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第3話 日米対決! 相手は全米№1ゲーマー

太陽系に堂々と白銀の巨艦が構える。この白銀一色の艦には“PAR”の3文字が真紅色に大きく刻み込まれている。

 この巨艦こそパーフェクト・フォートレス。ProfessionalAstroRangers、縮めてPARが擁する宇宙戦艦であり、彼らにとっては太陽系の守りの要でもある。

 この巨艦には格納スペースも十分に取られている。ハードウェイザーが10機近くは収まるであろう。だがこの格納庫へハードウェイザーが帰還する時は真上からの入口に帰ってきた訳ではなかった。裏口から帰ってきたと言うべきだろうか――土星へ向かったはずのイーテストとブレストは地球付近のパーフェクト・フォートレスの格納庫へと姿を見せたのである。

「どうだ玲也。俺達PARは太陽系の惑星に電装装置を既に配備済みなんでね」

「電装装置……?」

「あぁ。ハードウェイザーはなぁこの太陽系を何処から何処でも自由に行き来出来るんだぜ。颯爽登場! 謎のスーパーロボットって所だぜ」

「そのおかげで5、6人程でも太陽系は守れちゃうって訳さ」

イーテストとサティの言ううとおり、ハードウェイザーは何処からともなく現れてはバグロイヤーの侵攻を阻止していくスーパーロボットさながらの活躍を披露している。その秘訣は太陽系の掻く惑星に用意された電装装置であり、電次元界と地球の間にて、太陽系はいわばPARの最前線防衛拠点でもある。

「イーテスト・アンインストール!」

 サティのキーワードと共にイーテストの体が紫色に発光してはその光が彼女の胸へと吸い込まれていくように消える。ブレストの眼の前には角刈りのアンドリューと、ピンクの髪をたなびかせながら無重力空間を浮くスティの姿がそこには存在する。

「おーい何時までも突っ立っていないで早くアンインストールしといたほうがいいぞー」

「ハードウェイザーのインターバル忘れたのかー?」

「……あっ!」

 二人に聞かれて、フレイの顔は思わずハッとしたかのような表情を作った。その表情の変化に対して、ふと玲也も顔を彼女の方へと向けた。

「どうしたフレイ、そんな焦ったような顔をして」

「ハードウェイザーは制限時間があるのよ! そんでもって次にインストール出来るまでの時間もかかっているから!」

「何、タイムリミットとは……」

「はい玲也さん。ハードウェイザーは最大24時間までの活動が限界となっていまして……」

ミュウが言うには、ハードウェイザーの連続活動時間は24時間と約一日間しか行動をする事が出来ない。その上、フル稼働後のインターバル時間おおよそ36時間はかかる。つまり活動時間はインターバル時間の1.5倍程が求められるとのことである。

「つまり無駄なく行動せよとの事だな」

「そうよ!だからここで大人しくしている時間はないのよ! アンインストール!!」

「きゃあ!」

 フレイが叫ぶや否や、ブレストの体も素早い勢いで彼女の胸へと消えていき、全長53m、重量220tの巨体はあっという間にして、そこには何も存在しないものと化していた。その途端四人の体は決して地面に向けて落下するものではなく、ただ宙へふわふわと浮いている状態であった――ただ一人、エクスだけはまるで必死に空間を泳ごう手足をジタバタさせていたのだが。

「助けてなのですの! 私はこのようなところであっけない……」

「エクスちゃん、落ち着いてください。ここは無重力空間として設定されているようですから落ちる事はないですよ!」

「あ……もう、ミュウさん? それを早く言ってくださいませ」

 先ほどアンドリューとサティが浮遊した状態の為このような展開に至る事は当たり前かもしれない。ただ彼女たちにはそのような問題とは別の問題が既に待ち構えていた事は知らず……

「よーし、なら上がって来い……ほぉ」

「……って、なんなんだお前らその男みたいな恰好は」

「「「え……?」」」

 その別の問題はアンドリューが軽く惚れたような視線を向け、スティが呆れ気味な声をあげた事により判明した。

 その別の問題は、彼女達が出撃する直前に着用していた衣装。ハードウェイザー搭乗時のスーツは既に纏っていない。ただ一糸まとわぬ……ではないが、ランニングとトランクスという男の下着として不動のツートップを10代の少女が纏うべきではない。

「玲也さん見ないでくださいよぉ!」

「この馬鹿玲也がぁ!!」

「なぁ!」

 その瞬間、フレイによるバイオレンスな一撃が玲也の頬をえぐるようにクリーンヒット。無重力空間故か玲也の体は斜め45度の角度で勢いよく飛び、足場にぶつかって軌道が変わった時に、アンドリューの鍛え抜かれた両腕が彼の浮遊を止めて、胸元に玲也の体は受け止められた。

「おおっと玲也、大丈夫かぁ?」

「やれやれ……そこまで怒る事はないだろうに、女の下着がなければ仕方がないではないか……」

「いや、そりゃあんたガチで怒られるだろうが……あたいでもキレるぜ?」

「そういうものなのですか……」

 男勝りな気質のスティにおいても、玲也の女心が分からないにも程がある行動にはさすがに溜息一つをつきながら苦言した。一方のアンドリューは同じ男としてか、何故だが少しばかり口元を緩ませてはいたが……。

「しかしまぁ、裸ワイシャツはあるがランニングとトランクスの組み合わせは悪いもんじゃねぇ……」

「おーいアンドリュー、女として言わせてもらうがそこは禁句だぜ」

「……わーったわーった」

 ……下心に溢れた一言を口にしたオチが頬を思いきりつねられるアンドリューの姿であった。

「まぁーとりあえず玲也、お前はこっちへ来い。スティは悪いけど3人娘を何とかフォローしといてくれよ」

「しゃーねーなぁー。おーい、お前ら男どもが行ったあとはあたいについてきなー」

 玲也を羽織絞めするような状態でアンドリューは軽く地面を蹴ってそのまま格納庫から先の通路へと身を飛びださせた。それから通路の手すりに向けて玲也を軽くパッと離す。


――西暦2013年。太陽系を狙う謎の敵バグロイヤーに立ち向かうスーパーロボット達“ハードウェイザー”にニューフェイス“ブレスト”が参入し、初陣で白星を挙げた。プレイヤーとして選ばれた人物は羽鳥玲也、弱冠14歳の少年ゲーマーだ。

おそらく天性の素質で勝ちを得た玲也だが、彼はまだ戦いに巻き込まれただけで何が何かを把握してはいない。そんな彼には新たな事実、そして試練が降りかかろうとしている。

この物語は彼がゲーム……ではなく、太陽系を揺るがす程の戦乱へと巻き込まれ、持ち前のゲームテクニックで戦い抜く物語である。例ええ血反吐を吐こうとも彼は己の技を研ぎ続け、そして腕が折れようと、足が折れようとも……



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



「玲也、ここからは自分の足で先に向かえ。通路の赤ラインの突きあたりを行けば良いぜ」

「……アンドリューさん。いったい何が待ち受けているのですか?」

「お前にとっちゃ重要な事だぜ……って言ってもそりゃあ分かっているか」

慣れない無重力の通路を移動する際、玲也はシリアスな表情をアンドリューへ向ける。そんな彼に対してアンドリューが最初冗談交じりに最初は言うのだったが、玲也の表情が何一つ変わらない事からすぐさま真面目な顔つきに切り替わった。

「この先、何があるか分からないですが、行くしかないのですね」

「そうだな。その先は敢えて言わないでおくし、実際に足を踏み入れて確かめるんだな」

「了解しました……」

少し沈み気味の声で首を俯かせた玲也を見ると、アンドリューの行動はまっさきに自分の右手をドアの隣に備えられたセンサーに照らしては、直ぐに縁を藍色で彩られた灰色の扉が静かに機械音と共に開かれた。

「アンドリュー・ヴァンス只今帰還! 将軍、野獣将軍撃墜のついでに玲也を連れてきましたぜ」

「おおっ、アンドリュー君か……それに」

「……君が羽鳥玲也君じゃな」

彼が到着した先はアンドリューが控える将軍室でもあった。この将軍室にはノートPCが中央に置かれ、隣にはいくつかのファイルがブックスタンドで立てられている。この中央席に座るアンドリューと、そのデスクの視野に映る小型の机と三方に用意された柔らかい感触が漂うチェアが3席用意されている状態だ。

(ここがPAR本部……!?)

