第23話
覚醒は、これ以上無いくらいの不快感を伴った。
全身に薄く絡みつく魔力の残滓を振り払いながら、アルスはのろのろと身体を起こした。
視界に映ったのは、夜の森。天上から零れる月明かりは闇を払いきれず、周囲はほの暗かった。
アルスは四肢に力を込め、無理やり立ち上がって歩き出す。
ここに至るまでの記憶は、白い姿と共に途絶えていた。
町へ向かうアルスの目の前に現れた、ロストベル。彼のことをアルスは以前から知っていた。シトラスがアストリア城から出て行ってしばらく後、城に出入りするようになった人間だ。
直接言葉を交わしたことはなかったが、その姿は城内でも目立っていたし、かつてのアルス自身のようにロストベルがアストリアに目をかけられていることは他人から話に聞いて知っていた。
そんな男が何故今ここに現れたのか。
その目的は薄々察しがついた。彼の標的は、アルスではない。
(くそ……っ)
進まない歩みに歯噛みする。
拘束魔法の影響によって、一層体に力が入らない。暗い夜はどこまでも続いているようで、一度膝をついたらもう二度と立ち上がれない気さえした。
それでもじりじりと歩き続けると、静寂を破って剣戟の音が耳に届いた。
鬱蒼と茂った木立の中でそこだけぽっかりと空間が生まれている。月光に明るく照らされたその場所には、見慣れた後ろ姿があった。だが――。
黄金の髪も、常盤色の着流しも。そのすべてが赤い色で濡れていた。破れた着物から覗く腕や足。それらには骨が見えるほど深い裂傷がいくつも口を開けている。
「見つけた!」
明るい声が間近で弾けた。正面に立っていた少女――ヴィヴィリアが、こちらに一直線に向かってくる。
アルスは反応しようとしたが動けなかった。頼みの魔法も使えない。自分が無力であることを、今初めて理解した。
「……!」
甲高い音が爆ぜる。
少女の進路を阻んだ刀は小刻みに震えていた。傷付いた体の至るところで、新たな血潮の赤が花開くように広がっていく。
「シトラス……」
シトラスは振り向かない。
そして、その掠れた声が呼んだのはアルスの名ではなかった。
「ロストベル!」
ヴィヴィリアの背後に倒れる朱染めの影が、わずかに動いた。少女の歪な笑みがそちらに向きかけるのを、シトラスの刀が引き留める。
「起きろ……この馬鹿!」
「な……」
罵声に、ヴィヴィリアが苛立ったように口を開く。
しかし彼女の言葉を待たず、突如一帯に色濃い霧が広がった。
「やれやれ……そんな義理は……ないんだが、ね」
苦しげな声と合わせて、一筋の風が霧を裂く。
「……負荷で死んでも、恨むなよ」
地面に点々と赤い色を落としながら、巨大な獣の影がアルスの頭上へ落ちかかってきた。
「っ……!」
鈍い頭痛。鋭い吐き気。ロストベルの魔力に捉われ、強力な浮遊感が体内で渦巻く。
(駄目だ)
焦燥に駆られ、アルスは手を伸ばす。
「……っ!」
指先はシトラスに遠く届かない。踏み出した足の感覚がもうここにはない。
景色が歪む。振り向かない背中を、その向こうに取り残したまま、消えていく。
「アルス」
血に濡れた両手から刀を落として、シトラスが振り返った。
「……え……て……」
優しい声も浮かべられた微笑みも、霧の彼方へ溶けていく。
幸福な夢のように。
***
夜空を切り取って、木々の黒いシルエットが伸びていた。
風が、残された夏を散らすように吹いている。
その穏やかな情景を拒むように、振りぬかれた刃があった。
「何で逃がしたの……っ!」
激昂する少女から放たれたナイフの軌道はいたって幼稚だったが、そこから体を躱すことは、傷を負い、疲弊した今の状態では叶わなかった。
