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魔法司書の混戦記  作者: やマシン?
人形使い編
1/22

プロローグ

やマシン?です。急に浮かんだので書いちゃいました♡

まぁ魔法書の話が中心となります。

また、しばらくはこの三作品で進めたいと思いますので、宜しくお願い致します。

*大幅に直しました。すいません。

 扉を開けると、そこに彼女がいた。

 彼女は呆けた顔をし半壊になった街を見ていた。街は人々の赤で彩を増し、周辺には俺たち以外誰もいない。いや、周りには人だったもの、動物だったもの。そんなものが散らばっていた。二階の窓からそんなものが見えるくらいにひどいありさまだった。

 僕は彼女に逃げようといった。化け物はまいたが、ここもいつ発見され攻撃されるかわからない。

 しかし彼女は、目の前の現実でいっぱいのような顔をし、僕の話を聞いていないようだった。

 人は、ありえない現実を受け止めるのに時間がかかると思うが、今は受け止める時間はない。そんな時間があったら、逃げたほうがなんぼか利口だ。

 僕は、彼女の肩をつかみ顔を近づける。彼女は、ただ、顔を振り嫌だと言った。

 僕は何が嫌なのか一つしか見当がつかなかった。

 逃げること、逃げて自分だけ生き残ること。

 だが、それは彼女の意志であり、僕の意志ではない。

 勝手だとののしってもいい。だが、彼女を見捨てるのはできない。きっと自分が許せなくなる。だから無理やり連れて行こうと彼女の手を引き、先ほど開けたばかりの扉のほうに向かう。

すると彼女はつぶやいた。

 「私のせいなの。」

 その瞬間

「ドン!」

という轟音、隣の家が消し飛ぶ

イヤ

きれいに消えた。何もなかったように、元々何もなかったように消えたのだ。

化け物たちが使っている圧倒的な力、魔法。一応人間も使えるそれは、使えない人しかいないこの町にとって、圧倒的な武器以外のなにものでもない。自分たちが殺されるためにある力だ。

それにより、消滅させられたとなりの家は、先ほど開けた扉とつながっており、僕たちを、足止めするには十分だった。

おびえる彼女。

こんなものを見ておびえないヤツは、全知全能の神様しかいない。

仕方ないので、反対側。先ほど悲惨な街を見ていた窓から、飛び降りることにする。

飛び降りるといっても、下には雨除けがあり、子供くらいの体重なら乗ってもそう簡単に崩れたりしないだろう。

彼女の手を引き、そーっと乗ってみる。

目論だとおり、僕と彼女が乗ってもギシギシいうだけで壊れる気配はない。

そこを慎重にわたり、思い切って飛ぶ。彼女の手をつかみながら。

瞬間

彼女の家が消し飛んだ。彼女の家というのは先ほどいたところ。意味が分かれば、どんなに危険な状況かわかるだろう。化け物たちは俺たちの位置が分かっている。

彼女を抱くような形で転がる。家だった破片が僕たちにパラパラとおちるが、気にせず彼女の手を引きながら立ち、街中を走る。

行く当てはどこにもない。街は怪物たちが闊歩しているだろう。このまま逃げようとしてもダメなのはわかっている。でも走らなければならない。生きるために。

そして生きるためにこの町から出る。そのあとのことはそのあとだ。

彼女の家から、500m進み、そこにあるパン屋さんを右へ曲がる。そこは裏道になっており、地元の人でも、迷うときは迷う。そんな場所だった。その路地を少し先に進み、鈴木さんの家の角を左へ曲がる。そこは上り坂になっていた。僕は、彼女に大丈夫かという。彼女は息を荒げ、それでも大丈夫とへいう。