 玲也は目を丸くした。エスニックと彼の前方右側に座るブレーンは自分に対して期待と不安、そして罪悪感が入り混じったような視線を向けている事ではない。何故かこのPARを代表する二人と共に座っていた小柄な女性にはとても見覚えがある人物なのだから。

「……母さん! どうして母さんがここにいるんだ!!」

「玲ちゃん……本当だったのね」

この女性が羽鳥彩奈――羽鳥秀斗の妻でもあり、そして羽鳥玲也からすればただ一人でもある母親に該当する人物だ。

玲也は父・秀斗の道を目指して邁進を続ける決意を持つ少年だが、母・彩奈の息子でもある事を感じさせるものがある。それは瞳の形だ。彼女の瞳は穏やかな光を宿しながらも、玲也と同じく前を強く見据えるような丸く大きな瞳を持つのだ。そして玲也の14歳にしては小柄な150cmの体もほぼ身長差のない母と似通うものであった。

「玲ちゃん……!!」

 すると彩奈は静かに自分を抑える事が出来ず、思わず勢いで息子の体を全身で抱きしめる。まるで我が子の無事を心から祝福するかのように彼女の腕は彼の肩に手を添え、もう片腕は彼の頭を優しくなでている。

「良かった、玲ちゃん無事で……無事で」

「か、母さん! 俺がこんな所でくたば……」

「……ごめん母さん、あの時は仕方がない事情があったけど、母さんにいらない心配をかけてしまって」

 最初玲也は強がるつもりだった。しかし直ぐに目の前の母が涙を流している様子にそのような真似は出来る訳がなく母を心配させた事に対して謝った。その時の彼はフレイ達に対するそっけない態度とは異なり、憂い表情と共にしおらしい様子の声で謝っており、とても表面だけの謝罪ではない様子だった。

「いいのよ、いいの……」

 彩奈の答えは“無事であればそれで良い“だったのかもしれない。後頭部を優しくなでてくれる彼女の姿に息子は安堵をおぼえるかのようにそっと瞼を閉じ、ついこの間離れたばかりだったにも関わらず親子の絆がそこに存在していた事を感じるのであった。

「――玲也君。取り込み中すまない……まず君の母さん彩奈さんには事情を全て説明した」

 その母と子の再会の中、エスニックは本題を持ちこもうと動く。彼の言葉に意識が連れ戻された親子。玲也が彩奈の顔を見るや否や、彼女は目もとの涙を手でぬぐいながら首をただ縦に振るだけ。

――この場にいる人物では自分だけ真実を知らない。と玲也は察してエスニックに対し少し睨みつけたような瞳を向ける。

「まず私がエスニック・スクウェアー。このPARの最高責任者であり、太陽系の命運を握る男とでも言おうか」

「なるほど……いわゆる貴方がPARのリーダー。そのようなお方がこの俺に直々に会いにこられた訳ですか」

「そうだ。まず君は私からすれば直接会ってさまざまな事を伝えなければならない人間であり、その内一つは君に謝らなければいけない事だ」

「あ、謝らなければいけない事……」

「玲ちゃん、まずそれはちゃんと聞かないといけない事よ……」

「玲也君!」

 玲也が思わず目を彩奈の方へ向ければ、彼女はただそう口にしたのみ。その時、彩奈と同じ椅子に座り続けていたブレーンがまるで黙っていられないように玲也の元へ駆けよる。

「君が玲也君か。背はまだ子供の程じゃが、その面影は秀斗君に良く似ているぞ……」

「背の件は余計です……って秀斗は父さんの名前!!」

 若干本人がコンプレックスとしている背の低さに対して玲也が気の抜けたように突っ込み返すや否や、そこから思わぬ真実の一片を彼は知った。

 その途端、玲也の行動は一変。まるで暴徒のようにブレーンの襟元を荒々しく握りまるで恐喝するかのように声を荒げた。


「貴方は行方不明になった父さんを御存じなのですか!? 御存じでしたら教えてください! 俺においては一大事ですから!!」 

「く、苦しいぞい!それはそのな……エスニック君」

「ブレーン博士、ここはまずあがいても無駄です。私から落ち着いて単刀直入に全て話しましょう」

「オッケー、オッケー。おい玲也やめな、やめなって」

エスニックが指を鳴らすと共にアンドリューが彼の代わりのように、ブレーンと玲也の間を割って入り、玲也の手を掴み離すとブレーンからは噎せたような声が上がる。

「エスニック君、君は本当に全て打ち明けるつもりかい?」

「そうです。嘘とばれるよりも直球で全て打ち明ける事の方が傷は少ないですからね。それでもショックを受けるかもしれないが……玲也君!」

「はい……」


「……単刀直入に言おう。君のお父さん秀斗君は私達の判断で宇宙へ飛ばしてしまった。そして、その秀斗君が現在、電次元界でハードウェイザーを開発してバグロイヤーの侵略に立ち向かっている人物だ!!」


エスニックが指を刺して声を高らかに発した瞬間、彼の心はまるで落雷の直撃を受けたかのような衝撃が走る――何故、どうしてだ。俺は父さんを宇宙へ送った男を恨めば良いか、あるいは父さんが無事であることを喜べば良いか、はては父さんがハードウェイザーでバグロイヤーと戦っている事に驚けば良いのだろうか。

――何が何でそのような事態に至ったか。玲也の脳は思考状態を放棄しようとしていたのであった。

「すまん玲也君!」

「!?」

 その時、玲也の視界には自分と同じ程の背丈のブレーンがまるで縮こまっているように土下座する姿が映った。彼の悲痛な叫びに玲也の意識は自然と覚醒を遂げ、平静さを徐々に持つようになっていった。

「玲ちゃん。ブレーン博士は悪くはないわ。エスニックさんも……」

「……」

 彩奈の言葉は玲也からすれば少なからず効果がある模様。彼がその時に割り出した結論は、最後まで話を聞く事にあると感じ前より敵意を解いたまなざしで再びエスニックの元を見つめるのであった。

「玲也君、まず人類が太陽系の開発を始めた理由は、地球が抱える資源の枯渇、人口の増加問題の対策の為。現在は太陽系の資源で前者の問題はある程度解消され、残すは各惑星のテラフォーミングといった所は御存じだね?」

「……そ、そうなのですか。太陽系が開発されている事は知ってはいたのですが、そこまで進んでいたとは……」

 その時、エスニック、ブレーンが大きくずっこけた事は言うまでもない。この時代において太陽系開発進展状況については新聞の一面記事を飾るかのような記事扱いであるが、玲也からすれば、ゲームに関係のない限り興味のないこととして聞いても右から左に流れてしまうのである。

「ほぉ……こいつはある意味大物だぜ」

「皆さんごめんなさい、玲ちゃんはゲーム以外の話には全く興味がない子でして……」

「いやいや奥さん、そこは笑いながら言うことではないですぞ」

「ははははは……秀斗君も似たような事をあの時言ったからな。血は絶えないものかもしれないな」

 「父さんもですか?」

 一時将軍室は失笑の空気が漂うが、秀斗の例を話に持ち上げたエスニックのおかげで雰囲気は再び真面目な様子へと引き締まる。

「父さんは電次元界という遠い宇宙に存在する世界で、地球のゲームという文化を伝える為に宇宙へ飛ぶ事を決めました。その父さんが宇宙をあまり知らなかったのですね……」

「そうだ。しかし父さんの事になるさすが良く知っているな」

「はい。俺は父さんの背中をずっと見て育ちました。父さんがぼくに教えた言葉は今も一言一言心に刻まれています……」

 秀斗の残した言葉を口にするや否や、玲也の脳裏には秀斗の顔が浮かび上がる。その父を恋しく思う彼は、少し顔を上にあげる。その理由は父を思い出すとこの場ではふとこぼれおちてしまわないかと感じたからでもある。

 「そうじゃな。電次元界からの友好を求めるメッセージを受けて、わしたちは各分野のエキスパートを友好の使節団として電次元界に飛ばした」

「けれどもその結果が使節団は途中で消息を絶ってしまったとの事は既に君も承知だと思うが……」

 その時、エスニックは奇妙なプレーヤーを取りだす。灰色の正方形の機器のボタンを押すや否や、ノイズがしばらく流れていくが……。

『……ブレーン博士、エスニックさん。聞こえますか』

「この声は……もしかしたら!!」

――父さんだ。

 玲也は彩奈の顔を見た途端。彼女はにじませた瞳と優しい笑みでゆっくりと首を振る――間違いない、父さんだ。

「父さん……っ!父さん……っ!!」

 強く叫ぼうがプレーヤーから聞こえる父の声に返事はない。当たり前のことかもしれない。ただそれでも玲也は叫びつづけたかった。届くはずもないのに、今の自分自身がこの場所にいる事を彼は伝えたい一心であった。

「玲也君、落ち着いて聞いてくれ。この先の話は聞いてもらわなければならないことだ」

「……は、はい。申し訳ないです」

「うむ……」

 しおらしく謝る玲也を見た途端、再び彼はプレーヤーのスイッチを押し直した。

『私達は……シャトルが不時着した後……電次元界の人々に……保護され、私達使節は帰る目処が立つまで……電次元界の人々に助けられました……ですが、電次元界はバグロイヤーの前に……ほぼ壊滅です』

「バ、バグロイヤー……父さん達を襲った敵と太陽系を狙う敵は同じ……!」

「そうだ玲也君、バグロイヤーは既に数多くの銀河系を支配下に置く宇宙の敵……」

「バルゴス、ビスケンサー、アイオ、カブラ、スフォピアスと数々の銀河を既にバグロイヤーの手中に落とし、電次元界をほぼ支配した彼らは……次の標的を太陽系に定めたのじゃ!!」

