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カウントダウン4(ダンバート視点)

「あの無礼な男爵令嬢、ボクに任せてもらってもいい?」


 ナティコトの言葉に、思わず眉をしかめそうになってしまう。

 多分、ナティコトの事だし、言葉通りにあっさり殺しちゃうんだろうな。

 あの男爵令嬢をあっさり殺すとか、やって来た事に対して、罰が軽すぎると思うんだよね。

 このぼくに怪しげな薬を飲ませようとしたりとか、あの男爵令嬢の頭がおかしいのはわかり切ったことだけど、どうせならあの男爵令嬢の後ろ盾の家にも責任を取らせるぐらいの事をして欲しいよね。

 シルバーンとの会話で、メレディスにも聞いてみるとは言っているが、あのメレディスがナティコトのする事に文句を言うとも思えないし、やっぱりぼくが一言いうべきなのかな?

 そんな事を考えていると、ナティコトが席を立って、アルフォンス殿がそれを追いかけて行ったのが見えた。

 彼も結構迷惑をかけられているから、何か注文をつけに行ったとか?

 無くはないだろうけど、そこまでするかなあ?

 ベリランブル殿も席を立って、シルバーンは何かを考えているのか顔色を悪くしている。

 寮長も大変だよね。


「シルバーン、顔色が悪いけど大丈夫?」

「大丈夫ですよ、ダンバート様」

「そう? 無理はしないでね」

「はい」


 まあ、ぼくに言われたくないとか思ってるだろうけど、これでも良識のある王子として噂されているし、気遣いぐらいはしておいても問題はないだろう。


「それにしても、ナティコトに任せて大丈夫かな?」

「と、言いますと?」

「だってあのナティコトだよ。言っていた通りにさっくり殺しちゃうだけなんじゃないかな」

「……それがいけないのですか?」

「メレディスに散々迷惑をかけてる子でしょ? あっさり殺すのはもったいないよ」


 ぼくの言葉が意外だったのか、シルバーンが少し驚いているみたいだ。

 うーん、そんなに変なことを言った覚えはないんだけど、どこか引っかかる場所でもあったかな?


「さて、僕もそろそろ行こうかな」


 誰ともなくそう言って席を立って食堂を出る。

 部屋に向かって歩いていると、背後から名前を呼ばれたので振り返ると、珍しい事にゼシュティア兄様がいた。


「びっくりした。ゼシュティア兄様がぼくに声をかけるとは思わなかったよ」

「私だって、出来ることなら声をかけたくなんかなかったが、先ほど食堂で言っていたことは本気か?」

「言っていた事?」

「あっさり殺すのはつまらないという事だ」

「そんな言い方したっけ? でも、うん。本当にそう思ってるよ。だって、ぼく達だって迷惑してるし、メレディスの事は悪く言うし、最悪でしょ、あの令嬢」

「それは否定しないが、生き汚いお前があんな風に言うのは珍しいな」

「シルバーンも驚いてたけど、そんなに驚くこと? 確かに伯爵令嬢とかだったらちょっとぼくも考えるけど、ただの男爵令嬢でしょ? しかも有害ってなれば、死ぬ時ぐらいは有効活用させてほしいと思ってもいいと思うんだよね」

「心優しい王子の顔は何処へやった?」

「そんなのぼくが宣伝して回ったことじゃないよ。他の王子に比べれば心優しいってだけでしょ。あと、もうすぐ死ぬかもしれないから同情も入ってるんじゃないかな?」

「ふん、身の程はわかっているようだな」

「そうだよ? だからぼくの事を殺そうとか思わないでよね」

「放っておいてもどうせ死ぬ奴にかまける時間などないな」

「そう? だったら薬にこっそり毒を混ぜないでくれるといいんだけどな」

「私がやっているとでも?」

「思ってるよ。何と言ってもゼシュティア兄様だしね」

「……まあ、出る杭は打っておく主義だからな」

「だから、ぼくは身の程をわきまえてるよ」

「お前がわきまえていても、周囲がわきまえないかもしれないだろう?」

「そこが面倒な所だよね。まあ、ぼくは生き残りたいだけで、王位なんて興味ないよ」

「ベリランブル殿のように御輿に担がれないように気を付けるんだな」

「わかってるよ」


 ぼくがそう言うと、ゼシュティア兄様は眉間にしわを寄せつつぼくの横を通り過ぎようとした。

 その時、


「ミッシェルには気をつけろ」


 と言い残していった。

 ミッシェルねえ、何か警戒するようなことがあるのかな?

 メレディスの婚約者としてよくやってると思うけど、ゼシュティア兄様には何か気にかかることがある?

 でもまあ、そもそもゼシュティア兄様って他人を信用しないし、ミッシェルのこともその延長かもしれないよね。

 でも、ゼシュティア兄様がわざわざぼくに忠告してくるとか、本当に珍しい、明日は雨かな?

 ちょっと時間をおいて自室に向かって歩き始めて、並んでいる王子の私室の中の一つの扉に手をかけて中に入る。

 こうしてみると、この一年で随分と写本が増えたかな。

 王宮の図書室にもそれなりにいい本があったけど、学園の本はまた違った感じの解釈があったりして面白い。

 学園の本を譲ってくれとは流石に言えないから写本しているけど、メレディスは僕のこの行動を呆れていたっけ。

 映像を記録する魔法で一気に記録してしまった方が早いと言っていたけど、確かにそうだよね。

 でも、写本ってなんだか楽しいし、嫌いじゃない。

 そういえば、あの男爵令嬢が呪いだとか言ってたから、その方面でも調べ始めてるけど、呪いなんてそれこそ膨大な情報量で目が回りそうだよ。

 こんな時、メレディスが手伝ってくれたら楽なんだけどな。

 でもそんなことしたらミッシェルが嫉妬しちゃうかも。

 ……ゼシュティア兄様が言ってた気をつけろって、まさかとは思うけどこの事だったりするのかな?

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