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銭湯計画

 次の日は珍しくマリアが寝坊をした。

 昨日のワインがいけなかったのか一緒に寝ていた子供達がマリアを離さなかったせいなのかは分からない。

 いつもより少し遅い朝食を済ませると、私はレオスの所を行く。

ロッティは今日もラドの所に行くようだ。


 レオスは職場の前にいた。

 私の姿を見かけると手を上げる。

「おう、おはよう。ラドは許可を出してくれたろ?」

 レオスは自身有りげにそう言う。

「ああ、即答だった」

「ほらな」

 レオスのしたり顔が少し腹立たしい。

 2人でそのままドンの所に移動する。

 仕事はいいのかとレオスに聞いたが、セイゾーが考えた荷車で効率が良くなったので問題ないとの事だった。


 ドンの鍛冶屋に入ると、ドンが待ってましたと言わんばかりに1枚の大きな紙を私たちに見せる。

 紙を見ると図面が描かれている。

 銭湯の構造のようだ。

 昨日話していた内容をもう図面に起こしたらしい。

 教会にあるより大きめの風呂釜で、その釜からお湯を沸かす専用の風呂桶と蒸し風呂に繋がっている。

「川の水はどうやって桶に入れるんだ?」

 私の言葉を聞いてドンがにやりと笑うと、もう1枚の紙を出してくる。

 そこにも図面が書かれていた。

 昨日の今日でここまでやったのかと驚きを通り越して呆れてしまいそうだ。

 ドンもラドが断るとは微塵も思っていなかったようだ。

「既存の水路が近くにあるからそこに水車を作ってかけいを渡して流し込むのが簡単だな。不要な水は水路に戻せるようにしておく。井戸は空き家にあるのがそのまま使えるし、そう難しい工事にはならん」

 図面を指差しながら教えてくれる。

 私は図面を見てもよく分からない。

 レオスは面白そうに図面を見ながら話を聞いている。


「どれくらいでできるんだ?」

 ドンとレオスが何やら相談を始める。

 2人で工事期間の相談をしているようだ。

「1ヶ月だ」

 ドンが私に言うが、レオスが待ったをかける。

「おい、もう少し余裕を持たせよう。建物の外観も良くしないといけないしな。さすがに家のままってのも味気ない」

「言われてみればそうだな。なら2ヶ月だ」

「おう、そうしよう。手の空いてる奴に手伝わそう」

 それでも十分早いと思う。

 私は1番気になっている事を2人に聞く。

「費用はどれくらいかかるんだ?」

 また、ドンとレオスが少し話し合う。

「材料費だけでも金貨1枚はかかるな」

 ドンが少し申し訳なさそうな顔をする。

「安心しろ、足りない分は俺が貸す。成功する確率の方が高い商売だしな。万が一失敗したら返さなくていい」

 レオスが胸を叩くと自身有りげに笑う。

 それはいくらなんでも申し訳ないとレオスに伝えるが、レオスは首を振る。

「セイゾーのお陰でそれ以上の利益が俺の所には入る。むしろ貸すというのが申し訳ないくらいだ。でも、やるって言っても受け取らねーだろ?」

「当然だ」

「だったら黙って借りとけ」

 笑ってレオスが私を説得してくれた。

「それを言ったら、この風呂釜もセイゾーが教えてくれたもんだ。銭湯が流行れば間違いなく生産依頼が入る。俺だって利益をレンゲに渡さないといけない」

 ドンとレオスが変な事で揉めだした。

 こんな言い合いの中にもセイゾーの足跡を感じてしまう。

 しばらく2人は言い合っていたが、何やら2人で話し合って納得する答えが出たのか言い合いは終わった。

「とりあえず銀貨20枚を私の金から払う。残りはすまないがレオスに借りる」

「おう、いいぜ」

「後は銭湯を作るのと営業するのに許可が必要だな」

 ドンの言葉にレオスが少し嫌な顔をする。

 何か心配事でもあるのだろうか。


「それは誰に話せばいいんだ?」

「商業組合にも話は通さないといけないが、この町にはない商売になるし町長の許可があると話が早い。町長は忙しいから相談役のシティ婆さんが狙い目だ。あの婆さんが許可を出せばまず問題ないからな」

 それを聞いてレオスがもっと嫌な顔をする。

「なんだ、レオスは何か心配なのか?」

「レンゲ知らないのか? 相談役はタイガの祖母だ」

 私の疑問にドンが変わりに答える。

 シティはタイガの祖母なのか。

「シティは獣人ではなかったぞ?」

「相談役を知ってるのか? シティの息子が獣人の女性と結婚して産まれたのがタイガだ。この町じゃ人間と獣人の夫婦なんて珍しくもないぞ」

 言われてみれば、ラドとラミットも人間と獣人の夫婦だ。

「レオスはシティが苦手なのか?」

 私の言葉を聞いてレオスが嫌そうな顔を私に向ける。

「嫌いではないんだが、うちのかみさんより気性が荒いのがな……」

 シティと会ったのは一度しかないが、確かに気の強そうな感じだった。

「なら、シティには私から話しに行く。私がやるんだしな」

 それを聞いてレオスがほっとした顔をした。

 そして嬉しそうに私の肩を叩く。

「まかせたぞ」

 会わなくて済むのが余程嬉しいようだ。

 その後、予定を話し合い、工事は明日から出来る範囲からやっていき、材料が揃ってから本格的に改装を始める事になった。

 まずは私が今からシティの所に行って許可を貰えたらの話ではあるが。

 2人は許可は問題なく下りると思っているようだった。

 私が心配しすぎなのだろうか。

 私は2人にお礼を言って、シティの家に向かった。

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