「だから、俺達は秀斗さんが生み出したハードウェイザーを操ってバグロイヤーに立ち向かっている訳よ……!」

 話が大分玲也の頭の中で繋がっていく。父は決して行方不明にはなっていない。電次元界へ到着後、バグロイヤーの侵攻に巻き込まれた事で帰還が現在絶望的となっているのである。

 だが、秀斗はこの現状に屈するだけではなく、ハードウェイザーと呼ばれるスーパーロボットを生み出した。自分の父は電次元界と太陽系にて戦いの道を歩んでいた。これを知るや否や、玲也の体に流れていく赤い血潮が自然と鼓動を早め、瞳を力強く輝かせていたことは本人が一番知る事であった。

『バグロイヤーは太陽系を狙っています……そこで私達は電次元界の力を借りてハードウェイザーと呼ばれる切り札を作りました……地球のゲームです。ゲームに慣れた者でしたら操る事は決して難しくないように……作られています』

「……これは、どういうことなのですか……?」

「その言葉通りだよ、玲也君」

 玲也はきょとんとした眼で父の言葉を聞いた。ゲームとロボットお操縦が同じ事だろうかと彼は最初考えたが、実際エスニックはその考えでハードウェイザーの操縦システムはほぼ間違いではないとの事であった。 

 父の背中を追って一流のゲーマーを目指す玲也だが、ハードウェイザーの操縦など一度も行った訳でもなく無知識だ。それでも初陣を白星で勝ち抜く事が出来た件は運の良さ等の偶発的なものではなく、彼のゲーマーの腕がそのままプレイヤーとしての素質となっていたに過ぎないのだ。

『ただ……もし玲也が、玲也が……』

「父さん……!?」

 まるで本題に入るかのように、秀斗からのメッセージは突然息子の事を挙げた。今まで玲也自身が知らない所で、父が息子の事を述べる事で彼の心臓は更なる高鳴りを続けてゆく。

『もし玲也が私に負けないように成長した時には……私は出来る事ならこのハードウェイザーを操ってほしくはない……だが……我がままで……事も既に承知だ。だからだ、だからだ……』

 プレーヤーからの音声は徐々に聞き取りづらい物となり、初めてその言葉を聞く玲也はそのメッセージの先に待つ答えが何かが気になって仕方がない。

 そして、この父からのメッセージはそんな息子の願いをかなえるかのように一言を遂に発した。

『玲也の意志が変わらないようであれば……お任せします』

――プレーヤーからの声はそこで途切れた。


「ふーお待たせ……とは言ってられないようじゃないね、やはり」

 その厳かな雰囲気に水を刺すようにスティが3人を連れて将軍室へ足を踏み入れた。スティは既に事情を察していたようでバツが悪そうに笑ってから真剣な顔つきになるが、そしてPARの女性隊員用征服に袖を通した3人だがフレイが少し拗ねたような表情で、ミュウは玲也の立場を案じながらも、ただハンカチで顔を覆いながら号泣するエクスを案ずるようで何とも言えないような表情で見つめていた。


「玲也、あんたの親父がハードウェイザーの開発に携わっていたのね」

「……どうやらその通りとしか言いようがない」

「それでさ、玲也。あんたどうするつもりなの?」

「決まっている……母さん!」

 少しひねた雰囲気でこれからの道を聞いてくるフレイに対して、玲也の答えはほぼ一つに固まりつつあった。彩奈の方を振り向くと、彼女はただ何も言わずにまずは見守るスタンスを示すような笑顔を作ってみせた。

「母さんごめん……また心配をかけてしまう事になるね。けれども」

「いいのよ、玲ちゃん……貴方は父さんに憧れて一流のゲーマーを目指してここまで来たのでしょ? そんな玲ちゃんの父さんを追う生き方を私は見守ってきたのよ……」

 彩奈はライターとして今日まで活動を続けている。そんな彼女は息子を見守る事はともかく、息子の好きなことは干渉せずに思うように伸ばさせてあげる事を一番と考え続けていた。いわば放任主義に囚われるかもしれないが、それが本人にとっては一番為になる事ではないかと今日まで考え続けていた。

「私もお父さんも目標を定めたならばまっすぐその道を目指すだけで生き続けた。玲ちゃんもお父さんを超える為というならば、お父さんを救う道を選ぶことはおかしくないと私は思うわ」

 彩奈自身がライターとしての道を極めて今の自分があり、夫も一流のゲーマーを目指し続けてここまで来た。そして玲也は一流のゲーマーとしての道を歩む為、父を超える為に日々修行を重ね、この絶好の機会に対して志願をしないはずがない――彩奈はそのように

「……だから玲ちゃん、しっかり頑張りなさい。母さんはそんな玲ちゃん達を暖かく見守る事に徹するから」

「……ありがとう、母さん」

「それだけに途中で投げ出さないでね、玲ちゃん。母さんはそれが願いよ」

 唯一の家族でもある母からは自分が選ぶ道に対しての許しを得た。すると玲也はエスニックの元へ顔を向けて、一息ついてから突然地面に膝をつかせて頭を前方に下げる。


「エスニックさん、これは我がままかもしれませんが俺は決めました。この手で父さんを取り戻す為に俺はハードウェイザーのプレイヤーとして戦います……お願いします!!」

「な、何と……!」

「やはり……そのような答えを出したか、はははは」

 頭を下げてからの玲也の表情には曇り一つがないまっすぐな瞳と強い意志の眉。ブレーンは中学生でありながら無謀な決断に対して真っ先に取り乱し、次にエスニックはこの父親を救う為の息子の勇気ある決断に、血が絶えないと思いながら頬を緩ませてから清々しく笑い始めた。

「エスニックさん、俺はまだ14歳ですが真剣です。父さんの危機に対して心配をしない一人息子が何処にいるのですか」

「いや勘違いしないでくれ玲也君。先ほどの君の戦いを見させてもらったが、この若さと経験の浅さでそこまで叩きだした君ならば、私はぜひとも頭を下げてまで君を仲間に迎えたい」

「エスニック君!? まさか……」

「……すると!?」

 その時ブレーン博士のリアクションと反比例するかのように、玲也の表情が思わず明るくなった。この先に期待を込める玲也のプレイヤーとしての入口。その入口に明日を踏み入れる事が許された時に、きっと自分はまっすぐ駆けだせることが出来ると感じ取っていただけにだ。

「あぁ。私としては是非とも仲間として共に戦いたい……!!」

「やったです!!」

「玲也様ぁ!!」

「なな……!!」

 エスニックの満面の笑み。これはもはや玲也が仲間として受け入れられた瞬間だろうか。この時の彼は何時もらしからぬパッと明るい笑みを作り、両腕をぐっとガッツポーズで決める。

 この様子にミュウとエクスが自分自身のように喜んだ。エクスに至ってはお得意の玲也への飛びつきを披露して彼を倒れさせてしまう程であり、その様子にエスニックもついつい微笑を作る。

 ただ、フレイだけはどうも腑に落ちない所があるようで、黙って腕を組みながら少し冷ややかに彼ら3人の様子を眺めてはいた。

「ただ……玲也君、喜んでいるだけではいられないのだよ」

「あら……」

 そして玲也達の思い通りの展開にはそこは運ばなかったようで、真っ先にエクスが愕然としてはいた。そんな彼女の様子に対しフレイは相変わらず皮肉めいた視線を彼らに送る。

「……ほーら、やっぱりね」

「あーそういう展開もある事、俺は既に承知だったけどね」

「ほんとほんと」

「……?」

 あえて玲也に聞こえるように悪態づいた事を言うフレイに対し、まるで彼女の少し気が立った様子を軽く和らげようとアンドリューが口笛を吹いてからまるで先を見据えたような内容を言いだした。サティも少しアンドリューへ同調をしている模様だ。

「あれれ、まだエスニックさんは答えを出していないのですか?」

「そうなのだよ。期待させて悪いが、君のようなまだ14歳の子供を死ぬか生きるかの戦場に送り込む事は正直私の良心の気が引ける……」

「エスニックさん!」

 すると、玲也が少し怒り気味でエスニックに聞く。つい先ほど自分をプレイヤーとして歓迎する事に対して、明らかに軌道を変更したような彼の発言に対し、これは自分がどちらを信じれば良いかと首をかしげて、少し真実を問いただしたくなるような気分だ。