受けた衝撃をそのままに、シトラスは仰向けに倒れこんだ。
上腹部がひどく熱い。激しい痛みと重い苦痛が交互に爆ぜ、失血でぼやける意識を繋ぎ止めていた。立ち上がろうにも足はがくがくと震えるばかりで、腕も右は半壊、左はもう完全に使い物にはならないだろう。
どこをどうあがいても、形勢を覆す余力はない。
ざまあないと思う一方、少女に対して素直な驚嘆もあった。
シトラスとロストベルの二人を相手に、少女の猛攻はおおよそ理解の範囲を超えていた。
共闘する足並みがわずかに乱れた瞬間、ロストベルが反撃はおろか防御の余地も無いまま滅多刺しにされるのを、シトラスは自身もまた激しい攻撃を受けながら、なすすべなく見ていることしか出来なかった。
本当に、あっという間のことだった。
「どうして……!」
割れるような声に意識が引き戻される。馬乗りになり、掴みかかってくる少女はあまりに軽かった。これが戦闘中でなければ、そしてシトラスがここまで負傷していなければ簡単に跳ね除けられそうなほど、心許なく、弱々しい。
「どうして私の邪魔をするの! 私は役目を果たしたいだけなのに! どうして!」
どうして。悲鳴のような問いを、シトラスは胸中で反芻する。
アルスを守りたかった。理由はただそれだけだった。
この場にアルスが現れたのは想定外の事態だったが、それはむしろ幸運と呼べる類のものだった。ロストベルと共にその気配が消えた今、心残りがあるとするなら、空間転移の負荷にあの状態の彼が耐えきれるか、その心配くらいだ。
「何か答えてよ!」
少女がヒステリックに喚きながら、ナイフを肩に突き立てる。痛みよりも早く、焼けるような熱が左腕に広がった。
「どうして……! どうして!」
武器を振りかぶり、振り下ろし、少女が絶叫する。
明滅する意識の片隅で、繰り返される叫びが泣き声のようで痛々しかった。
進みあぐね、戻ることも出来ない子供。その無力な慟哭を、シトラスは昔から知っている。
(ああ……)
薄れていく景色の中、記憶の残滓が浮かび上がった。
かわいそうな子。いとおしい子。けして美しくも優しくもないと知りながら、世界を愛してしまった子。
その手をとって、短い時を共に歩いた。
「――、だから……」
視界が、狭く、暗くなる。目の前に差し出された穏やかな眠気に身を委ねれば、もう二度と目覚めることはないのだろう。
守りたいもののためなら命など差し出して構わない。そう思っていた、はずだった。
(死にたくない)
死にたくない。死にたくない。死にたくない。
まだまだ、あの子に伝えたいことがたくさんある。もっと色んなものを一緒に見たい。話したい。一緒に居たい。あの子を幸せにしたい。生きていて良かったと思わせてやりたい。まだ、まだ死にたくない。死ぬのが、怖い。
(ああ、でも、もう、だめか)
この命は終わる。
ノアもこんな思いだったのだろうか。これは罰なのだろうか。それならそれで、きっと仕方ない。けれど。
せめて、どうか。どうか、届いてほしい。
虚無への恐怖に囚われてなお愛しいままの面影に。
オレが見てきたたくさんの素晴らしい景色には、いつだって君自身の横顔があったことを。誰が君を憎んでも。君が君を拒んでも。どれだけ彷徨い進みあぐねても。生きているのなら、帰る場所は必ず見つかるのだということを。
アルス。オレは、君を愛してた。
***
置き去りの「何か」に気付いたのはいつだっただろう。昨日だった気もするし、少し昔、この体が目覚めたその日から、何かがおかしいと感じていたような気もする。
(分からない、ヴィヴィには)
両目を眼帯で覆うヴィヴィリアには、その実あらゆる景色が見えていた。同時に、あらゆるものから目を背け続けていた。
