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部活動勧誘大会2

「まあ、今回の訪問の趣旨は理解できました。ナティコト様はなんと言っているんですか?」

「面白そうなものがあったら入る、とだけ」

「そうですか」

「ナティコト様なら言いそうですわね」


 乙女ゲームでは、ナティコト様は映画同好会に入部する。

 可愛いものを愛でられる機会が増えるかもしれないという動機だが、画像の中に納められているものを愛でるのは自由だから、無害な部活と言えるだろう。

 ミッシェル様は、設定上は野外活動部に入ることになっている。

 これは、メレディスが乙女ゲームに忙しくしている間、ミッシェル様は部活動に励んでいたという設定の為だ。

 野外活動部、まあ、わかりやすく言えばキャンプに行ったり郊外に率先して出かける部活と言った所だろうか。


「それで、いつその部活動勧誘会というのは開かれるのですか?」

「そうですね、色々予定もありますので、それにねじ込むという意味では来週あたりになると思います」

「随分早いのですね。各部活動は準備が出来るのですか?」

「それが出来ないような実力のない部活や同好会・愛好会はこの際切り捨てようかと言う話になっています」

「厳しいご判断ですわね」

「なぜか、毎年無意味に部活動や同好会・愛好会が増えるので……」

「「ああ……」」


 疲れたように言うシルバーン様に、わたくしとミッシェル様は顔を合わせて困ったように眉を下げてしまう。

 やはり相当苦労しているようだ。

 その後、詳しいスケジュールは決まり次第朝食か夕食の席で話すことになると言って、シルバーン様はミッシェル様の部屋を出て行った。


「寮長も大変な仕事だね」

「ミッシェル様もこのままいけば三年になったら寮長になる予定ではありませんか」

「まあね」


 来年もシルバーン様が居るため、ミッシェル様が寮長になるのは三年生になってからと今の所決まっている。

 まあ、乙女ゲームの中では何年経とうと永遠の一年生と言うわけなのだが、現実ではそうはいかないので、いずれわたくしもミッシェル様も寮長になるだろう。


「それにしても、この学園には本当に様々な部活動がありますわね」

「うん、確かにこれだけあると整理したいっていう生徒会側の意見にも納得かな」


 部活動だけでもそれなりの数なのに、同好会や愛好会を入れるとそれはもう目が回りそうだ。

 部活動の掛け持ちも認められている為、余計に増えているのだろう。

 乙女ゲームでのヒロインの所属部というのは特になく、イベントごとに助っ人として駆り出されると言うものになっている。

 そうでもなければ各攻略対象とのイベントがこなせないからだ。


「あら、精霊愛好会なんていうのもありますのね」

「精霊かぁ。存在は知っているけど、実際に会ったことはないかな」

「わたくしもですわ」


 乙女ゲームにこんな愛好会があったという設定はないはずだが、活動の概要を見てみると、精霊と友好的な関係を築くとある。

 精霊、乙女ゲームにも一応フレーバー的に存在が居ることはかすめていたが、実際にイベントに絡んでくることはなかった。

 そう考えると、乙女ゲームに関係のないこの愛好会に入るのも悪くないかもしれないし、実際に精霊に出会うことが出来るのかもしれない。

 実はこれ、乙女ゲームで『妖精』か『精霊』でもめたという裏話がある。

 『妖精』は『精霊』の一種であるという定義を前提として、『精霊』が採用されたが、実際問題この世界の『精霊』はどのようなものなのだろうか?

 そう考えると、出会うのが楽しみになってしまう。

 うん、精霊愛好会、いいかもしれない。


「ミッシェル様は気になる部活動がありまして?」

「う~ん、悩み所だけど。この野外活動部とか面白そうって思ってるよ」


 乙女ゲームの通りか。


「活動内容は郊外でのものが主だね。ほら、野外で戦闘訓練なんてものまであるみたいだ」

「まあ、戦闘訓練まであるのですか」

「公爵家に戻ってしまえば、戦闘を行う機会なんて暗殺者を向けられた時ぐらいだしね、学生の間に実戦経験を積んでおくのもいいかもしれない」

「暗殺者ですか、そうですわね」


 平然とそんな単語が出てくる世界観に苦笑してしまう。

 『死』をテーマにしているだけに、この世界の貴族や王族にとって『死』は身近なものなのだ。


「王子方が所属している部活に所属するのは避けたいですわね」

「どうしてかな?」

「絡まれそうですもの」

「……ああ、彼女に?」

「ええ」


 わたくしの言葉で容易に思い浮かんでしまうあたり、マリアナ様の行いがどれだけ有名なのかわかると言うものだ。


「彼女、王子方に随分ご執心のようですもの」

「男爵令嬢如きが、って思うけどね」

「わたくしもそう思うのですが、ご本人は理解していないようですわ」

「確かに平民だった娘が貴族の仲間入りをしたのは素直にすごいと思うけど、そんなに珍しくはないよね」

「そうですわね」

「年に数件発生することだけど、最初は浮かれている子も、だんだん落ち着いてくると言うか、自分の立場をわきまえるようになるけど、彼女はいつまでも夢見たままなのかな?」

「どうなのでしょうか?」


 これだけ乙女ゲームの設定と変わってしまっているのだし、いい加減諦めて、自分に見合った相手を見つけて欲しいものだが、自分をヒロインと言うような性格ではそれも難しいかもしれない。


「そういえば、同室の方が入学式パーティーの時に寮長に部屋替えを申し込んだそうなのですが」

「へえ」

「同室の方の受け入れ先はあっても、マリアナ様と一緒の部屋になりたくないと言う令嬢ばかりだったそうですわ」

「それは、まあ……そうだろうね」

「それで、下位貴族の令嬢の方々で部屋分けが一部やり直しになったのですが、マリアナ様は一人部屋になったそうなのです」

「男爵令嬢が一人部屋とは贅沢な話だね」

「部屋自体は、寮内でも一番質素と言いますか、粗末なものなのですけれどもね」

「ふーん、女子寮も問題児を抱えていると大変だね」

「そうですわねえ。わたくしが寮長になるまでに解決しているといいのですけれど」


 「ふう」とため息を吐き出すと、慰めるように頭を撫でられた。

 その感触がなんだかくすぐったくて小さく笑うと、そのまま体を引き寄せられてキスされる。


「不意打ちはずるいですわ」

「ふふ、メレディスが可愛すぎるからいけないんだよ」

「もうっ」


 僅かに顔を赤くして唇を尖らせると、ミッシェル様が軽くキスをしてきて、そのままキスは深いものへと変わっていく。


「んっ」

「はぁっ、メレディス、愛してる」

「わたくしもっん、愛して、いますわ」


 そう言った瞬間、わたくしは抱きしめられてソファーに押し倒された。

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