「落ち着くんじゃ玲也君。秀斗君を救いたい気持ちはわしにもわかるのじゃが」

「そうよ玲ちゃん。これもエスニックさんが既に考えられていた事よ?」

ブレーンと彩奈が擁護するように、エスニックには勿論考えがあってそのような事を言ったのである。“そこでだ“の一言と共に今後の流れを彼は明らかにした。


「そうだ玲也君! 君はアンドリュー君と戦ってもらいたい。勿論ハードウェイザーでだ!!」

「……!!」

「そう、その通りだぜ……」

 エスニックが選んだ答えが出るや否や、まっていましたとばかりにアンドリューが玲也の前に飄々と参上しては、少し斜に構えたような表情でビシッと強く指さす。


「玲也。まだ俺はお前のハードウェイザーとしての実力を認めちゃいねぇ。ここは俺との勝負でお前の実力を見極めてぇ所だ」

「そうそう、アンドリューとあたいが認めたらPARが全員玲也、あんた達を認めたって事になるぜ?」

「な、なるほど……一種の大会予選という訳ですか」

「……あんた、相変わらずゲームに例えるの好きね」

 玲也の言葉の例えはフレイが突っ込みを入れる通り変な所がある。それはさておきPARの隊員として彼らが認められる為の一つの試験がハードウェイザー同士のガチンコバトルであって、ブレーン博士はつい小声でエスニックに心配事を打ち明ける。

「エ、エエエ、エスニック君、このガチンコバトルは玲也君を危険な目に招かないかで心配じゃぞい!」

「何を言っているのですか博士。ここはD3チームの作ってくれたシミュレーターでのバトルで結果を決めようと私は考えています」

 エスニックが自分自身のノートPCのディスプレイを指さす。そのディスプレイにはカプセル状のケースが2つ存在した部屋が存在している。

どことなく模型のデータをバーチャル映像化してバトルさせるアーケードを彷彿させるデザインだが、おそらくD3チームはそれをヒントとして作ったものではないかと思われる。

「ちぇっ、シミュレーターかよなー、ハードウェイザー同士のガチンコバトルとかもありだとあたいは思うんだけどなー」

「まぁ仕方ねぇ。直接戦わせていると無駄なインターバルが生まれちまうし、そこにバグロイヤーが襲いかかってきたらそれこそ大変だぜ」

「スティ君、あのシミュレーターも悪くはないぞ。最近より本物感覚を再現できるようにディーゴ君が調整してくれたからな」

「まぁ、そうなんですけどねー、はいはい」

 このシミュレーターによるバトルの方針はアンドリューとスティからすれば、さほど楽しめられるものではないとの事。最も何れにせよ玲也はこのバトルを経験したことがないのであり、全く知らぬ世界という点に代わりはない。

「さて……という訳で玲也君、アンドリュー君のハードウェイザー同士のシミュレーターバトルを展開してもらいたい。勝てば玲也君。君は彼らのプレイヤーとして私たちは任命しよう」

「なるほど、勝てばですね……」

「そうだ。負ければなぁ……」

「冗談じゃない!」

 エスニックの視線はフレイ、エクス、ミュウの3人娘に寄る。すると負けた先に何があるのかとふと気付き彼女が玲也へ噛みつくようにキレる。

「玲也、あたしは戦う為にハードウェイザーへ志願したのよ! 絶対負けは許さないんだからね!!」

「まぁまぁ落ち着いてフレイちゃん……私は平穏な日常でも良いのですが」

「そんなのあり得る訳ないじゃない!」

「あぅ……」

 フレイとミュウの話からすると、どうやら戦うべき存在のハードウェイザーからすれば、プレイヤーの敗北はいわば戦う機会が訪れない事の様子である。

 戦う事に関しては気合全開のフレイに対して、ミュウはこの世界の日常を求めているようだが、さほど仲は悪くないがこの点に関して2人は水と油だ。

「ミュウさん、そうですわよ! 戦わずにして何を言うのかしら!!」

 ちなみに、フレイとは水と油の関係のエクスだが、彼女は意外とフレイと同じスタンス。“戦わなければハードウェイザーではない“といったところである。

「そこの殿方! 玲也様はお強いお方。特に私と組めば天衣無縫の強さを発揮するものですわ!!」

「おいエクス! お前……」

 ところが、それだけに収まらずエクスは自分が玲也の正式なパートナーであるかのように、アンドリューに対する仕返しのように今度は自分達が彼らを見下すかのような挑発を下す。

「ほぉ、アンドリュー。結構言われちまったようだぜ~」

「あぁ。言われたなぁその子に……おい玲也!!」

 だが、相手はあくまで先輩格のコンビであり、サティはエクスの挑発を全く気にしない様子で返す。ついでにアンドリューはドスを利かせた超えと共に玲也を委縮させるように睨みつける。

「言っておくがなぁ、俺は御存じ現役の全米ゲーマーチャンピオン、人類初のハードウェイザーのプレイヤーに選ばれた男だぜ」

「アンドリューさんが……最初のハードウェイザーのプレイヤーですって!?」

 その時、玲也はまた我を取りみだした。ますますアンドリューが自分からすれば差が明確な相手ではないかと感じていた。

 まずゲーマーとしては、玲也はまだ日本でそこそこ名前を知られた程度であり、その上秀斗のネームバリューによる親の七光の所もある。それに対してアンドリューは全米ゲーマーチャンピオンと規模の差もあり、叩き上げでチャンピオンに君臨した男だ。

 その上、ハードウェイザーとしてはアンドリューが最古参のベテラン、玲也はまだ一日もプレイヤー歴がない新米……ゲーマー、プレイヤーとして勝つ見込みが存在するかどうか、玲也本人には自信がない事だ。


「おお、アンドリュー君。玲也君が思わず震えている様子じゃ!」

「あぁ、アンドリュー君はこう相手を威圧する事も得意ですからね……それだけの男ではないが」

「じゃが、出来れば玲也君は大人しくここで諦めてくれれば……」

「おい玲也……逃げるのか!?」

 ブレーンの思惑はアンドリューという実力者を相手に、ルーキー玲也が委縮して白旗を挙げてもらう事だ。けれどもアンドリューの言動はブレーンから予想外の言葉でもある。


「秀斗さんは言ってたぜ……目標を定めた時には幾多もの障害が待ち構える。だがこれらの障害を全て乗り越える覚悟がない限り目標は定められない“とな……!」

「……お、俺が逃げているというのですか!?アンドリューさん」

「少なくとも今のお前を見る限りはな」

「くっ……!!」

「ちょっと玲也様、どうなさるおつもりですの?」

 その時、玲也はジャケットのポケットから慌ててメモ用紙らしきものを取りだし、素早くジャケット裏のペンで大急ぎで何かを書きなぐりその1ページを豪快にちぎり取る。

 それだけならば突飛な行動で捉われるだけかもしれないが、玲也の行動はさらなる予想を裏切る。何故ならエスニックのデスクに寝ころぶように置かれていた十徳ナイフを一瞬で手にしてしまい……挙句の果てに刃を皆の前で展開したのである。

「待て玲也君、それで何をするつもりなんだ!?」

「エスニック君、君は一体どのようなつもりでそれを……まさか万が一に備えて!?」

「違う違う。ちょっと爪切りで使っていただけであって……」

「あっ、そう地味に侮れない十徳ナイフ……ってそのような問題じゃないぞい!!」

 ……将軍と博士が何故か漫才らしいやりとりを展開してはいるが、今はそのような事をしでかす余裕はない事は言わずもがなである。

「ちょ、ちょっと玲也! どういう気でいるのよ!!」

「玲也さん、やめてくださいよ! 電次元界でもそれは法に触れる事ですよ!!」

「……大丈夫、大丈夫。玲ちゃんはそういう間違った事はしない子だから」

 流石に状況からミュウはおろか、フレイですら正気で玲也が危ない事をしでかしていると警戒してはいる。そこで唯一安心をしている人物が彩奈であり、それは実の子を良く知る母ならではの予測だろうか。

「おいおい玲也。俺はそう簡単にやられやしない男でな……」

「……答えはこれだ!!」

 一瞬の出来事。

 妙に慣れた手つきで玲也は自分の親指をナイフで浅く切り込み、先ほどのページを将軍のデスクの上においては素早く親指を押しつける。

 「れ、玲也様……」

 とエクスが彼の思い切った行動に対して気を失うアクシデントがあったものの、それを気にもせず玲也の手で完成した書類は――血判が記された果たし状だ。先ほどまで騒いでいた周囲が呆然とする一方で、彩奈にだけはこのオチが分かっていたようで安心したようなまなざしを送っていた。

「なるほどね、ジャパニーズスタイルでの果たし状か……」

「障害を前に心が迷った時には、その障害に立ち向かえる場へ自ら身を投じろ……父さんが俺に教えた言葉です」

「はは、これは一本取られちまった……それはそうと」

 アンドリューも玲也に感化されたかのように、サバイバルナイフを取り出して自分の血を果たし状に押しつける。勿論彼の署名もその挑戦状には記されていた。

「その心意気は気にいったぜ。だがな……この世界は実力勝負。それは覚えておけよ」

「分かっているつもりです……アンドリューさん、全米ゲーマーチャンピオン、元祖ハードウェイザーのプレイヤーの貴方に俺は挑戦を挑みますよ! 実力はまだまだですが俺には父さんを探す為に戦う目的がありますからね!!」


