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Wheel of Fortune
カチャンッ!!
「あ…」
『はい、落ち着いて。試験頑張って。』
「ありがとう、、ござ、、います。」
ただシャーペンを拾ってもらっただけなのに、
少し触れた指先から体温が増していった…
『それでは終了してください。以上で試験は終了です。気をつけて帰宅してくださいね。』
優翔『はぁ、づがれだ…。すず、帰りにアイスでも買って帰ろ。』
「うん…」
優翔『ん?すずどうしたん?』
「え、!?別に。」
優翔『そっか、』
やってしまった。
全く試験に集中出来なかった。
いつもなら余る時間も余らなかったし、
いつもなら分かる問題も余裕が無い。
ずっと試験監督の人を見ていた。
クールな表情、すらっと通った鼻、
重くかかる前髪、綺麗な黒い瞳、
そして少し低い声…。
全てに引き込まれていく。
『試験、頑張って。』
その言葉がずっと頭の中を駆け巡っていた。
この気持ちは…本で読んだことがある。




