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子供の食事

 村に到着した。

「うわー、ひろーい」

「うん……いえがたくさん」

 子供達が興味深そうに村を見ている。

「ぼろいけど我慢しろ、あの家に3人で住むぞ」

 子供達に掃除していた家を指差して教える。

「ぼろーい、ぼろーい」

「ぼろい……おぼえた」

 子供が私の言葉を面白がっている。

 変な言葉を覚えさせてしまっただろうか。 

 私みたいに喋り方になってもらっては困るので気をつけよう。

 子供達を連れて家に入る。


「あ~、おにくー」

 下の娘が肉を見つけると駆け寄る。

 指で突いているが手を洗わせていなかった。

「わたしも……みせて」

 もう1人の娘も駆け寄る。

「食べ物で遊ぶな、手を洗いに行くぞ」

「はーい」

「うん」

 水を入れる桶を持つと子供達と井戸へと移動する。

 手が洗いやすいように釣瓶から桶へと水を移す。

 子供達は桶に手を入れるとバシャバシャと手を洗っている。

 なかなか洗い終わらない。

 洗っているというか遊んでいる。

 どうなるか黙って見ていると、水のかけあいが始まった。

「つめたーい」

「……ぬれちゃった」

「もうやめておけ」

 風邪をひいてはいけないので止める。

 止めるのが遅かったかもしれない、子供達の服がかなり濡れている。

 桶の水を捨て、軽く洗って新しい水を入れると子供達を連れて部屋に戻る。


 先ほど使った余りの枝を集め火をつける。

「おかあさん、ひがでてる」

「なんか……すごい」

 子供達が何か言っているが今は火を起こすのに集中する。

 火が安定してきたので薪を重ね子供達に服を脱がせて当たらせる。

「あったかーい」

「ひ……きれい」

 濡れた服を干すものを探す。

 縄を見つけたので洗濯ひも代わりに使う。

 火に近すぎないようにしながら部屋にある柱にくくりつける。

 子供達の服をそこに干すと部屋にあった襤褸ぼろを持って子供達のところへ行く。

 子供達は火に当たりなが、落ちている小枝を火に投げ入れて遊んでいる。

「火傷するなよ。この襤褸ぼろで着たいのはあるか?」 

 襤褸ぼろを子供達に見せる。

「どれでもいいよー」

「ちゃんと……みよ?」

 しばらく子供達が襤褸ぼろを選んでいる姿を眺めている、姉妹の仲が良くてよかった。

 選び終わったのか見せに来る。

「いいのを選んだな」

 そう言って子供達の頭を撫でる。

 襤褸ぼろとはいえ、初めて自分で選んだものなので大切にしてほしい。

 子供達からそれを受け取り持ってきておいた水で洗うとそれも干す。

 他にも大き目の襤褸ぼろも洗っておいた。


「おなかすいたー」

「わたしも……すいた」

「ちょっと待っていろ」

 残っていた肉を先ほど要領で下準備する。

 焼けるまで時間がかかるので先に枝に刺した肉を火から離して置いておく。

 鍋に入れる草はどうしようか考える。

 外に出て別の食べられる草を見つける。

 少しかじってみると先ほどの草と違い苦みが少ない。

 これを代わりに入れようと思い、いくつか採取する。

 水は洗濯で使用したのでまた汲んでおく。

 そのついでに子供達が使う器も洗う。


 部屋に戻り先ほどの鍋で汁物を作る。

 汁物と言っていいかは疑問だ。

 鍋に肉を入れていると、子供達が手伝いたそうにこちらを見つめているので、草を鍋に入れる作業を手伝わせた。

 塩は先ほどより少なめでいいだろう。

 用意できたので鍋も火にかける。

「おてつだいしたー」

「わたしも……できた」

 誇らしそうにしている子供達の頭を撫でてやる。

 気持ちよさそうに目を細めている。

 食事が出来るまで少し時間があるので子供達の観察をした。

 

 上の娘の髪は私と同じで黒く、白いメッシュのようなラインが入っている。

 私の髪と見比べても同じような配色になっている。

 髪形はなんというのだろう、おかっぱのようなボブカットをしている。

 瞳の色は薄く赤い。

 自分の瞳の色が分からないが、下の娘も同じなのでたぶん私もそうなのだろう。


 下の娘は活発そうなショートカットだ。

 髪の色は私と違い灰色だ、白に近いのかもしれない。

 私の白い髪の部分を全体に広げたらこんな感じになるのかもしれない。

 

「もうできたー?」

「まだかも……」

 子供達がもう我慢できないといった様子だ。

 鍋の中を見るともう食べれそうだ。

 炙っていた肉も問題なさそうなので、食べ始めることにする。        

 汁を器につぐとスプーンと一緒に子供達に渡す。

「熱いからフーフーして食べろ」

 子供達は言われたとおりにスプーンで肉をすくうとフーフーしている。

「あつっ、おいしー」

「おにく……おいしい」

 レンにはまだ熱かったようだ。

 その後も子供達はフーフーしながらおいしそうに食べている。

 気に入ってくれたようでよかった。

 汁が無くなる頃を見計らって枝を刺した肉を渡す。


「わー、でっかい」

「こんなに……たべていいの?」

 子供達の言葉に胸が詰まる。

 今は気にせずお腹いっぱいに食べてほしい。

「気にせず食え」

 そう言うと子供達は肉に噛り付く。

 まだ熱かったのかすぐに口を離しフーフーと息を吹きかけている。

 もう肉も少ないので明日の朝食用に焼いてしまうことにする。

 明日も狩りをして子供達にお腹いっぱい食べさせてやりたい。

 もう飢える思いをさせたくない。

 肉を口いっぱいにほおばる子供達を見ながらそう思う。


 食事が終わり器を洗う。

 外を見ると、もう日が暮れて暗くなっている。

 水しかないので油がなかなか落ちない。

 洗い物を終わらせるとお腹がいっぱいになったせいか子供達が眠そうにしている。

 干していた襤褸ぼろはもう乾いているので回収し、それを持って子供達の所へ行く。

「もう寝るか」

 乾かしていた襤褸ぼろを床に敷く。

「うん、ねるー」

「いっしょに……ねよ」

 子供達が誘ってくれて嬉しくなる。

「ああ、一緒に寝よう」

 私が横になると子供達が両脇からくっ付くように横になる。

 風邪をひかぬよう上からも襤褸ぼろをかけてやる。

「おかあさん、あったかい」

「いいにおい……する」

 そう言っているが、子供達の方が温かい。 

 体もだが、私の心まで温めてくれるかのようだ。

 すぐに子供達の寝息が聞こえ始める。

 昨日想像していた事がこんなにすぐに叶うとは思わなかった。

 こんな生活がずっと続くといいなと思いながら私も眠りにつく。

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