 ――今、ここに玲也とアンドリュー。ハードウェイザーのプレイヤー同士による日米決戦の開催が決定された瞬間だ。


「あーあ、アンドリュー結構本気になっているんじゃない?」

「ふふふ、燃えてきましたわよ! ゲット・ア・ビクトリー!ですわよ!!」

「いっとくけどまだあんたに出番が来るとは限らないわよ」

「まぁ、まぁ」

 この対決を前に、特にエクスのテンションが半端ない。意外と熱血キャラのフレイがやや冷めたような感じで2人を見つめており、ミュウは何時も通りフレイをとりあえずなだめることに徹していたのであった。

「エスニック君……これはこれで思わぬ結果を生んだようじゃが」

「ははは。これはこれで良いじゃないですか。玲也君、アンドリュー君。私は明日の午後6時に君達が平等な勝負を展開してくれる事を祈りたい……だが!」

 心配症が収まらないブレーンに対し、アンドリューは敬語で接しながらそれなりに安心させて、将軍らしくキリっとシミュレーターバトルでの健闘を両者に期待する。だが、またもや“だが”の一言と共に玲也へ向けて指をさす。

「今度は何ですか、エスニックさん……」

……と前例がある為流石に玲也も用心した態度で接する。

「単刀直入に言おう。今の時点では玲也君の方に分が悪い!」

「う……」

 こればかりは玲也もうすうす意識をしていた為に、反論が出来る筈がない。

「あー、それもそうだなー何せまだ一日もハードウェイザーを操っている訳でもないし」

「シミュレーターバトルバトルは知らないからなー」

「そうだ。その為に玲也君にトレーナーとも言える助っ人を呼んできた。それも君が良く知っている人物だ」

「俺にですか……?」

 ハンデを埋めるための人物は玲也が良く知る人物だそうだが……覚えがない。ゲームやハードウェイザー関係で造詣が深い上、良く知っている人物となると学ぐらいしかいない。だが、その彼が自分の為になるだろうか。ハードウェイザーやゲームの知識ぐらいで一流の実力者に拮抗出来るだけの力を得るだろうか。

「あぁーあいつか。将軍、悪くない人選ですね」

「そうだ。玲也君。もう少しすれば君の家に来ると思うから、そこで試合開始までじっくり作戦を練りなさい」

「俺の家……ということはエスニックさん、俺に帰れというのですか!?」

玲也が少し驚いたような様子で言い返す。

 ここで帰る事に関して不満を抱いているのではない。パーフェクト・フォートレスが地球の大きさが窓から分かる程の場所、すなわち大気圏外に存在しているものであり、それに対して玲也の家は日本の東京の武蔵野市の陶沖町2-130-3。この2点を繋ぐ距離は尋常な数字ではない。どのようにすれば直ぐ帰れるものなのかと聞き返したい気分に至る点は言うまでもない。


「おお、そうかそうか。玲也君、電装装置の件をまだ把握していなかったんじゃな」

「電装装置ですか……それは一瞬で家に帰る事が出来るとかですか」

「そうじゃそうじゃ、奥さんあれですな」

 電送装置とのブレーンからの聞きなれない単語に首をかしげるや否や、ブレーンは彩奈に聞けば彼女はふと思い出したように手をポンと叩いた。

「そうよ玲ちゃん!私、あれでこの場所まで来たのよ」

「……となればあながち嘘ではないとの事か」

 胡散臭い単語も玲也からすれば母が信じたならば本当だと考える事を選んだ。

 それからエスニックが将軍室の入口を空ければ上下の円状の機器からまるで砂時計状に水色の光が灯されていた。これがPARがハードウェイザーによる太陽系防衛網の形成に貢献する電装装置の一部でもある。


「これがわしの自信作でもあり、電次元界からのデータを参考に作った一種のワープ装置でもある電装装置じゃ」

「そうだ。PARに所属する隊員はこの装置のおかげで大気圏内外を自由に行き来できる訳なのだよ」

「は、はぁ……しかし、ここへ戻るときはどうすれば良いのでしょうか」

「大丈夫大丈夫、玲也君。帰ってみれば分かる事だからまずは一度帰りたまえ!」

 この電装装置に対する玲也の疑問にエスニックは笑いながら"細かい事は"気にするな“と言わんばかりの姿勢だった。とりあえず玲也達は電装装置へと足を踏み入れる直前であった。 


「玲也、約束の時間は明日の午後6時。一応日本での時間としてだぜ?」

「……分かっています。その時まで俺なりに出来る事を全て済ませて貴方に勝負を挑むつもりです」


 ……とのアンドリューから改めて決戦の約束を提示された時に玲也はその時、退く意志はない事を伝えるかのように将軍室の部屋から光に飲み込まれるように姿を消すのであった。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「本当に俺の部屋だが……?」

 電装装置による水色の空間を潜り抜けた玲也達の先。それは建前の学習机の上には無造作にあらゆる物が散らばり、PCはまるでオーブントースターの中で焦げたパンのような黒い煙を放ち続けて御臨終だ

机の隣の本棚からは本が瓦礫のように道路ではなく床に存在していた。その本棚から見れば正面に存在するハンガーフックからは彼の衣類がは本と同じく、ただ最大の相違は彼の服は何故か白のアンダーシャツ、赤のジャケット、青のジーパンが何式も用意されていることだが……。

 いわば遠隔振動発生装置の影響で無法地帯のような玲也の部屋――武蔵野市陶沖町2-130-3の一軒家に帰ってきたとの事になるが、最大の相違は先ほどの電装装置とほぼ同じ形の装置が自分の部屋に置かれていることなのである。

「あーはい、お帰りなさいです玲也さん」

 すると、目の形を除いて見分けがつかない3人組が足並みをそろえて入場した。この3人がディーゴ、デューク、デッカーことバチカンの三つ子。PARの隊員であることとは関係ないが、どういう訳で彼らが羽鳥家におじゃましているかは玲也本人が聞きたいことだ。

「あぁ、申し遅れました。私がディーゴ」

「俺デューク!」

「……デッカー」

「……とPARの誇る何でも屋でもあります」

「……はい?」

 玲也達4人は彼らをまるで泥棒のように胡散臭いまなざしで見つめるが、ただ彩奈がまた思い出したようにポンと手を叩く。

「そうそう、思い出した。玲ちゃん私はこの人達にPARへ連れて行かれたのよ!」

「おお、奥さん思い出してくれたのですね」

「……エスニック将軍の命令だから」

「という訳で、うさんくさいと思ったら大間違いだぜ!」

 と、彩奈のおかげで辛うじてこの3つ子は不審者の濡れ衣を晴らした、そんな彼らは揃いに揃って一度閉めたドアを開く。

「これは……?」

 すると玲也は眼を丸くした――なぜだろうか。明らかにこの2階には自分の部屋と物置、以外には空きの部屋1つしか用意されていなかったが、その部屋が3分割されたかのように3つの入口が用意されていたのである。

「――おかしい。何時の間に俺と母さん以外の3人がこの家に住むような造りだろうか……はてさて」

「ということは……!?」

「もしかしたらあたし達が!!」

「……ですわよね!」

 この不用意に用意された部屋の件に対して、とぼけるような玲也をよそに、ミュウは純粋に驚愕して口元に手を当て、フレイはまるで厄介な事に出会ったように少し眉をひそめながら、そんでもってエクスはこの先の展開に心が抑えきれないようであり……

「あらあら、本当に私の家をリフォームしてくれたのね」

「はい、その通りでございます奥さん」

「リフォーム結構大変だけど、外見は同じで3部屋を追加した事は素晴らしいぜ!!」

「……お代はサービスです」

 けれども彩奈だけはまるで前から知っていたかの様子で、その隣で一人息子が見事に足を滑らせるようにズッコケを決めた。普段冷静沈着な彼らしくもなく

「リフォーム……!?母さん、その件俺は聞いていないよ!!」

「玲ちゃん、ハードウェイザーの件を聞いちゃってついつい私はね……」

 楽観的に笑いながら言う彩奈だが、その提案主の彼女は単にお気楽に発案した訳ではない。この彩奈から明かされる答えに先駆けるようにデュークがビシッと親子へ指さす。

「ズバッといえば! 羽鳥家は今日から3人のハードウェイザーが同居生活ということ!いわゆるひとつ屋根の下だぜ!!」

「ひとつ屋根の下……おわっ!!」

聞きなれない単語に首を玲也が首をかしげた時、何者かが彼の両手を引っ張り、その小さいながらも、ゲーマーとして鍛え続けた繊細ながらも強い両手を陶磁器のように肌理の細かく細く長い掌に包まれる――その両手の主の正体はエクスだ。

「玲也様、どうやら私と玲也様の関係をあっさり天が認めてくださった事ですわよね!」

「少し待て、お前の話は突飛な展開が多いのではないかと思うが」

 ――普段からの考えが突飛な玲也が言う場合は説得力があるかどうかが分からないが、エクスの言動は玲也に対して盲信しているかのような無茶苦茶さがある事は確かだ

「はいはい、要はあたしたちの住み家が今日からここになるってことなのね」

「左様です、ハードウェイザーは普段この世界について学んで自由を感じてほしいとの事がエスニックさんの願いですので」

「そうなのですか。少し嬉しいです……」

「ミュウ、あんたそれでいいの……はぁ」

 エスニックの言うとおり、電次元界が生んだスーパーロボットを宿すハードウェイザーの普段はこの地球人とほぼ変わらない姿。そのハードウェイザーを普段エスニックはプレイヤーのパートナーと共に行動させて、この世界について把握してもらう事が重要と判断しており、それは戦う宿命のハードウェイザーを運用するPARの最高責任者としては一つの良心か、罪滅ぼしの意味が込められているかは定かではない。

