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反省室

「ちょっと! 出しなさいよ!」


 ガンガンとドアを叩くけれど、反応する人は誰もいない。

 なんであたしがこんなところに。

 反省室なんて、入れるんだったらあの役立たず女を入れなさいよね。

 っていうか、反省室っていっても、新しくなったあたしの部屋と大して変わりはないわね。

 しょせんは貴族の甘やかされたお嬢様が暮らしてる寮にあるっていう程度なのね。

 こんなことぐらいじゃあたしはへこたれないけど、ヒロインであるこのあたしをこんな目に合わせるとか、マジで許せない。

 そう考えていると近づいてくる足音が聞こえて、あたしはガン、とドアを叩く。


「ここから出しなさいよ!」

「随分と元気ですね。反省室は己の行動を反省するためにある場所なのですが、貴女には効果が無いようで残念です」

「誰よあんた!」

「女子寮長のフリッカです。まだ覚えられないのですか」

「モブには興味がないのよ! あたしをこんなところに閉じ込めたあの女を出しなさいよ!」

「貴女が反省室に入っているのは、度重なる注意に耳を貸さずに、自分勝手な行動をした結果です。あの女、がだれを示しているのかはわかりませんが、自業自得ですよ」

「あたしが悪いっていうの? あたしはヒロインなのよ! モブのあんたとは違うの! 世界に選ばれた特別な存在なのよ!」

「そうですか。ちなみに、反省室に入ったことはご実家にもお伝えしています。場合によっては退学処置も考えられますので、反省室にいる間に、きちんと反省してください」

「ちょっと! なに勝手なことしてんのよ! あの陰険女達に何言われるかわかったものじゃないわ! あたしがあの女達に嫌味を言われたらあんたが責任取ってくれるんでしょうね!」

「そんなわけないでしょう。貴族になれたことに浮かれるのもいいですが、いい加減身の程と言うものをわかったらどうですか」

「だから、あたしは世界に選ばれたの! 特別な存在なのよ!」

「こう言っては何ですが、平民が貴族になる事は年に数件あります。あなたが特別と言うわけではありません」

「そこらへんのモブとあたしを一緒にしないでよ!」


 ったく、話が通じない女ね。

 流石あの役立たず女の腰巾着をしてるだけあってばかね。

 女子寮長っていうんだったら、もっとヒロインであるあたしに対して融通を効かせるとか、機転を利かせるべきでしょう?

 あたしが役を与えてあげなくちゃ何もできないような役立たずの傍に居るから駄目になるのよ。


「そうだ! あんたをあたしの取り巻きにしてあげるわ」

「なにを言っているのです?」

「あたしは未来の王妃になるんだから、あたしのご機嫌を取っておいて損はないわ。そうよ、それがいいわ。今からあんたはあたしの奴隷よ!」

「お断りします」

「はあ?」


 あたしが折角提案してあげたのに拒否するとか、何様のつもり?


「反省がまったくできていないようですね。テストも可能な限りここで受けてもらうことになりますので。今回はそれを伝えるために来ました。では、私はこれで失礼します」

「ちょっと、待ちなさいよ!」


 あたしの声を無視して足音は遠ざかっていく。

 ああもうっ、なにもかもあの役立たず女がちゃんとしないからいけないのよ。

 王子達もあたしに対して塩のままだし、このままじゃ夏季休暇のイベントに間に合わないじゃない。

 テスト前勉強会イベントで好感度を挽回しようと思ったのに、なんでかわからないけど王子達が全員図書室に居るっていうバグが起きてるし、本当にもう訳が分からない。

 あたしはヒロインなのよ。

 攻略対象達は、あたしが居なかったら心の闇に飲みこまれたままで苦痛の人生を送ることになるの。

 それを救ってあげる天使のような存在があたしだっていうのに、なんだっていうのよ!

 攻略対象の前で、あたしが役立たず女に虐められてるって言っても微妙な反応なのよね。

 中には無視してくるやつまでいるし、信じられない。

 女神のようなあたしが折角話しかけてあげてるのに、無視とか、永遠に闇に突き落とすぞって感じ。

 イライラとしていると、また足音が聞こえてきたからガンガンとドアを叩く。


「ここから出しなさいよ!」

「お食事をお持ちしました」

「そんなものよりもここから出せって言ってるの! あんた耳ついてるの?」

「では失礼します」

「ちょっと! 待ちなさいよ!」


 遠ざかっていく足音に、バンとドアを叩くけれども、戻ってくる気配はない。

 ドアの横の差し入れ口の所には夕食と思われるものが入れられていた。

 パンに水にサラダ、申し訳程度のローストビーフ。

 ふざけないで! こんな粗末な食事とか信じられない!


「出して! ここから出してよ!」


 連れてこられる時に確認したけど、ここは地下だから窓もない。

 どんなに叫ぼうとも上の階に聞こえそうにないってわかってるけど、叫ばずにはいられない。

 こんなのどう考えたっておかしいでしょう。

 乙女ゲームにこんなイベントなかったし、反省室に入れられたなんて事が男爵家に知られたら、あの嫌味な継母になんて言われるかわかったものじゃないわ。

 とにかく、なんとかしてシナリオを修正しないと。

 せっかくあの役立たず女を悪役令嬢に仕立て上げてるんだし、もっと攻略対象達があたしの方に同情して気を向けてくれてもいいはずなのよ。

 折角転生したっていうのに、こんなにバグだらけの世界じゃ意味ないわ。

 最悪リセットよね。

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