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カウントダウン5(シルバーン視点)

「あの無礼な男爵令嬢、ボクに任せてもらってもいい?」


 ナティコト様の言葉に、僅かに目を細めてしまう。

 あのマリアナという男爵令嬢一人、この学園から消えたところで、学園的には何の問題もないが、王子自ら手を下すと言うのは、大丈夫なのだろうか?

 ただでさえあまり良い噂のないナティコト様なのだ、任せたらそのまま殺してしまうだろう。

 後始末をするこちらの身にもなって欲しいものだが、ナティコト様はそんなもの考えないだろう。

 それでも、ナティコト様がわざわざ動くほどの事をあの男爵令嬢はしてしまったのだろう。

 そういえば、最近美術部員の作った彫刻をあの男爵令嬢が壊してしまったという話を聞いたような気がする。

 自信作で、随分落ち込んでいたと誰かが言っていたな。

 まったく、他人の作品を壊すなど、事故だとしても無礼すぎるが、もしかしてあの男爵令嬢がしたのだろうか?

 美術部員の作り出す物の中には、ナティコト様のお気に入りもあったと聞くが、まさかとは思うが、あの男爵令嬢はそれを壊してしまったのか?

 だとしたら、ナティコト様が自ら手を下そうとしてもおかしくはないな。

 だが、学園で問題が起きてしまえば、後処理に動くのは生徒会だ。

 本当に面倒なことになった。


「ナティコト様、任せろとは具体的にはどのような?」

「えぇ~ぱっと片付けちゃうだけだよ。まあ、一応メレディスにも聞いてみるけど」

「メレディス様にですか」


 どうせ、聞いてみるだけで、何か言われても実行するだろうな。

 ナティコト様という人はそう言う人だ。

 なんだかんだ言って、王子の中では一番頑固なのではないだろうか?

 生き意地が張っているのはダンバート様だが、決めたことを変えないという点では、ナティコト様が一番な気がする。

 問題を抱えているのはどの王子にも言えることだが、本当に、当たり年と言われているが、この年代に生まれてしまった事がプレッシャーだな。

 メレディス様は本当に、こんな王子様達を相手に良く立ち回れるものだ。

 わたしがそう思ってしまうのは、やはりわたしが完璧ではないからだろう。

 そういえばあの男爵令嬢は、わたしが完璧でなくても大丈夫だと言ってきたが、そんな甘い考えでは貴族の世界で生きていくことは出来ない。

 つい最近まで平民だったあの令嬢にはわからないだろう。

 高位貴族の社会で生きていくと言うのは、針山の上を素足で歩いていくような、そんな覚悟が必要なのだ。

 痛みを悟られないように、顔に浮かべるのは常に微笑で、そうやって生き抜いていかなければいけない。

 それがいつまでたってもわからないのなら、あの男爵令嬢は貴族として生きていくことが出来ないだろう。

 そう考えると、ナティコト様が引導を渡すのは悪くないかもしれない。

 後始末は大変そうだけどな。

 はぁ、メレディス様が生徒会に入っていれば多少楽だったかもしれないのに、今年ぐらいは自分の好きな部活動に勤しみたいと言われてしまえば、無理にとは言えない。

 それに、メレディス様が望んだ部活動では、素晴らしい成果を上げた。

 伝説級とも言われている精霊を二体も捕まえたのだ、しかも召喚獣として契約したと言う。

 精霊愛好会のメンバーが年に数体の下位精霊を捕まえることはあっても、上位精霊など本当に何十年も、いや、下手をしたら百年以上存在を確認されていなかった。

 それを同時に二体とは……、本当にメレディス様には驚かされてしまう。

 席を立ったナティコト様を追いかけてアルフォンス様が立ち上がったのを確認して、ため息を吐き出しそうになる。

 文句を言うわけではないだろうが、王子様達が動くと言うだけで心臓に悪い。

 そうしていると今度はベリランブル様まで立ち上がった。


「もう自室に戻るのですか?」

「……あの迷惑な男爵令嬢の事を考えたら食欲が無くなった」


 嘘、ではなさそうだが真実でもなさそうだ。

 ベリランブル様は無関心がひどく、扱いづらさでは王子様達の中で群を抜いている。

 まだゼシュティア様の方が対処のしようがある。


「シルバーン、顔色が悪いけど大丈夫?」

「大丈夫ですよ、ダンバート様」

「そう? 無理はしないでね」

「はい」


 どの口が言うのだと呆れてしまう。

 ダンバート様へのあの男爵令嬢の絡みも相当なものだ。

 病弱なのは呪われているからだとか言って、怪しげな薬をダンバート様に飲ませようとした。

 もちろん、即刻捕まえて警備員に引き渡したが、万が一わけのわからないものがダンバート様の口に入っていたかと思うと、ぞっとしてしまう。

 ただでさえ何かにつけて体調を崩してしまうのだし、怪しげな薬を口にしたせいで倒れたなどとなったら、寮長としてのわたしの資質も疑われてしまう。


「それにしても、ナティコトに任せて大丈夫かな?」

「と、言いますと?」

「だってあのナティコトだよ。言っていた通りにさっくり殺しちゃうだけなんじゃないかな」

「……それがいけないのですか?」

「メレディスに散々迷惑をかけてる子でしょ? あっさり殺すのはもったいないよ」


 ……はあ、あっさり殺す以外の殺害方法を簡単に思いつく辺り、病弱とはいえダンバート様もやはり王族という事なのだろう。

 病弱である事を除けば、まだましな方だと思っていたダンバート様の意外な一面を見た気分だな。

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