たとえば、朽ち果てた愛すべき我が家。家族のような仲間が待つ場所。そこに至る以前の記憶を彼女は持たない。自分がどこから来たのか。周りの仲間が何者なのか。何も、分からない。
けれど、疑問を口に出すことは出来なかった。言葉にしたが最後、何か恐ろしくて怖いものがヴィヴィリアの傍にやってくる予感があったから。
迷いは足を止まらせる。足を止めることは許されない。けれど、どうしてそう思うのかすら、ヴィヴィリアには何も分からなかった。
「大丈夫、だから……」
掠れた声に、散らばっていた思考が元の場所に帰り着く。
声は、ヴィヴィリアが組み敷き、これから息の根を止める相手のものだった。
弱々しく囁かれたその言葉が自分に向けられたものでないことはすぐに理解した。したけれど、胸がざわついた。声が抱いていた温度は、ヴィヴィリアの仲間がヴィヴィリアのことを受け止め、甘やかすものとは何かが決定的に違っていたから。
(こんなの、ずるい)
わけの分からない悲しさと悔しさが、心を満たしていく。
ヴィヴィリアにとって確かなものなど全然ない。ただ一つ、クレストを守りたいという感情だけは確かに本物で、それだけが、ここにあるためのよすがだった。
それなのに、それさえもう指の合間から零れる砂のよう。
大丈夫なことなんて、ヴィヴィリアには一つもなかった。
優しい声に無条件に赦される誰かが、とても羨ましかった。
「どうして……」
何度も繰り返した問いが巡る。どうして私はここにいるの? 何に動かされ、どこへ行けば自分の居場所が見つかるの?
「分かんない、もう、分かんないよ……ッ!」
ヴィヴィリアはナイフを振りかぶった。明確な意思など欠片もなかったが、肉に刃が沈みこむ感触で、刺したのだ、と遅れて自覚した。
「あ…………」
他人の命を抉る感覚が、乱れた恐怖心となってヴィヴィリアの膝や唇を震わせた。こんなの慣れているはずなのに。なのに、震えは全身を伝い、ヴィヴィリアの頭の芯を大きく揺さぶった。
怖い。怖い。怖い。まるで――あの時みたいだ。
「あ」
眼前に迫るナイフ。脳を焼くような痛み。ユイージナの微笑。
「あ、あああ……」
ヴィヴィリアは頭を抱えた。
体の内でざあざあと音を立てながら、幾百、幾千の景色が瞼の裏を過ぎていく。
――ヴィヴィリア。どうして裏切ったの?
ユイージナの、お姉ちゃんの声が蘇る。
「裏切って、なんかない……」
裏切ったりなんかするわけがない。
ただ、可哀想だと、思ったのだ。
昔から、ずっと。
ヴィヴィリアにとってクレストは憧れの王子さまだった。幼い頃から、絵本の世界の中で生きる彼のことが大好きだった。
でも、だからこそ、死んでしまったお母さんや姉のユイージナが目指したもの、しようとしていることに賛成することは出来なかった。頭の悪いヴィヴィリアには計画のすべてを正しく理解することは出来なかったけれど、それでもみんなの願いが王子さまを幸せにするものだとはどうしても思えなかったから。
そう伝えたら、ユイージナは笑った。
「ヴィヴィ、あなたの考えは間違ってるわ。これまで何を見てきたの? 何を考えてきたの? 駄目ね。あなたの目が、頭が、間違った答えを出すのなら、私が治してあげなくちゃ」
廃屋の中、逃げ惑うヴィヴィリアをユイージナに従う男の腕が押さえつけた。優しげな男は、愉快そうに笑っていた。
汚れ、傾いた天井。笑う男。微笑むユイージナと、彼女の手に握られた大きなナイフ。それがヴィヴィリアの両目が最後に映した光景だった。
ユイージナに両目を奪われたヴィヴィリアは、そのまま真っ暗で冷たい、一人ぼっちの世界に放り込まれた。