 ただ、この思わぬ展開に真っ先に期待するエクス、照れながらも悪くはないと考えるミュウ、あまり興味のないフレイともども彼女達が思春期真っ只中の14歳の少年と“ひとつ屋根の下“とは御都合主義にも近いおめでたい展開だろう。

「もう! 玲也様ぁ、今日から幸せの日々で花嫁は14歳という訳ですわね!」

「訳のわからない事を、大体これは俺ではなく母さんが決めたことでな……」

 エクスのラブアピールに対して1日しか過ぎていないにも関わらず玲也は食傷気味だ。元から興味のない事を指摘すればそれまでだが、それ以前にこの展開は“本人の望んだ事ではない”と分からせようとした時であった。

「そうね……玲ちゃんと戦う宿命を背負っているから、まず私はそれが良いと考えたことなのよ」

「母さん……!?」

 ――ところが、彩奈が玲也の一枚上手、この息子にしてこの母親だ。


「さぁ、男物ばかりしかなかったこの部屋だけど、フレイちゃん、エクスちゃん、ミュウちゃんが気に入ると思うコーディネートで部屋を用意しておいたわ!」

「流石玲也様のお母様ですわ!」

「はい、それはちょっと楽しみですね。私もどのような部屋か気になります……フレイちゃん」

「はいはい、分かった分かった。とりあえず見ればいいんでしょ見れば」

彩奈は普段の穏やかで明るいノリで3人娘を部屋に案内する。この流れに対してエクスが彼女の本心を知るかどうかとなると多分否であろう。

そしてミュウだが、彩奈の眼を見て何か判断したかのようにエクスへ同調するついでにフレイを彼の部屋から引っ張り出すように声をかける。ここは水と油に対する潤滑油として彼女の役目は果たされたであろう。


「玲ちゃんが選んだ答えだけど……母さん、エスニックさんからの話を聞いた時から玲ちゃんが選ぶ答えが分かっていたわ」

 やがて3人娘と3つ子が玲也の部屋から去った後に彩奈が戸を締める。母と子の二人きりの環境で子は母の思惑の全貌を知らされようとしている。

「玲ちゃん……龍造寺隆信と鍋島直茂の件を知っているわよね」

「あぁ……一代で飛躍を遂げた九州の戦国大名とその右腕。2人の関係は隆信の母・慶聞尼が築き上げた義兄弟で……!!」

 この何も関係のないような戦国武将の話題に対して玲也は一瞬で話の流れを把握して彼女の本心に気付き瞳を思わず丸くして息をのんだ。ちなみに日本史の勉強はからっきしの彼であるが、この龍造寺隆信の一件は歴史シミュレーションゲームで知った事である事も付け加えなければならない。

「龍造寺隆信の母・慶聞尼は強豪が多い九州で、勢力を回復させたばかりの龍造寺家が生き残る術として、自らを駆使して隆信の武勇と直茂の知勇を一つにまとめた……母さんはエスニックさんの話を聞いてこの方法を使おうと決めたわ」

 彩奈は玲也が秀斗を救う為にハードウェイザーのプレイヤーとして戦う事を選ぶと予測していたのだ。

それだけではなく、彩奈は息子に選択をゆだねると判断したどころか、ハードウェイザーとプレイヤーの強固な関係を作り上げる為の御膳立てとして彼女達を羽鳥家の一員に招く事を決めた。息子の行き先を読んでのこの母の行動に息子はただ彼女のキレる頭脳に息を思わず飲み、そして自分の道を支持する母の愛に感謝をしないわけがなかった。

「母さんそこまで考えて……それにここまでしてもらうなんて!」

「いいのよ玲ちゃん。貴方は自分がこうと決めた道を最後までつらぬき、その為にぶつかってもくじけずに歯を食いしばって何度も立ち上がるような強い子。そんな玲ちゃんを母さんが応援しないじゃないの」

 羽鳥彩奈――羽鳥玲也が最も大切な女性でもある母だ。行方不明の父だけでなく、今ここにいる母を尊敬する理由は、玲也は女手一つで育てられ、彼女が常に息子を信じ続けて暖かく見守れてきた事が大きいのだ。

「玲ちゃんはゲーマーとしてここまで頑張ったのだから、ハードウェイザーのプレイヤーの道も、お父さんを助ける目的があるかぎり大丈夫……だからその夢を大切にして、あの娘達としっかり頑張りなさい」

「はい……母さん、これからも迷惑をかけるどころか心配をさせてしまうけど俺は絶対に諦めない……これだけは絶対約束する!」

「それなら大丈夫よ、玲ちゃん」

息子の力強い決意の一言に、彩奈は何時も通りの息子に対して見せ続けた屈託もない笑顔で答えた。

彼女がそう笑っていられる理由に関しては“玲ちゃんなら頑張れる”と今までの彼の姿から知っていたからである――そんな母はついでに玲ちゃんに自分が一流のライターとして一人息子を養ってきた自分だから3人増えようが大丈夫だと頼りがいのある事まで言ってみせた。

「さぁて、私も疲れたから早くお風呂に入りたいけど、玲ちゃんが先に入りなさい」

「俺が? 母さんこそ俺に対して心配させられたと思うからこそ……」

「玲ちゃんは戦ってきて、その明日にまた戦いがあるんでしょ? なら疲れてるのは玲ちゃんの方でしょ」

「う……」

母に心配をかけさせまいとつい、このような思いやりを見せてしまう玲也だが、彩奈がそんな息子の健気さを知りながら思わずクスッと笑い、背中を押しながら息子を戦場での疲れをいやすかのような我が家の浴室へと押し出そうとした。

「それとも玲ちゃん……まだ甘えたい年頃なのかしら?」

「……母さん! 俺はもう14歳ですから!!」

 本人は女心に対して鈍感だと自覚はしていたが、親心に対しては敏感だ。彩奈の誘いに対して彼はハロゲンのように顔を赤くしながら慌てる足取りでタンスから寝間着を取り出して階段を駆け降りた――それから彩奈が「もぉ」と呟いたがその本心はその場にいず、声も聞かずの一人息子が知る訳もない。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「……今日とは果たして何であろうか」


 羽鳥家の浴槽は辛うじて玲也が足をのばし切れるまでの幅。その体中の疲れを解き放とうと玲也は体中から力を抜いて、ただ真っ白な天井を見つめながらため息をつく。その為息は湯気と共に白い気体として天井に昇る。

「昨日までゲーマーとしての修行に明け暮れていた俺がハードウェイザーというロボットのパイロットに選ばれて本当に戦うとは……夢だろうか」

このハードウェイザーのプレイヤーとしての第一歩を踏み始めた事に玲也は期待と不安が混じり、それとは別に本当にその道を歩む事になったのであろうかと思えた。

理由はハードウェイザーがゲーム感覚で操縦できるシステムであり、彼はゲームを操るような感覚でハードウェイザーを動かし、いわばそれはゲームをプレイする事と近いものと捉えていたからだ。

「いや、俺は確かに父さんの声を聞いた。このハードウェイザーで父さんを苦しめるバグロイヤーと戦う事が出来る。それから父さんをこの手に取り戻す事が出来るはず……!!」

 ――ならばあの時に聞いた父の声は幻聴だろうか。"違う、そのはずがない"と玲也が父の話を信じた時にハードウェイザーのプレイヤーとして戦う玲也の道がはっきりとまぶたの裏に映し出されていくものである。

「ゲーマーで父さんを救える訳ではないが、プレイヤーはそれが出来る。だがそれには試練が待ち受けていることも承知……現に明日だ」


 早くも立ちふさがる相手――アンドリュー・ヴァンスのイーテストとのシミュレーターバトル。

 相手はゲーマーとしても、プレイヤーとしての実力も玲也より頭一つは抜ける。けれども玲也自身はこの勝負を受けて立った。それならば立ちふさがる相手に何としても勝ちを掴み取らなければならない。その為には“勝てるようにする事”を考えなければいけないのだ。

「ゲーマーとして頭と体力、テクニックも度胸も鍛え続けてはきた。この半日でプレイヤーとしてど素人の俺はどこまで鍛えれば良い」

 ――まず何を鍛えるか。ハードウェイザーに関する知識を一夜漬けだろうと頭の中に叩きこもうか。

――いや、常日頃の筋トレを何時もより過酷にするべきか。そうだ何時ものジョギングコースを今夜逆立ちで完走を目指すか。

――それよりもコントローラーさばきをみがくべきだ。今度の舞台が何時衝撃が自分に襲いかかるか分からない事を考えるならば、絶叫マシンの上や中でコントローラーさばきを磨くのみだ。

