表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/57

男達の監視

 気配がして目が覚める。

 すぐに飛び起き辺りを見回す。

 どうやら人ではないようだ。

 木の上を見ると以前見かけた猿と同じような猿がこちらを見ている。 

 特に襲ってくる気配はないので無視することにした。


 思っていた以上に寝ていたらしく昼ぐらいだろうか、腹もすいている。

 狩りでもしようかと思ったが、男達が気になったので、町に行くことにした。

 日中に町の中に入るのは気が進まなかったが、子供達のためだ。

 昨日の様子からすぐに何かを起こすことはないと思うが用心しすぎることはない。


 外套を羽織りフードを深く被る。

 昼間なのフードだけでは顔が見られてしまう。

 服の余ってい部分を裂くと口に巻く、怪しいだろうが顔を隠すほうが人に見られても平気な気がする。

 誰にも見つからないよう侵入したかったが、この時間はまだ農場で働いている人も多く見つからずに侵入するのは難しそうだ。

 仕方なく門から入ることにする。

 

 門に近づくと、門の横にペルと大きく書かれた看板がある。

 町の名前だろうか。

「ちょっと止まってくれるか」

 門番に止められた。

 皮の装備に包まれた男だ。

「町には何の用で来たんだ?」

 抵抗はあったが口に巻いた布を下にずらす。

「親戚に会いに来た」

 適当に返事をする。

「この町に親戚がいるのか?」

「ああ、中央広場を東に行くと教会があるだろう? その近くの農家だ」

 私の返事に門番が少し考えている。

「通っていいぞ。少し気になって声をかけただけだ。町に入るのに特に制限はない」

 そう言って門番が通してくれた。

 門番はああ言っていたが、目は怪しんでいた。

 制限はないといっても、知らない人間には声をかけているのだろう。

 初めて人と話した、安堵したせいだろうか急に体が震えてくる。

 このままでは怪しまれると思い、人目がない所へ移動すると体の震えが止まるのを待った。

 

 町の中央広場まで行くと昨日の宿屋が見える位置まで移動する。

 さすがに日中は人も多く男達を見つけれないかもしれない。

 町の中心なだけあって様々な店や露店まで開かれている。

 売買が盛んなのか、客の方から店に物を売っている姿も見られた。

 このままここにいても気分が悪くなりそうなので、少し待って見つからなければ移動しよう。

 そう考えていたとき、酒場に入る女を見つける。

 こんな時間から酒でも飲むのだろうか。

 金がないので酒場に入って様子を見ることができない。

 酒場はドアを開放したままなので酒場の中が見える位置に移動した。

 しばらく中を見ていると、女が給仕をしていることが分かる。

 あの店で働いているようだ。

 昨日様子を見ると言っていたのでその間の情報収集のためだろうか。

 あんなことをするやつらだ、単に金に困っているだけかもしれない。

 女の居場所は分かった。

 この場所にこのまま居たら怪しまれるし、私自身があまり長く居たくなかった。

 移動して少し町を見て回ることにする。


 町は木造の建物が多かった。

 石造りの建物もあったが木造の方が多い。

 井戸がある広場を中心に十字に大きな道がある。

 脇道に入ると道は整備されていないのか曲がりくねったりしていおり、家が密集している場所もある。

 町の中心に店も多く便利なためか、中心地に近い場所ほどその傾向があった。

 色々な場所に同じ種類の木が生えているが何か意味があるのだろうか。

 しかし、その木のおかげなのかあまり狭苦しさを感じない。

 町の外側は農家の家が多いのか、敷地も広く緑も沢山あり長閑な感じがする。

 私には不便だとしてもこっちの方がいい。

 随分と町を歩いて回った、町が広いせいか、それとものんびりと歩き過ぎたせいなのか暗くなってきた。


 町を歩いていれば人に慣れるかと思ったが、やはり不快で抵抗がある。

 獣人なら人間よりは抵抗感がない。

 お腹も空いているので今日はこのまま狩りにでも行こう。


 町の柵を越え林に行き、昨日寝た場所に戻る。

 服とナイフをそこに置くと獣の姿へと変身する。

 そのまま少し体をほぐすように運動した後、村の様子を見に行くため林を駆ける。

 村に着くと家は半分近くが焼けていた。

 林と村の間には距離があったため燃え広がらなかったのは運がよかった。

 昨日置いていた獲物を見に行くが何者かに持ち去られたのかなくなっていた。

 果物までなくなっている。

 仕方がないのでもう一度果物を取りに行く。

 獣の姿なのですぐに到着する。

 キウイのような果物をいくつか取ると面倒なのでそのまま口に入れて運ぶ。


 村へ戻ると口の中の物を出す。

 果物の毛のような部分が口の中に残り横着したのを後悔した。

 井戸は焼けていなかったので、元の姿に戻り水を汲み口をゆすぐ、何度かゆすがないと毛は取れなかった。

 果物を食べ終わると、焼け残ってる家に入り手拭と服を探した。

 服はやはり襤褸ぼろくらいしかなかった。

 町でも着ている人を見たので珍しくないのだろう。

 手拭を見つけると、燃え残った薪を集めて火を起こす。


 井戸へ戻ると水を汲みそのまま頭からかぶる。

 すごく寒いが、この世界に来てからまだ水浴びすらしていなかったので我慢する。

 私だって女なのだ。

 出来ることなら体は綺麗にしておきたい。

 また水を汲むと手拭を濡らして体を拭いていく。

 この獣人の体は耳と尻尾がある程度でそんなに見た目は人と変わらない。

 獣のように毛深い獣人も町で見たが、私は人間に近いようだ。

 首は体に比べて細く、獣の頃とは違う。

 腕もなんだか弱々しいが、なぜか力はある。

 乳房もなんだか大きく邪魔なのではと思う。

 2つしかないのは子供を産む数の関係だろう。

 足はしなやかで引き締まっている。

 自分の体を拭きながら色々と見てみるが、この体であれだけの力が出るものだろうかと不思議になる。

 体が拭き終わったので火で洗っておいた襤褸ぼろを乾かしながら体を温める。

 誰もいないとはいえ全裸でずっといるのは少々恥ずかしい。

 元の世界で獣だった頃にはなかった感覚だ。

 早く乾いてほしい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