体は動かず、目と頭がとても痛かった。自分の内側から直接他人の指に触れられ、掻き回されているような激しい苦痛に、何度も何度も悲鳴が漏れた。
閉じた世界で与えられる痛みが体を駆け巡る度、心の中からも何かが少しずつ失われ、やがてそれが「過去の記憶」だということに気付いた時にはもう、ヴィヴィリアは自分が誰なのか、ユイージナという少女が自分の何なのかさえ分からなかった。
時を経て、暗闇に響いた優しい声がヴィヴィリアに尋ねた。
「ヴィヴィ、反省した? 私の想いを分かってくれた?」
ヴィヴィリアは頷いた。本当に頷けているかは分からなかったけれど、何度も頷いて、地面に頭を擦りつけて哀願した。
「分かったから、お願いだから、もうやめて!」
自分が何をしたのか思い出せなかったけれど、こんな風に罰せられるほど悪い子だったのに違いない。
「お願い、赦して……! あなたに全部従うから!」
泣きながら縋り、謝ると、温かな手が頭を撫でた。
「分かってくれて嬉しい。大好きよ、私のヴィヴィ」
ご褒美をあげる、とユイージナは言った。
「あなたのクレストへの感情は残してあげる。あなたをクレストの傀儡にしてあげる。嬉しいでしょう? ヴィヴィリア」
「クレスト……」
その響きは、昏い世界で温かな光を放っていた。
もう、どうしてそう思うのかは分からなかったけれど。その響きが何を意味するものなのかすら分からなかったけれど。
その名は、ヴィヴィリアに残された、たった一つの光だった。
一人取り残された夜は両肩の上で泥のように重く、そこここに黒く残る血痕が、置き忘れた誰かの影のようにヴィヴィリアを取り囲んでいた。
「クレスト……」
やっと、ヴィヴィリアは理解した。
自分が何者だったのか。ユイージナが、クレストが、何者なのか。
私が何をすべきなのか。
(……クレストのところに帰らなきゃ)
こんなの絶対間違ってる。もう遅いかもしれないけれど、それでもクレストを助けなきゃ。本当のことを彼に伝えなくては。もうこんな場所にいる理由もない。ユイージナの命令に従う意味も。今は、早くクレストのところへ――。
「……行かなきゃ」
「行かせ、ない」
「……!」
誰かがヴィヴィリアの足首を掴んだ。
見下ろせば、とっくに死んだと思っていた人間が、とっくに死んでいてもおかしくないような顔色で笑っていた。
そして笑いながら、血まみれの唇に咥えた紙片をヴィヴィリアが壊し損ねた片手で引き千切った。それが確かに「見えた」。
「は……」
離して。そう言おうとした。あなたには関係ない。私は私の場所に帰るのだと。
けれど。
夜風が吹き抜け、空に青々とした木の葉たちが舞い上がる。
長く閉ざされた夜も、少女の焦燥も、深い眠りに漕ぎ出でた躯も――すべてを等しく無に帰するため、魔符は力を解き放つ。
終わりは唐突な流星のよう。閃光が、すべての輪郭を消していく。
***
見上げた山の一角が、青く燃えている。
今しがた発せられた強い光は、もう無い。
アルスは体を起こし、立ち上がった。
そこは周囲を背の低い草木に囲まれた、緩やかな斜面の中腹だった。少し登った先で森が口を開けており、黒々とした巨大な影がずっと先まで横たわっている。
咽るような血の臭いに振り返れば、裂けた腹部を庇って横たわる男の姿があった。
「……私が善人で、感謝するんだな……少年……」
言葉が途絶える。ロストベルは意識を失っていた。息が浅く、早い。このまま放っておいたら死ぬだろう。
その傍らに膝をついたアルスは暫しの迷いを経た後、片腕を掲げ、男の深紅に染まった衣の上に魔法式を展開させた。術の完成と同時に、遠い地の魔女に呼びかける。
