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部活動勧誘大会1

 入学式パーティーが終わりひと段落付くと、今度は各部活動の勧誘大会になる。

 もちろん、自分で足を運んで入部する場合もあるが、スカウトに来ることもあるわけで、なぜかわたくしのところには多数のスカウトの申し込みが届いている。


「大人気だね」

「そういうミッシェル様も、色々な所からスカウトがあるではありませんか」

「まあね」


 ミッシェル様の部屋でお茶を頂きながら、お互いにもらったスカウトの申し込み用紙を眺めていく。


「お茶会同好会、なんていうのもありますのね」

「へえ?」

「えっと、身分に捕らわれずにお茶会を開き楽しむことが目的……、却下ですわね」

「身分に捕らわれずって言うと、実験時代に立ち上げられたものの名残なのかな?」

「そうかもしれませんわね」

「こっちは運動系のお誘いが多いよ、乗馬部、飛行部とか」

「ミッシェル様は、魔法操作も運動能力も高くていらっしゃいますものね」

「うーん、どっちかに入るんだったら乗馬部かな。飛行部は、厳しいしごきを受けそうだし」

「乗馬するミッシェル様はかっこいいので、いいかもしれませんわね」

「そう? もしはいることになったら馬を借りてメレディスをデートに誘おうかな」

「それはいいですわね」


 それにしても、こんなに部活動の勧誘を受けるとは思わなかった。

 乙女ゲームではわたくしは何の部活動もしていないけれど、シナリオブレイクの意味でも何か部活に入るのもいいのかもしれない。

 ただし、攻略対象が居る部活動は申し訳ないが却下だ。

 よって、乗馬部、飛行部、美術部、音楽部、魔法薬学部はないとして、今言ったお茶会同好会も却下するとしたら、なにがいいだろうか。

 正直、沢山ありすぎて困ってしまう。


「なんでしょう、この禁書探索部というのは」

「部活動概要はないのかい?」

「えっと、学園内に存在する禁書を読み解くことを目的とする……胡散臭いですわね」

「それでいったら、この財宝発掘部っていうのも相当だよ」

「怪しさ爆発ですわね」

「他にも、映画研究会、古代魔法研究部、なんだこの、探検部っていうのは」

「まともそうなものから胡散臭そうなものまで、多種多様過ぎて迷ってしまいますわ」

「メレディスならいっそ新しく自分で立ち上げるのもいいかもしれないね」

「新しくですか」


 それもいいかもしれないが、そうなった場合は間違いなく部長を務めなくてはいけなくなるだろう。

 それはそれで面倒な気もするが、女生徒の序列が一位のわたくしが、いきなり横から入って大きな顔をするよりかはまし、なのかもしれない。

 しかし、学園に既にある部活動で被らないものを改めて作ると言うのも、大変な作業になりそうだ。

 そうやってミッシェル様と二人で紅茶を飲みながら、あーだこーだと楽しく会話をしていると、部屋のドアがノックされた。


「誰ですか?」

「シルバーンです。今お時間はよろしいですか?」

「シルバーン殿? 今メレディスが来ていますがよろしいですか?」

「ああ、むしろちょうどいいですね」


 その言葉にわたくしとミッシェル様は顔を見合わせて首を傾げた後、ミッシェル様がソファーから立ち上がってドアの前に行くと、念のためドアスコープで相手を確認してからドアを開けた。


「二人きりの所を邪魔してすみません」

「いや、シルバーン殿がいらっしゃるなんて珍しいですね。まあ、どうぞ入ってくつろいでください。ちょっとテーブルの上が散らかっていますが」

「今日来たのもその事が関係していますよ」


 シルバーン様はそう言うとわたくしの方に近づいてきて、目礼をすると、わたくしの向かいと言うよりは、ミッシェル様が座っている場所の向かいの席に座った。

 ソファーに座り直したミッシェル様はシルバーン様の分のお茶を淹れると、カップをシルバーン様に渡して「それで?」と話を促す。


「実は、わたしの所にまでミッシェル殿をなんとか自分の部活に入ってくれるよう頼んでくれないかと申し込みが殺到していましてね」

「まあ! ミッシェル様ってば人気者ですわね」

「メレディス様もですよ」

「わたくしも?」

「フリッカ様から伝書鳥が来まして、こちらに来ているようなのでついでに話しておいて欲しいと言われました」

「そうでしたか、それはお手間をおかけいたしました」

「それでまあ、箔付けも兼ねているのでしょうが、ナティコト様にも同じように様々な部活動の申し込みがある状態でして、学園側とも相談して、異例な事ですが、新入生を集めて部活動や同好会・愛好会の勧誘会を開こうかと言う話になったのです」

「なるほど」

「ちょうど、増え過ぎた同好会・愛好会や、学園の趣旨に合わない部活や同好会・愛好会もありますので、この際整理してしまおうかと言う話も出ています」


 先ほどの「お茶会同好会」のようなものか、と納得する。


「それをお話しするためにわざわざいらしたのですか?」

「まあ、ナティコト様には先にお話に行ったのですが、今回の中心人物になるであろうお二人にもお話しておこうと思いまして」

「そうでしたか。僕やメレディスだけでなく、ナティコト様にも部活動の勧誘が殺到しているのは意外な気もしますね」

「箔付けでしょう。各王子様方が所属している部活動はともかく、そうではない部活動は活動内容の割には割り当てられる予算が少ない等文句を言う所もありますからね」

「そういえば、一年だけでもいいからと生徒会からも勧誘を受けていましたわね」

「メレディス様は来年は女子寮長になる事がほぼ決定していますからね。寮長は生徒会の役員にそもそも組み込まれているので、そのように言っているのでしょう」

「そういうことですか」


 確かにそんな設定もあったな、と思い出しながら必死な顔でスカウトの申し込みをしてきた生徒会長の顔を思い出す。

 王子方が所属していないというか、伝統的に生徒会に所属しない以上、他の生徒とのバランス調整を行うのは生徒会になるので、必然的に苦労してしまうのだろう。

 身分制度がしっかりしているし、王子方に強く出ることも出来ないが、だからといってあまりにも自由奔放に振舞われるのも困る、だからこそストッパーが必要というわけか。

 確かに、今この学園で王子方に何か注意を遠慮なくできるといえば、わたくしという事になるのだろう。


「メレディス様は生徒会に興味はおありですか?」

「いえ、それほどは……。来年になればどうせ生徒会役員に名前を連ねますし、今年は様子見をしてもいいかもしれないと思っておりますのよ」

「そうですか」


 あら、シルバーン様が何だか残念そうな顔をしている。

 そうか、シルバーン様は男子寮の寮長だから生徒会役員でもあるのか。

 苦労していそうだな。

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