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おばあちゃんのごはん

作者: 松樹 加奈

 あやこは、だいどころで なべのなかを のぞきこんでいる。

 なべのなかには、くろっぽくなった みずに ひたしてある くろまめが、はいっている。

「これも、おかずにつくるの?」

「そうだね。あまく にようかね」

 おばあちゃんは、くろまめのはいった おなべをもって、えんがわから てをのばして、にわのしちりんの うえにおく。

 しちりんのなかには、ほりごたつにつかう れんたんが、もえている。

 すぐに、くろまめは、ゆらゆらとうごきだす。


 あやこは、6さい。

 きょうは、おとうさんとおかあさんは、ごようがあって おでかけしたので、すぐちかくにすむ おばあちゃんのおうちで、おるすばんをしている。

 おばあちゃんは、ながしのなかで、にんじんを たわしでこすっている。

「あやこ、にんじんをきっておくれ」

「うん。まぁるくきればいい?」

「そうだね。ひだりてを ねこのてみたいにして、てをきらないようにするんだよ」

 かったん、かったん、かったん。

 おでこに あせをかきながら、あやこは ちからをこめて、にんじんをきった。

「おばあちゃんできたよ」

「よくできたね」

 おばあちゃんは、わらいながらうなずくと、

「あとは、よくみてなさいね」といって、さといもや こんにゃくや ごぼうといっしょに、にんじんを なべにいれて、ことこと にはじめた。

 それから、とりにくを おしょうゆでいためた。

「そろそろ、にまめに おさとうをいれようかね」

 おばあちゃんは、そういって、えんがわにいった。

 そして、おさじで やまもりに、なんばいも おさとうをいれる。


 おばあちゃんは、まめが にえるのを まつあいだ、えんがわで ぬいものを はじめた。

 あやこは、おりがみをしたり、ぬりえをしたりして あそんだ。

 おばあちゃんは、にまめのなべを みにいって、ふたをあけて あじをみた。

「わたしにも!」

 あやこは、おさじにひとつぶ にまめをいれてもらって、ふうふうさまして、あじみをする。

「あっつい。あまいね」

 にまめは、ねっとりおいしく にえている。

「さあ、しあげに おしおをいれようね。もっとあまくなるようにね」

 おばあちゃんは、おしおをいれる。


 あまどをしめて、へやにあかりがともるころ、ひきどのひらくおとがして よびりんがなる。

 りりりりり。

「あ! おかあさんたち かえってきた!」

 ぱたぱたぱた。

 あやこは はしって げんかんにいく。

「おかえりなさい」

「ただいま。おりこうにしてたかい」

 おとうさんは、あやこを だきあげる。

「ただいま。おばあちゃんに おせわかけなかった?」

 おかあさんは、にこにこ わらっている。

「うん。いいこに してたよ。おてつだいもしたよ。にんじん きったんだよ」


 おばあちゃんは、にまめを ふかいうつわに もりつける。

 おばあちゃんが、あつあつのおみそしると、ほかほかのごはんを みんなによそってくれる。

 ほりごたつの うえには、ちゃいろくにえた とりにくが、ある。

 おばあちゃんがつけた きいろい たくわんが、ある。

 とろっと にえた くろまめも、ある。

 うすちゃいろのさといもや、くろっぽいごぼうや、ねずみいろのこんにゃくのなかに、あかいにんじんがみえた。

 ゆげがあがった うつわから、いいにおいがする。

「いただきます。にもの たべてみて。そのにんじん、わたしがきったんだよ」

「どれどれ。うん。おいしいよ」

 おとうさんは、まだゆげがでている にんじんを たべた。

「きれいにきったのね。ほんとうにおいしいわ」

 おかあさんは、おはしで にんじんを つまんで、よくみてから くちにいれた。

 あやこは、うれしくて かおをまっかにさせている。

 あやこは、ほんとうは にんじんが きらいだけれど、ひとつたべてみる。

 だって、じぶんが がんばって、きったんだもん。

「おいしいね」

 おばあちゃんが、にこにこして あやこを みている。

「あやこは、よくがんばったね。もうすっかりおねえさんだね」

 あやこは、うれしそうに みんなの かおを みまわした。


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