彼女が息を整えるのを待ちながらも、追手が来ているか確認。誰もいない。

このままここにいたら確実にいつかはわからないが見つかる。

それだけは嫌なので、彼女が息を整えるのを確認し坂を思いっきり駆け上がった。

坂を上り切り、右に走る。

ここを100メートル走れば森、俺たちはとりあえずだが助かる。しかしそうは問屋が下ろさない。

森に入った瞬間見えた物、この世界でグールと呼ばれている化け物が何かを食べていた。

女の人、まだ生きているそれをクリスマスチキンのように美味しそうに食べている。

まるで、いつも食べている物よりもおいしいものに出会った怪物は、先ほども言ったように、おいしそうに、ただおいしそうに女の人を食べていた。

僕は彼女に見せないよう、彼女の目を隠す。

それでも彼女は見えていた。とても怖いものを。

怖いものと言ったら、オオカミという年頃だ。外を見たことがないこの町の子供たちにとって、こんな光景は残酷そのものだ。

「ひっ。」

文章でならやり直せる言葉でもいったん声にしてしまうと取り返すことができない。

グールは、もっとおいしそうな物を見つけたような眼をし、「ウー」という人間ではない声を出しながら僕たちのほうに向かってくる。

もちろん、僕は彼女の手を持ち駆け出した。先ほど来た道を逆走、上ってきた坂を下る。下り終えたら、今度はまっすぐにある狭い路地に入っていった。全力で走っているが、グールは何気に早く、自分の体重とは言わないものの、彼女を引っ張っているせいで、速度が出せず、グールとの差が詰まる。

右左と路地を曲がり、途中のゴミが散乱している路地でフライパンを見つけた。これは使える。そう思い拝借する。次の角を曲がるとき、頭に描いたことを実行。そう心に決める。彼女を思いっきり自分の方に引っ張り、その反動を利用。フライパンの遠心力に変える。相手は一体。やれる、そう思う。フライパンは顔面直撃、振動が手を焼く。

グールは地面に打ち付けられ、一回転し地面にキスをする。お陀仏。そう思い、彼女に大丈夫かと声をかける。

腰を落とした彼女は、息を荒くしているわけでも、もちろん笑ってもいなかった。

なんで?という顔

それはそうだろう。普段おとなしい僕がこんなことをしたのだ。驚かないのが不自然。

そう最初は思った。僕がこんなことをしたからだと。しかし

「う、後ろ。」

そう彼女が言う。

僕のことではなかったのだ。

正確には僕の後ろ。さっきフライパンで打ちのめした化け物。

後ろを見ると、グールはへこませた顔をさらし、立とうとしていた。

鬼ごっこはまだ終わらない。

また、彼女の手を握り、駆け出す。それからしばらくのことだった

走っている途中で頭の上から轟音。上を見る。理解できなかった。

岩が浮いていた。いや、正確には岩ではない。岩の塊。それは、僕たちの上に、少しずつだが確実に降ってくる。思いきって彼女をつかんだまま左に飛ぶ。直撃、ではなかった。

岩の塊は落ちる直前、ふたつに分かれた。一つは、先ほど僕たちを追っていたグールを踏み潰す。

しかし二つ目は彼女の足に。

僕は彼女の岩をどけようと、力を振り絞り押す。

しかし、先ほど走った疲れ、非力な力ではその大きなものはどけられないだろう。実際に岩は、僕の力ではびくともしない。

彼女は逃げろという。泣きながら

それでも僕は押す。逃げるのは二人でだから。

この場合、人類としては、一人でも多く逃げるのが正解なのだろう。どちらが人間として正しいか、こんなのは神様が決めることだ。

だけど僕の選択は自分で決めなければならない。正しいとか正しくない関係なく僕が決めなければならない。だから

「僕は逃げない。」

そう彼女に強く言う。

彼女はあきらめたように僕に笑った。僕も彼女に笑い返した。

ウーという声

そこから僕は現実を知る。

死んだと思ったグールが地面から這い上がってくる。死んでいなかった。あの岩をもろに食らって。

僕は彼女を守ろうとそこら辺の石を投げるが、焼け石に水、いや水でも何でもない。フライパンを直撃し、あんな岩を食らって死なないのだ。小石で、しかも子供の投擲くらいで死ぬわけがない。

どんどん近づく化け物。僕は無力だった。化け物を止めようとし彼女の前に立つが、自分が先に食われ、彼女が最後にされるだけで彼女は救うことはできない。

僕は無力だ。彼女を救うことはできず、このまま彼女と一緒に死ぬだけ。

奇跡というものを信じたいが、そんなものがあるわけないと心に言う。その時

「ズドーン!!」

グールがつぶれた。

あり得なかった。今まで、倒せなかった化け物を一瞬で潰し、それは.....

奇跡は降ってきた。









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