腐った世界
私は腐女子だ。
BLが好きな方じゃない腐女子。
つまりは腐っている。
どうしてこうなったかというと私もよく分かってないけど、気づいたらこうなってた。
そんな私は周りからさけられている。
そりゃそうだ。腐っているんだもの。臭いんだもん。
臭いは取り繕ってたこともあったけど、逆効果で余計異臭を放つという事が発覚してからは何もしていない。
風呂に入ってひどい目に合ったことがあるからふろにも入っていない。
誰もかれもが見て見ぬふりをする。
それが私だ。
「…かりん?」
久しぶりに名前を呼ばれ、振り返ると初恋の人がいた。
うわっ死にたい…
「伊東かりんだよな?お前、大丈夫か?」
「…久しぶり。情けないなーこんな姿で」
「いや、そんなことより大丈夫か聞いてんだって」
「大丈夫大丈夫。これでも生きてるから」
「生きてんの?そんな姿で…」
顔をしかめる彼。
そうだよな。気持ち悪いよな。
「最近増えてるよな。ゾンビっていうかなんていうか…」
「え?私以外腐ってる人なんていないよ?」
「何言ってんだよ。ほら、あそこにもあっちにもいるじゃんか」
彼の指差した方を見たけどそこには普通の人がいた。
「ごめん、私には普通の人に見えるんだけど、腐ってる人多いの?」
「あ、そっか。腐った人間は腐った人間を識別できないとかテレビでやってたな」
「そうなの!?!?」
「知らないけどな。てか偶然だね。こんなところでどうしたの?」
「どうしたのって…私は徘徊してるの」
「徘徊?」
「そ。家にも居れないし、マンションやアパートにも住めないし。行けるところどこもないの」
「…解放、してあげようか?」
「え?」
彼が私の頭に手をかざした。
変な呪文を唱える。
すると私の体はどんどん透明になっていった。
「うわっなにこれ何何々!?」
「これで成仏できるんだよ。良かったね」
彼はとびっきりの笑顔で言う。
「あ…ありがとう!!!助かった!!!」
「いえいえ、俺の役目ですから」
え?
「こうやってゾンビ撲滅するのが俺の仕事だから」
そうなの?撲滅ってすごい物騒なんですが。
「じゃあね。かりん」
うん。ばいばい。
かりんを見送ってから、俺は街を見た。
俺以外のほとんどの人は今はいない。
いないというよりゾンビ化している。
あの日。
光が降ってほとんどの国の人がゾンビになって。
生き残ったほんの少しの人たちにはこの能力。
ゾンビを浄化する能力が備わった。
俺は今日も知り合い優先で、他のゾンビもたまに浄化する。