「……いや駄目だ、それで勝てる相手となるかは難しい。いや……?」いg

 その時エスニックからの言葉を思い出した。玲也とアンドリューのハンデを埋める為にトレーナーのような人物が一人やってくると、それもその玲也が良く知る人物であるとの内容だ。

「学以外に誰が来るか思いつかないが、何。ここはその人物に学ぶ事が必要と考えよう」

 ――その良く知る人物から教えを請う事が必要だ。

 玲也は自分の力で障害を乗り越える性格ではあるが、それまでの過程では利用できる事は何でも利用する意外とマキャベリズムな一面も持つ。

だから彼は決めた。その人物に対して手をついてまで学ぶ事を。例え厳しいかもしれないが、ゲーマーとしての試練で父から託された試練や己が己に与えた課題をこなしながら慣れた身。“耐えろ扱き、超えろ限界”の姿勢で行けば怖くはないと。


「ふっふっふ。玲也様お悩みのようですが……」

「……?」

「お悩みでしたら大丈夫ですわ! 同じ屋根の下の私がそばにいましてよ!!」

 その時に現れた人物は誰となるとその言葉遣いと大胆さからはエクスしか思い浮かばない。

 その彼女、惚れ込んだ相手には恥じらいがないものであろうか。堂々と浴室の扉を開いては、バスタオルは体中にまいているものの、艶かしい首筋や既に肉感を感じずにはいられない太ももはしっかりと玲也の視線には見える。勿論これくらいのことで彼女は照れもなにもないので、さらにアピールを重ねようとは考えている事なのであろう。

「何だエクスか」

「はい……って玲也様?」

「まぁ良い。お前も入りたいなら入れ。俺は気にするような男ではないからな」

「……」

 ところが、ところが、ところがでもある。この図太い神経の持ち主、女心知らずの鈍感はこのアプローチに対して斜めに飛ぶ行動を取る。この男、思春期真っ只中の14歳。実の母に対しては照れる彼だが、同年代の少女には運とも寸とも、びくとも憶ともしない奴であった。

「……玲也様、それは本気でして?」

「俺がこの場で嘘をいえば何になる」

「……恥ずかしいですので後ろを向いてよろしいでしょうか」

 ここでエクスはさすがに恥じらいという感情が生じて引いた。ただ玲夜が黙って後ろを向けば彼女はそっとタオルをかけて浴槽に身をゆだねた。この瞬間に小柄で細身ながらも日々鍛え抜かれた背筋にエクスでさえ赤面して心臓の高鳴りが徐々に大きくなっていくものだが……この玲也全く気づいていないのだろうか、いつもどおりの無反応でもある。

「そ、それより玲也様、どのようなことをお考えになられていたのでして?」

「俺がハードウェイザーのプレイヤーとして戦う事、そしてそれ以前にアンドリューさんを相手にどのように勝つかの事。ただそれだけだ」

「さ、さすが玲也様。全くブレのないお考えなのですね」

「当たり前だ。俺は父さんを救うために努力を重ねて己を鍛えるのみ。それは昔も今も変わることはない」

「お父様の事、大事に思われているのですね……羽鳥秀斗さんのことを」

自分に対して褒めちぎるような言動は何度も聞いてはいたもので玲也からすれば“どうでも良い”事との認識となってはいる。

だが、彼女に秀人の件を言われると少しばかし興味が向いたようで思わず彼は真後ろの彼女の方を向く。すると何時もの高貴なお嬢様ぶった彼女の様子とは異なり、静かに瞳をそっと閉じた表情も静かな優しさを醸し出すようであった。

「私のお父様も、お母様も立派な方でした。私はそんなお父様やお母様の背中を見て育った身なのですから」

「ほぉ……」

 少し玲也の口から感慨の気持ちが漏れた。ようやく二人の間に接点が見つかったかのような感じも多少はしたのかもしれない。

そんな彼女の話を聞くと少し面白い流れとなった。エクスの父、サンド・フォックスは電次元界の第3艦隊を率いた人物、母ロッカ・フォックスがハードウェイザーの開発に携わった電次元界側の主要人物でもあったのだ

「なるほど、父さんとお前の母さんがこのハードウェイザーを作りあげたとは……偶然も程があるが」

「ふふふ、“偶然とは”玲也様らしい言葉ですわ。もう一つ付け加えて申しますと、この結晶が私なのですわよ」

「なっ……!?」

 その時、玲也の体が思わず浴槽から大きくずっこけそうになり、両手で浴槽を慌てて掴むとすぐさま彼は顔に静かな怒りを瞬時に漂わせ、その怒りは場合によっては顔から怒りが赤く爆発してもおかしくはない。

「ふふふ、玲也様さらに驚いていらっしゃいますわね」

「当たり前だ! 一体それはどういう了見だ!!」

「え、えぇぇ、玲也様! この体ですよこの体!!」

「それはいわばだな……俺は認めないぞ!!」

 状況はさらに悪化してはいる事は確かだ。何より玲也の父とエクスの母が……との話の流れからなるともはや"男女関係"の話に過ぎない。その時に玲也は“俺が父さんと母さんの子で、一人っ子だ”と彼らしからぬムキになった様子でありエクスが彼の扱いに対して初めてうろたえた瞬間でもあった事を付け加えなければならない。

「落ち着いて玲也様! この体がハードウェイザーのために作られた体なのですよ!!」

「何……何故だ?」

 その真実が含まれた言葉は、彼をクールダウンさせる一方で、思わぬ背景を知るきっかけとなった。

 ハードウェイザーの為に作られたこのからだとなれば、それは人造人間やアンドロイド等に近いものであろうかと疑問を抱きながら問いかける玲也に対してエクスが口を開くまではそう時間がかかる物ではなかった。


「ハードウェイザーは電次元界からのスーパーロボットですが、電次元界から太陽系までバグロイヤーに気付かては元も子もありません。無人ですからね……」

「なるほど……あらゆるマシンもメカもそれを動かす人間がいなければガラクタ同然……」

「さすが玲也様、相手を欺く為にまずハードウェイザーをデータ化させて、それだけではなく、そのデータの入れ物としてこの体が作られた訳なのです」

「つまり……メモリーカードやSDカードのようなものか」


 エクスからハードウェイザーのメカニズムを玲也は知ることとなった。

 全長20メートル以上の巨体を誇るハードウェイザーではあるが、太陽系への輸送時を考慮してプログラムデータとして設計される事になった。

 そのプログラムデータが亜空間、いわばブレストが以前一時的に突入した空間のエネルギーと結合、いわばインストール、ダウンロード等の”電装“を起こす事によりハードウェイザーの型が作られるものだという。いわばプログラムデータがまさしく設計図であり、亜空間エネルギーが一種の資材としてハードウェイザーが構成されている。まさしく瞬時に巨大化して出現するハードウェイザーだが異なる空間のエネルギーを借りて具現化させる”電装”プロセスには限度があり、その一つの制限が24時間なのである。

「つまりお前がメモリーカード、空間がゲーム機本体、そして俺がコントローラ―ということなのか」

「そのたとえであながち間違いはありませんわ。そう簡単に起動できないものですが」

玲也の答えはほぼ正解とエクスは言う。そのほぼとはハードウェイザーを電装させるにはそれ相応のエネルギーが必要とのことで、フレイがブレストにそう簡単に電装してみせた行為は自分達の体力を消耗するタブーな手段でもあるとのことだ。

「これが……そのデータ、勿論私のハードウェイザークロストのスペックがこの中に入っているのですわ」

「これが……?」

 エクスが何もない場所から金色に輝く8cm程のディスクを玲也に差し出してみせた。何故か彼女は赤面していたが、それについて玲也は特に気にせず、それ以前に気付いたかどうかは分からない。

「けれどもデータがそのディスクにあるならば……別にお前達は」

ただとある点に玲也は気付いた。ハードウェイザーのデータが収録された“入れ物“は存在しているものであり、その点からすれば何故彼女達がいる訳だろうか……との点でもある。

「……それは、ハードウェイザーが太陽系の為ならず電次元界の命運もかかっているからですわ」

「……何」

 その時、エクスは使命を背負った誇り高き女戦士そのものの顔だ。ハードウェイザーはバグロイヤーに対しての太陽系の危機を救う為に2つの世界の技術が生んだ傑物。その目的は太陽系を救う事だけではなく、いずれかは電次元界を救うことにある。

「私は電次元界の為に戦うお父様、そしてハードウェイザーを生み出したお母様の為、まっさきにこの体を志願した訳ですのよ……」

「――姿形は変わらぬが、ハードウェイザーを宿すこの体にか」

 エクスにはエクスなりの決意があってこの戦いを選んだ訳であり、その電次元界で戦う両親の為に身を投じた彼女の姿は父を救う為に戦う事を決意する玲也とあまり相違はないものである。

