ゆいこのトライアングルレッスン 放課後~君のこと独占したい雨上がり(たくみの視点)~
「下野紘 巽悠衣子の小説家になろうラジオ」の名物企画「ゆいこのトライアングルレッスン」に応募して採用していただきました物語のたくみ視点です。
ゆいこ、ひろしの視点も書きましたのでよかったら、
ゆいこ→たくみ→ひろしの順で読んでいただけたら幸いです。
さらに2年後のストーリーとして、「ゆいこのトライアングルレッスンH~観覧車でタブルサイドハグ?!~」につながります。
「あーこれ、雨来るな。」
ゆいこと右隣で三角関数を教えるひろしとの距離の近さに、身を離したくて、教室の窓際に行って急に暗くなった空を見上げる。
「残らせちゃって、ごめーん。でもさ、授業だけではわからないことが、ひろしとたくみの解説があると理解できるんだよねー」
ひろしと一緒にされるのは釈然としないが、ゆいこから必要とされるのは純粋に嬉しい。
「ゆいこにそう言われちゃ仕方ないなぁ。どこまで進んだ?」
と言いながら、ゆいこの前に座り頬杖を着く。
その瞬間だった。教室にまぶしい光が走り、ドッシャーンと大きな音。と同時に、頬杖をついた方の腕がつかまれゆいこが悲鳴をあげて下を向く。ゆいこの右手には、隣でノートに書き込み中のひろしの右手が握られいた。
また、ひろしと一緒かと少し残念に思えたが、負けてられないという思いも混ざり、左手でゆいこの頭に手をポンポンと置く。
「ゆいこの雷嫌いはいつまでたっても治らないねー。」
「少しだけ…このままでいさせて…」
ゆいこのか細い声に守ってやりたいという思いが膨らむ。しかし、目の前には右手を握られ、後ろからゆいこを覆うように、左手をゆいこの頭にのせてポンポンとしているひろしがいる。そのいとおしそうにゆいこを見つめるひろしに耐えられなくて、沈黙をやぶる。
「こんな急な雷、すぐ終わるよ。雨やんだら、虹見えるんじゃないかなぁ。」
ゆいこがパッと顔をあげ、
「じゃあ、屋上行って、雨上がりを待とう!!」
雷はまだ鳴っているのに、さっきの小さくなっていたゆいこは消え、笑顔になっていた。そのまま立ち上がり屋上へと急ぐゆいこを、追いかける。
屋上に着いて、少し待つと空が明るくなって来た。
「虹みーつけた!二人とももっと見えるところへ行こう!」
と、ゆいこの明るい声とともに、手を引っ張られる。ゆいこを見るともう一方の手は、ひろしの手をつかまえていた。
やっぱり一緒かよ。でも、来年卒業するまでには、ひろしを追い抜いてやるからなと、空に架かる虹に宣言したのだった。
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