砂時計。
___僕を見てよ。
あとどれくらい一緒に居られるだろう。
___僕の話を聞いて。
あとどれくらい一緒に笑えるだろう。
___僕に笑いかけてよ。
あとどれくらい愛しく思って貰えるのだろう。
___僕を抱きしめて。
色付いた世界が褪せて。
___抱きしめ合う2人を眺めて。
___見えない壁。
もう戻れない?
____ 既にきっと落ち終わった砂時計。
もう一度?
繰り返す始まり?
___寂しい。
何度も何度でも。
慣れはしない砂時計。
いつも我慢しても顔が見えなくなると勝手に流れてくる。
泣かない片割れ。
___僕が弱いから。
閉まった玄関を眺め勝手に流れてくる。
_静寂。
乱暴に袖で拭って。
_無音。
あとどれくらい愛してくれる?
_車の鍵の音。
_荷台があいた。
目頭が熱くなって頭が警鈴を鳴らす。
砂時計はあといくつ。
あとどれくらい僕を見てくれるの?
帰り道をベランダから覗いて。
やっぱり見送りに行けばよかった。
見せられない顔。
慣れない焦燥。
探す 過ぎ去る見慣れた車。
洗濯物の干しの金属が手から熱を奪っていく。
何十回繰り返すひとつの砂時計。
乱暴に拭いつづけた頬がヒリヒリとうるさい。
夜風が僕の心を冷やしていく。
一瞬建物の隙間から見えた君にまたひとつ涙零れた。
それは"口にしてはいけない砂時計"




