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魚釣り

 川に来るのは蓮の花を取りに来て以来になる。

 まだ暖かいせいか、川の周りの植物は元気に葉を茂らせている。

 風が吹いて葉の擦れあう音が耳に心地よい。

 子供達はそんな事はお構いなくと言った感じで話しに花を咲かせていた。

 レンが話をしながら竿を振り回すので見ていて怖い。


 釣りをするための場所を探す。

 川幅は広いが、川の周りは草も多いので川に近づきにくい。

 この竿では川に近づかないと釣りは難しい。

 少し川に傾斜がついて流れが速い場所を見つける。

 水が流れぶつかりあうせいか傾斜の下は周りより水が深くなっている。

 上から目視で深さは分からないが、魚が深いところを泳いでいる。

 草も少なく川に近づけそうだし、魚も多いようなのでここで釣ることにする。

レオスは川の近くの虫と言っていたが、どんな虫がいいとは言っていなかった。


「魚の餌になる虫を皆で探すぞ」

 子供達に竿を置かせ、一緒に虫を探す。

 探すといっても、虫は沢山いてすぐに見つけられるので、捕獲すると言った方がいいかもしれない。

 子供達は特に虫を触るのに抵抗はないようだ。

 ハナが嫌がりそうかと思っていたがそんな事もない。

 短い時間で皆が虫を捕まえた。


 ライガとハナは石をひっくり返してミミズを見つけていた。

 レンは両手をおにぎりを作るみたいに包んで中に虫を閉じ込めている。

「レン、中に何がいるんだ?」

 レンが私の近くにその手を持ってくる。

 まさか覗けという事だろうか。

 レンが手に隙間を空けたのでそこから覗こうとすると、バッタが顔を出す。 

 少し驚いて肩を震わすと、ロッティが可笑しそうに笑う。

 それを見て子供達も笑うので顔が熱くなる。

 虫が怖いわけではないが、急に出てきたらびっくりする。

 

 気を取り直して針に虫を付けて釣りを始めようと思う。

 私が捕まえたのもレンと同じバッタだ。

 皆が思い思いに虫に針を刺す。

 ハナは虫に針を刺すのが抵抗があったようなので私がやってやる。

 餌が付け終わった人から川に糸を垂らして釣りの開始だ。

 ライガが経験者なのでレンとハナにやり方を教えていた。

 私は子供達を見守れる位置で釣りをする。

 川が子供より深いかは分からないが、落ちて溺れては大変だ。


「おー、なんかひっぱるー」

 レンの竿が大きくしなる。

 レンが一番初めに釣ったなと思っていると、レンがなかなか釣り上げない。

 レンの顔は必死で遊んでいるようには見えないし、水面では食いついた魚がバシャバシャと暴れて抵抗している。

 大きくは見えない魚だがその動きに力強さを感じる。

 竿を置いて急いでレンの下へ走る。

 レンの体を支えてやると、レンの腕に手を添え助力する。

 私でも少し重いなと思うので子供には大変だろうな。

 力を込めてレンと一緒に魚を釣り上げる。

 糸が切れないか心配だったが大丈夫だった。

 この魚の力強さを分かっていたので少し太めの糸が使われていたのかもしれない。

 こんな魚をレオスは子供達に釣らせようとしていたのか。

魚は手のひらより少し大きいくらいのサイズだった。

 そんなに大きくないので、この魚があれだけの力があるとは信じられない。

 釣り上げてなお跳ね回る姿に生命力を感じる。

 魚をつかみ針を外し桶に入れる。


「レンママ、たすけて」

 ライガの助けを呼ぶ声に振り返ると、ライガの竿にも魚がかかったようだ。

 ライガも魚の勢いに負けている。

 急いでライガの下に向かい、レンと同様の方法でライガも魚を釣る。


「ちょっと私も助けなさいよ」

 ライガが釣り終わるとロッティが私の竿を持って魚と格闘している。

 格闘しているというか、竿を持って魚の上を飛んでいる。

 ロッティに川岸に近づいてもらい竿を引っ張る。


「おかあさん……おもい」

 ハナの竿にも魚がかかる。

 私が手が離せないのを見て分かったのか、レンとライガがハナを助けに行く。

 子供達3人ならなんとか魚の力にも勝てそうだ。

 私はロッティと魚を釣り上げると、子供達と魚の格闘を見守る。

 ハナの竿をレンが一緒に持ち、ハナの体をライガが後ろから抱きしめて引っ張る。

 魚もそれに負けじと水面で暴れている。

 子供達が力一杯引っ張ると、魚が水面から飛び上がり川岸へと飛んでくる。

 子供達がそれを手で捕まえると3人で嬉しそうにしている。

 子供達だけの力で手に入れた魚だ。

 私とロッティは顔を見合わせると笑みを浮かべた。


 それからも釣りを続けて15匹の魚を釣った。

 桶の中が一杯になったので釣りをやめて帰ることにした。

 子供達はまだやりたがったが、持って帰れないのに釣っても仕方がない。


「楽しかったか?」

 子供達の反応を見ていれば聞かなくても分かるが聞いてみた。

「たのしかったー」

「また……やる」

「パパとやるより、おもしろかった」

 ライガの発言はレオスには言わないでおこう。

「私も面白かったわよ」

 ロッティも楽しんでくれたようだ。

 ずっしりと重くなった桶を持って子供達と教会へ帰ることにした。

 マリアも仲間に入れて皆で釣った魚を食べよう。

 帰り道は子供達が私の持つ桶の中を覗き込んで、自分たちの釣った魚の大きさを競い合っていた。


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