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あほのこ

 どうも、アホの子です。

 やっと自分の置かれている状況を整理して、これからの道筋が建ってきたところです。

 要は下手に賢かったら消されそうだから、アホの子になる。アホの子ほど愛される作戦である。

 あれからさらに数か月。三歳になった。

 といっても、基本的にいつもの日常と変わらない。今日も使用人の17歳くらいの女の子、この世界では立派に女性と呼ばれる歳のアナに起こされる。

 アナはこの世界にいるほかの誰よりも一番接する時間が長い。

 気が付いた最初の方はもっと多くの男女が僕の世話をしてくれていたはずだが、いつの間にかアナが一人で僕の相手をしてくれるようになっていた。

 今ではアナに何か用事があったときにヘルプで来る人に世話を任せるくらい。ほとんど僕につきっきりの状況で乳母だった女性も僕が乳離れするとすっかり見なくなった。

 この世界では最初は数人で世話をして、ある程度成長したら担当が決まる、という方式の子育てなのだろう。




 僕の一日はベッドのある部屋で始まって、庭や屋敷を散歩したりするが、生活範囲は狭い。

 なんでも、ちゃんと会話ができるようになるまで、屋敷の一角から出さないで育てるのがこの世界での子育てらしい。

 なので、基本的に暇だ。

 最近のやっていることと言えば、絵本の読み聞かせ、言葉の練習などでいち早く僕に言葉を覚えさせて、ちゃんとした会話ができるようにしようとの考えらしい。

 僕が言葉を話すのが遅いからなのか、相当両親や使用人は心配しているようだ。

 今の僕はまだ人の名前を呼んだり、物の名前を繰り返すくらいのことしか言葉を話していない。

 部屋の外からは使用人達が僕を警戒することなく、僕の部屋の前でも噂話を続けているので、僕の部屋でのポジションはいつも部屋の扉のすぐ近くだ。


「坊ちゃん、今日も本を読みましょう。」


「ほんほん!」


 アナに返事をする。

 アナはよく見る一冊の本を手に僕のそばに寄ってきた。

 それに笑顔で答えると、アナは僕を膝の上に乗せ、本の読み聞かせを始めてくれた。

 本といっても前の世界にあったようなものではなく、ゴツイ装丁のとてつもなく高価そうな本で気軽に触れるようなものではない。

 アナが読み聞かせてくれる本は基本的に歴史や神話、祖先の英雄伝などの本だ。

 それをループして読み聞かせが行われる。

 今日はこの国の歴史書だ。この本を通して、少しずつ文字についても覚え始めてきた。

 アナが文字をなぞるように本を読み始めると僕は静かに聞き始めた。

 今までは結構おとなしくアナの膝の上でおとなしくしていたのだが、アホの子作戦からは徐々に騒いだり、ぐずったりとアナを困らせることにする。

 これはいくら赤子の扱いに羞恥心を覚えていないといっても、精神的に年下の女の子にする行為としてはいかがなものだろうとは思う。

 まあ、自分の命がかかっているので仕方ないと割り切り、思いっきりワガママ放題している。

 歳の割に落ち着いているアナが慌てている姿を見るのはなんだか微笑ましいい気分になったりならなかったり……

 好きな女の子にイタズラする男子の気分になった気分だ。

 、、、一日が終わった後の罪悪感がすごいけど

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