表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/57

夜の町

 辺りが暗くなってきた。

 これなら私の姿もあまり目立たないだろう。

 子供達が町の中に入ってすぐに追いかけたかったが、まだ人が多く中に入るには抵抗があった。

 元の世界では子供達のために餌を集めるのに必死だったが、好き好んで人が多い所には行きたくない。

 今はあの人が子供達といてくれる安心感のせいか余計にその気持ちが強い。

 子供達の服を林の木に隠すと町へ移動する。


 外套のフードを目深に被ると町の西側へ近づいた。

 町は私より少し高いくらいの柵で囲まれてい。

 これくらいの柵なら問題ない。

 柵の上に手をかけると造作もなく飛び越えた。

 警備も厳重ではないようで、見回りをしている人もほとんどいない。

 もう暗くなっているせいか町を歩く人はあまりいない。

 男達を捜そうとするが、どこにいるか分からない。

 とりあえず町の中心へ向かう。

 人の姿は男達に見られていないので、私が男達に見つかったとしても問題はない。

 問題があるとすれば、また感情的になってしまい自分が意識せず獣の姿になってしまった場合だろう。


 町の中心に来ると、まだ開いている店があるのか人の姿がある。

 あまり関わりたくないので早くこの場を去りたい気持ちでいっぱいになってしまうが、子供達の事を思うと我慢だ。

 あまり目立たない位置に移動すると回りを観察する。

 見たところあの男達はいないようだ。

 別の場所に行ってみるかと考えていると、町の東側に向かう男女の姿が目に入る。

 はっきりとは見えなかったが、たぶん男達だ。

 気付かれないようにそっと跡を付けることにする。


 東側に向かいしばらく歩くと教会が見えてきた。

 男達はその建物から少し離れた辺りで何か会話をしている。

 気付かれないよう身を潜めて近づく。

「まさか教会に保護されたのかい?」

 女が男に何やら嫌そうな声で話している。

「まだそうと決まった訳じゃないぜ。だが、教会が関わってくると厄介だな」

 教会に子供達はいるのだろうか。

「せっかく見つけた金になりそうな子供なんだ、保護されちまう前に捕まえて売っちまうよ」

「おい、まずは様子を見ようぜ。もし教会に保護されてたら、教会を敵に回すことになる。教会に追われたら今みたいに暢気に逃亡なんてできないぜ」

 保護されると教会関係者になるということだろうか。

 私の子供達が教会に取られるのは困る。 

 もしそうなっていたら子供達を連れて逃げるしかない。

 なぜか、あの人が一緒だから大丈夫という気持ちがあるが、あの人にも生活があるのだ、もし教会に預けていても私は文句は言えない。

 男達は様子を見るという意見で決まったのか、町の中心の方に戻っていった。

 

 後を付け男達が町の中心部近くの宿に入っていくことを確認する。

 宿の看板を見て初めて気付いたが、どうやら文字が読めるようだ。

 書いたことはないが書けるということも分かる。

 私が文字を書くことがあるかは分からないが、読めるのは便利だな。

 しばらく宿を見ていたが、男達が出てくることはなかったので、今日はそこで寝るのだろう。

 とりあえず今日できることは終わった。

 教会にいる子供達が気になる。

 少し様子を見て行くことにする。


 教会は敷地を低い石垣に囲まれており、建物も石造りだ。

 その建物の周りに住居なのか木造の家があり、裏側に回ると、裏にも木造の小屋ある。

 綺麗にはされているが見た目は全体的にぼろい。

 石垣を飛び越え手前の小屋にあった明り取りの窓から中を覗く。


 子供達が寝ていた。

 2人仲良く寝ている姿を見てホッとする。

 近くにはあの人も寝ていた。

 やはり子供達を教会に預けたままにせず一緒にいてくれているようだ。

 胸が温かくなるのを感じる。

「おかあさん」

「あいたい……」

 子供達に気付かれたかと思ったが、寝ているので寝言だと分かる。

 寝ていてまで自分を呼んでいる姿を見て心が苦しくなる。

 もう少し待っていてほしい。

 今はあの人に子供達をお願いするしかない。

「子供達をたのむ」

 小さくそう呟くと、あの人は気配に気付いたのか起きそうになった。

 急いで教会を後にした。


 町の近くの林の中に戻る。

 どこか寝れそうな場所を探す。

 夜明けが近いのか寒くなってきたので、さすがに地面で寝るのは厳しい。

 少し歩くと伐採された木が乱雑に積まれている場所を見つける。

 そこに横になり羽織っていた外套をかける。 

 眠りにつこと目を閉じると子供達の寝顔が思い出される。

 可愛かったな。

 あの人がいてくれてよかった。

 子供達とあの人のことを思いながら眠りにつく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