「リティア」
ロストベルの体の上で、応えるように式が光った。これで開かれた扉の向こうで魔女が状況を確認するだろう。と、思う間もなく、横たえられた体が輝き出した。アルスのものではない力が、男の肉体を彼方から呼び戻す。
直後、ロストベルの姿が、薄れ――消えた。
後には、錆びた赤色だけが残った。
アルスは再び立ち上がり、吹く風に背を押されるようにして歩き出した。気力も体力も枯渇して久しかったが、中身の減った器はむしろ扱いが容易かった。何も思えず、感じることもないまま、ただ歩き続けた。
やがて辿り着いたその場所には、何も残ってはいなかった。
先ほどまで山を焼いていた魔力の炎も既に消えている。
爆心地は落ち窪んだ焦土と化して跡形もなく、そこに人間がいた痕跡は残されていない。周囲を探せば飛び散った欠片くらいは見つかるかもしれないが、そんなことをする意味や理由はどこにもなかった。
しかしふと、アルスは視界の隅に光を放つ何かを見つけて立ち止まった。半ば地面に埋まりかけたそれを慎重に引き上げ、確かめる。
刀だった。血で薄汚れ、刃は無残に欠けているが、握った柄から微々たる魔力の流れを感じた。
(……ああ、そういえば)
いつかあの人が懐かしそうに笑いながら、これは師から譲り受けたものなんだと話していた姿を思い出す。刀の出自に伴う眉唾物の伝承を、本人も全く信じていない口調で語りながら、けれど表情はずっと楽しそうだった。
まだ余熱の残るその刀を抱いて、アルスは瞼を閉ざした。
何かを考えるのが恐ろしかった。鳩尾が締めつけられるような感覚に思わず身体を丸めたが、痛みが引くことは無かった。
浮かんでは消える面影が胸をざわつかせる。息苦しさに喉が鳴って、堰を切った感情の波に、立っていることが出来なかった。
「……っ」
地面についた手の上に、雫が落ちる。
「僕は……ただ……」
続く言葉は浮かばない。この感情の名を伝えたい人は、もういない。思いも言葉も、もうどこにも届かない。
「……っ、う…………」
夜は過ぎ、朝日が山並みを染めていく。
長い夢の終わりを前に、アルスは無力なまま、いつまでもその場所を動けずにいた。
***
お前のことをなんて呼べばいい?
名前を持たない少年がその問いに何も答えられないでいると、問いかけてきた本人が何故か少し考えるような顔になって、たとえば、と逡巡しながら口を開いた。
「アルス、とか」
「……?」
「えーと、オレの本名がね、アルヴィスっていうんだ。ったく、お上品な名前だよ」
そう言って、居心地が悪そうに笑う。
自分がこれまで捨ててきたあらゆるものについて話す時、その人は決まってそういう顔をするのだった。
「アルヴィス?」
「そ。それで縮めてアルスって呼ばれてて。悪くない響きだとは思ってたんだけど、本当の親とは絶縁したからさ。勝手に変えちゃった。で、ちょっとした郷愁の念と一緒に、これからお前をアルスと呼ぼうかと思ったんだけど……って、まあ普通に考えて嫌だよなあ、そんな来歴の名前。ごめん、やっぱ……」
「……いい」
少年は頷いた。
「うん?」
「アルスで、いい」
「……ホントに?」
そっちから言い出したことだろうと呆れながら、これ以上あれこれ言われまいと、少年は深く深く頷いた。
「いい」
地面を睨んだまま待つも、返答がない。
しびれを切らして顔を上げると、視界を遮って柔らかな唇が額に触れた。まるで祝福を与えるように。
「……ありがとう。これからもよろしく、アルス」
それは遠い昔のこと。
やがて来る深い夜も、その先の静かな朝も、二人はまだ知らずにいる。




