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ラビーの部屋

 食事を終えてしばらくするとラドが部屋に入ってきた。

「お腹空いただ」

 手をお腹に当て顔に少し疲れも見える。

「お疲れ様。すぐに食事の用意をしますね」

 ラミットは席を立つと部屋を出て行く。

「皆いらっしゃい。ゆっくりしていくだ」

 ラドは疲れた表情を隠すように笑顔を私達に向ける。

「お父さん、お疲れ。邪魔になるから私の部屋に移動するね」

 そう言ってラビーが私達を2階に案内してくれる。

 私達はラドに挨拶と労いの言葉をかけるとラビーの後に続いた。

 ラドはロッティの姿を見ていたが特に驚いたような素振りは見せなかった。

 私の獣の姿を見られた時もだが、この夫婦は驚いたりしないのだろうか。


 ラビーの部屋は2階に上がってすぐの場所にあった。

 というより、2階は1部屋しかなくラビーの部屋だけだ。

 そのためか部屋はかなり広い。

 部屋に入ると壁には見たことのある板が飾られている。

 黒毛鼠の足跡だ。

 結構な量が飾られていた。


「その足跡可愛いでしょ」

 私が見ていたので興味があると思ったのかラビーが嬉しそうにする。

「黒毛鼠か」

「そうなの。お父さんから聞いたけどレンゲがあの子達を助けてくれたんでしょ。ありがとうね」

 ラビーが私に頭を下げる。

「気にするな。板に書かれたお礼も読んだよ」

 それほど黒毛鼠が好きなんだろう。

「また増えてるわね。この文字が書かれているのがレンゲさんが言っている板ですね」

 マリアが1枚の板を見ている。

「そうなのよ。まさか相手がレンゲとは思わなかった」

「私じゃなかったら読めなないんじゃないか? なんでお礼を書いたんだ?」

 疑問に思っていた事を尋ねると、ラビーが顎に指を当て考える仕草をする。 

「なんとなく。伝わらなくても気落ちが大事じゃないかな」

 ラビーがにかっと笑った。

 その顔を見て私の疑問は晴れた。


「ラビーのベッド、ふかふか」

「わたしたちのより……やわらかい」

「なかなかいい寝床ね」

 子供達とロッティがベッドの上で遊んでいる。

「いいでしょー。セイゾーさんとお父さんがが作ったんですよ」

 私も見せてもらうと木のすのこベッドの上に私達が使っているのより厚めに藁のベッドが敷かれている。

 すのこのベッドの上にあるので藁のマットになるのだろうか。

「この、すのこベッドっていうのセイゾーさんのアイデアみたい。すのこなんて収穫物を保存するときに使う敷物くらいにしか思ってなかったよ」

 ラビーが嬉しそうにそのベッドを叩く。

「私の家のより立派ですね」

 マリアが少し恨めしそうに見ている。

 私はそんなマリアの肩に手を置いた。

「私達の住む小屋はそんなに広くないし、こんな大きいベッドがあると邪魔だろ」

 マリアの気持ちは分からないでもないが、木で組まれたベッドは大きく、私の住んでる小屋に置くと半分くらい占領されてしまいそうだ。

 子供達は私達の気持ちなど知る由もなくベッドで転げまわって楽しそうにしている。


「私の家にはお風呂がないんだよ」

 今度はラビーがマリアを羨ましそうに見る。

「あんな気持ちいいんだから毎日だって入りたいじゃない」

 ラビーが口を尖らせる。

「あれはセイゾーさんが作りたいって言うから」

 そう言うマリアは何故か嬉しそうだ。

 ベッドが余程羨ましかったのか、お風呂で少し優越感を覚えたのかもしれない。

 仲がいい相手だとこんな一面があるのだろうか、そういえば仲良くなると私にもよく冗談を言ってくるようになったな。

「好きな時にお風呂に入りたいなー」

「入りたいときは教会に来たらいいじゃない」

 マリアが拗ねるラビーをなだめる。

「じゃあもっと頻繁に入りに行くね」

 ラビーがそう言ってマリアに抱きつく。

 それを子供達は見逃さなかった。

「あたしもー」

「わたしも……」

「なら私も」

 子供達とロッティまでマリアに抱きついてマリアが耐え切れずに押し倒された。

 マリアには悪いが微笑ましい光景だ。


「そういえばラビー、タウンって人を知ってる?」

 気を取り直したマリアがラビーに今朝のナイフの柄に書かれた名前を尋ねる。

 マリアに言われてナイフの事をラビーに聞くのを思い出した。

「この町でタウンって言ったら、亡くなった元町長の名前くらいしか思い浮かばないかな」

 ラビーは少し考えてから思いついた人物を教えてくれた。

 ナイフの持ち主はもう亡くなっているのか。

「そうですか……」

 マリアも手がかりの相手が亡くなったと聞いて肩を落とす。

「何かあったの?」

 首を傾げるラビーにナイフの事を説明する。

「それなら、奥さんはまだ存命だからタウンさんのナイフを渡したらいいんじゃない?」

 ラビーがタウンの奥さんの情報を教えてくれる。

 タウンの奥さんはシティという名前で、現在町長の相談役として町ではなかなか高い地位にいるらしく、町の西側に邸を構えているらしい。

 タウンとは二人三脚で町を統治していた手腕を買われて今の地位がある等、ナイフを返しに行くのに必要ない情報まで色々と教えてくれた。


 遅い時間になってきたのでラビーの家をお邪魔することにした。

 ロッティはどうするのだろう。

「私は今日はここで寝るわ。このベッドの方がいいベッドなんでしょ?」

 ロッティはここで寝るつもりらしい。

「えー、ロッティ、いっしょににねよー」

「いっしょに……ねよ」

 子供達がロッティを見つめる。

「う、分かったわよ。一緒に寝てあげるわ」

 子供達に勝てず私達に付いて帰ることになった。

 ラビーに挨拶をして部屋に帰ると、もう遅い時間だったのですぐに寝る準備をして横になることにした。

 帰るときにラドから大きな藁の座布団みたいなものを貰ったが、どうやらそれはロッティのベッドのようだった。

 私達が2階で話している間に用意してくれたらしい。

 子供達の寝床の近くに設置してやると子供達もロッティも嬉しそうにしていた。

 今日は色々な事が沢山あって皆横になるとすぐに眠りに落ちた。

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