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お墓に花を

 子供達を追いかけ教会の裏の墓へと走る。

 目的地に着くと子供達は並んで墓の前に立っていた。


「こら、勝手に走っていくな」

 子供達に追いつくと、子供達がこけたなかったことに安堵する。

 子供達は蓮の花をまだ両手に抱えていた。

「私も手伝ったんだからな」

 私自身は1本も花を摘めていないが、手伝ったのは事実だ。

 セイゾーの墓の前なので何もしていないとはいいたくなかった。

「おかさん、いっしょにやった」

「おかさん……へた」

 ハナがセイゾーの墓に向かって笑顔でひどい事を言っている。


「私も初めて花を摘むんだからな。ところでハナ、お母さんの悪口を言うのはこの口か」

 ハナに近寄ってその口を優しく引っ張る。

 ハナはくすぐったいのか顔に笑みを浮かべる。

「わたしも、やるー」

 レンが私たちが楽しそうな事をしていると思ったのか真似をして私の頬を引っ張る。

 私と違ったのは全力で私の頬を引っ張っていることだ。

「痛い、痛い」

 さすがに痛いのでレンの手を離して叱る。

「ごめんなさい」

 レンは素直に謝ってくれた。

 少ししょんぼりとしているレンにハナが近寄る。

「こうやって……やさしく」

 ハナはレンの頬を優しく摘む。

 気持ちよかったのかレンも嬉しそうにしている。

 レンもハナの頬を優しく摘むと、2人で頬を摘み合っている形になった。

 お互い楽しそうに笑っている姿がとても微笑ましい。


「みなさん、足が速すぎます」

 息を切らしながらマリアがやってきた。

「私だって手伝ったんですから少しは待ってください」

 私たちの所まで来ると息を整えだした。

「マリア、運動不足じゃないのか?」

 ラビーの家から教会はそんなに離れてはいない。

 さすがに息を切らす距離ではない。

「そうかもしれません」

 本人も実感しているようだ。

 マリアは息を整えると墓の前に立ち、目を閉じて祈りだした。

 私も子供達と一緒に蓮の花を墓に供えるとマリアと同じように目を閉じる。


「セイゾー、おやすみなさい」

「セイゾー……ありがとう」

「セイゾー、お前は約束を守ってくれたよ。本当にありがとう」

「セイゾーさん安らかにお眠りください」

 皆でセイゾーにお礼を伝える。

 セイゾーはこの蓮の花を気に入ってくれるだろうか。


「蓮の花には休養という意味もあるそうです」

 マリアの声が聞こえる。

「ですから、セイゾーさんにはしっかり休んでいただきましょう」

 目を開いてマリアを見ると、マリアもこちらを向いて微笑む。

「ああ、そうだな」

 私もマリアに笑い返した。

「他に何か意味があったりするのか?」

 私の何気ない言葉にマリアが顔を曇らせる。

「離れゆく愛……でしょうか」

 その声は小さかったが、私の耳にははっきりと聞こえた。

 離れゆく愛、その言葉はなんだか私を置いていったセイゾーにお似合いな気がした。

 それでも、どれだけセイゾーが離れていこうとしても私はそれを離すつもりはない。

 それだけセイゾーが私に刻み込んだ想いは強いのだから。

 マリアを見ると胸に両手を当てていた。

 マリアもセイゾーに対して色々と想う事が多いのだろう。

 それがどんな気持ちなのかは分からないが、セイゾーはこの短い間に色々と自分の痕跡を残していったのだなと改めて思わされた。


「あれー、ローティーは?」

「ほんとだ……いない」

 子供達が周りを見回している。

 言われて気付いたが、たしかにローティーの姿が見えない。

「ラビーの家にいますよ。私達に手を振ってましたから」

 マリアしかその光景を見ていなかったようだ。

 子供達は突然走り出して、私もそれをすぐに追いかけたので気付いていなかった。


 夕暮れも近づいて来たので私達もラビーの家にそろそろ戻らなければならない。

 その前に私はマリアに1つお願いをした。

「花瓶か、なければコップを貸してくれないか?」

 マリアが私の持っている1輪の花を目にするとすぐに理解してくれた。

「すぐに持ってきますね」

 マリアは家の中に入るとすぐに花瓶を手に持って戻ってくる。

 マリアが持ってきてくれた花瓶にレンが私にプレゼントしてくれたササユリの花を挿すと部屋に飾った。

 殺風景だった部屋がその1輪の花のお陰で華やかになる。

 少し大袈裟かもしれないが、私にとってはお金では決して買えない程の価値ある装飾だ。


「わー、きれいだね」

「へやが……いいにおい」

 子供達もその光景を気に入ってくれた。

「なんだか素敵ですね」

 マリアもその光景を見て感想を述べる。

 皆でその光景をしばらく楽しんだ後、ラビーの家へと向かった。

ラビーの家に向かう途中、仕事の帰りなのか鞄を持ったラビーに出会う。


「あ、ラビーだ」

「おかえり……ラビー」

 子供達はラビーに駆け寄った。

「レンちゃん、ハナちゃん、ただいま。レンゲもマリアもただいま」

 ラビーは駆け寄ったレンとハナの頭を撫でる。

「おかえり、丁度ラビーの家に行くとこだ」

「ラビー、おかえり。夕食をご馳走になるわ」

「今日は私の家で食べるんだね。家族意外と食べるなんていつぶりだろ」

 そう言ってラビーは嬉しそうな表情を浮かべた。

「それじゃあ行くか」

 立ち止まって話していては遅くなってしまうので皆で仲良くラビーの家に向かった。

 ここで前作のラストになりましたが、中途半端な感じがしたのでもう少し話を続けます。

 うまくまとめられるように頑張ります。

 

 


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