 そしてハードウェイザーを宿す為に作られた体にはハードウェイザーの電装、操縦の役割を担い、時にはその体さえデータ化させる事も出来ると本当にハードウェイザーで戦う為のデータで構成された物でもあった――この世界の人間の体ももしかすればデータの集合体ではあるが、それとこれとはデータの種類が違うと判断してもらえれば一番分かりやすいだろう。

「ですが、私は別にこの体になろうとも悲しんでいないですわ」

「お前の父さんと母さんの為ならば俺と似ているものかもしれないか……」

「その通りですわ、それに私は元の体を取り戻す事が出来る訳ですから」

 ただ彼女達は必ずしも人としての生涯を捨てて、戦闘兵器として命をささげたという訳ではない。故郷の危機に加えて個人の危機を必ずしも背負う必要はない模様だ。

「今の私達はこの頭や記憶だけを外見がほぼ変わりませんこの体に移しただけでして、電次元界の安全な場所で眠っていますから」

いわゆるコールドスリープで抜け殻のまま本来の彼女達は眠り続けているのである――姿形は変わらない一つの切り札に心を写した彼女達の最終目的は元の体を取り戻すことでもあった。

「つまり俺達がバグロイヤーの侵略をこの太陽系から退け、突入した電次元界を救った時に俺は父さんにお前達は本当の体を取り戻せる……ということだな」

「その通りですわ! ですから私達バグロイヤーと戦う目標は同じということでしてよ・……それにですわ」

「……それにとは?」

 玲也の両手を優しく包み込み、そして激しく振るようなクスがこの時何を思うかはその手の話に無頓着の彼に届くかは難しい所。

そんな彼を察するかのように彼女が行動を起こした時であった。


「エクスーーーーーーーッ!!」


……と突如シリアスな雰囲気を吹き飛ばすかのような怒声と共に浴室の扉が何者かに開かれるのであった。

 その扉を開けた人物とはフレイ。先ほどの玲也のように頭からは湯気が温泉のように浮ぶ状態が続き、浮かび上がった漆黒のツインテールもどことなく橙色に映るように見えてまるで彼女が炎そのものの怒りを体で表すかのごとく燃やしてはいる。

「フレイちゃん、いきなり開けるのはよくないですよ……」

 ちなみにミュウは脱衣所から少しばかり顔を出して彼女もまた赤面だが、怒りではなく照れによるものだ。無理もない同年齢の異性でもある玲也が入浴中であり、繊細な彼女には少しばかり刺激が強い。

「何なんですの貴方達は!私と玲也様でせっかくこれからに向けて盛り上がっていましたのよ!!」

「そんな盛り上がり方誰も望んでいないわよ!」

「フレイちゃん……あとエクスちゃんもなるべく刺激の強い交流は少々……」

「あーら、もうミュウさんったら照れてますわね」

「あぅ……」

 とりあえずフレイとミュウからすればエクスの玲也に対するアプローチがあまり気に入らないとの事。そんな二人のライバルに対しエクスが自分だけにしかできないこの大胆な行動をアピールするかのように鼻高々と自慢して見せる。

「何だ。フレイ、ミュウ。話は分からないがお前達も入りたいならば別に俺は構わないが」

「「……」」

――ただ、エクスよりもやはり玲也の方がこの手の話題には図太いか無頓着な人物のようであった。この淡々としながらも何処かへ突き抜けたような彼のリアクションに、フレイとミュウの感情はニュートラルに戻されるが……。

「いや、この浴室に4人まで入る事が出来るかどうかだ」

「そんな問題じゃないわよ馬鹿!!」

「そ、そそそそそのようなことを玲也さん、軽々しく言ってはいけませんよ!」

 次に繰り出すそんな発言は2人に対してそこまで効果がない点も付け加えなければならない。

「分かった分かった。俺もそろそろ出るとしようか」

 さすがに少しは空気を読んだか玲也は湯船から体を挙げようとした時であった。背中合わせの状態でエクスの腕が彼の手へと掴んでは引っ張るようにして離そうとはしない――

空気を読まない彼が珍しく空気を読んでいても、エクスが空気を読まなければこの流れはあまり変わらないという事であろうか。

「それは駄目ですわ玲也様! まだ私の話はこれからでして……」

「ちょっとエクス! そいつはあんたの物というわけでもないんだから!!」

「フレイちゃん、もしかしたら……」

「それはないわよ!!」

四人の中で一番空気を読むスキルに長けるミュウが彼らの中では良心を体現するかのよう。そんな彼女がフレイの内心を案じての助言を行うが、その結果は仁義なき関係の二人に余計な水を差すようなものに過ぎない――良い事を言う人ほど早くこの場から引き下がれと場の空気は声なき声を放つのであろうか。

「あーら、それならば玲也様はこのまま私達がいただきますわという事ですわね」

「あのー、エクスちゃん、これから私達はいわゆる玲也さんを中心とした1つのチームです。こういう喧嘩の元になる事だはあまりやらない方が良いのではないかと思いますが」

「それでしたら、貴方も私のようにアプローチしてみては?」

「いえ、そのような問題ではないものでして……」

「あんたねぇ……」

ミュウの良識のある声はついでにエクスを増長させる結果へと繋がる。それでも彼女を思いとどまらせようとするミュウではあるが、フレイはもはやそれが彼女とさじを投げているような態度でもあった。


『玲ちゃ~ん。湯加減はどう』

「……!!」

 ところが外から彩奈の声がした時まるで急所を突かれたかのように玲也の表情は思わず一瞬張りつめたものになり、まさかと思うがと浴槽からで飛びだそうと構える。

『玲ちゃん、のぼせてないか心配だし。久しぶりに親子水入らず』

「……待ってくれ母さん、今直ぐに出るから!!」

その途端玲也は立ち上がっては、片手でひょいと浴槽を飛び越える。素早く浴室の床に足をついてはかけてあったタオルを腰に巻いて音速のスピードで駆け抜けた。女三人と浴室で一緒になろうと何とも感じてはいない彼であったが、たった1人の母親に対する感情は相当異なるものなのかもしれない。

「……はわわ! 玲也さんのが……ってエクスちゃん!」

「この件、忘れない事にしますわ……はぁ、はぁ、はぁ」

「……ざまぁみなさい」


 そんな玲也の行動に対する被害者が二人。エクスが顔どころかが全身が桃色なままその場でへなへなと崩れ落ちてはドキドキと震える。ちなみにエクスが浴槽の湯にどういう訳か血潮をダラダラと流している訳であり、これに関してはハードウェイザーを宿す彼女達は一応血が流れる仕様であろうか……。そんな戸惑う2人に対しフレイのリアクションは“やれやれ”と言わんばかりであった。ついでに彩奈は「もぉ」と笑顔で口にしてはいたが、その言葉を聞いてはいない実の息子が母の本心を知るかどうかは定かではない。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「はぁ、はぁ、はぁ……母さん、久しぶりにそのネタだけは勘弁してくれ。俺はもう14歳なのだから」

 その時の玲也は廊下で慌てて青のラインの入ったパジャマに何とか袖を通し、バスタオルで頭をガサガサと拭きながら歩いてはいた。

 

ピンポーン


……とその時、家のチャイムが鳴った。時間はちょうど9時を過ぎた所であり一般的に客の来る時間ではない。少々髪は乾いてはいないがあれから浴室から3人娘が来る訳もなく、何処かにいるはずの彩奈が来る事もなく、これは女四人でお付き合いだと玲也にしては珍しく察したのでもあった。


「はい、羽鳥ですが……」

『――もしかしたら玲也君?』

「……誰だ」

「へへ、助っ人到着~といった所だね」

「……まさか!」

 インターホンで玲也が出た時、来訪者が“助っ人”である事を知った。

その時の玲也はまるで注文した品が届く瞬間を味わうように、勢いよく取っ手を引いてドアを開けた。

「へぇ~! 君が玲也君かぁ~」

 その助っ人とは、ピンクの耳当てに、オレンジのベストがトレードマークのような、人物は自分より少し年下のあどけないような少年に見える。けれどもその助っ人の声はどことなく高く甘い。快活な様子だけれども何処となく可愛らしい。

 そんな助っ人はオレンジピンクのショートヘアーが良く似合うような笑顔を作って見せる。

「予想していたよりも子供っぽいけど、僕嬉しいなぁ。大体僕と同じ年ごろくらいでさ」

「子供……いや、俺は14歳だがお前よりは……」

「14歳かぁ……じゃあ僕と同じ年だね!」

「む……」

 助っ人として現れた人物だが、本当に玲也が望んだ助っ人であろうか。その助っ人に少しばかり気にして入る子供っぽい外見について少し不機嫌気味だ。

「それよりお前は誰だ。俺にはあまり時間がない」

「僕はシャルロット・カードリッジ、フランスから来たPARの天才プログラマーといったところかな」

「……シャルロット、となると女の名前……?」

「ピンポンピンポーン!」

 

 その助っ人の実力は玲也の側からするとまだ今一つ信じ切れるものかどうかまで分からない。とりあえずシャルロットとの名前に興味を持つとその彼女はただでさえ明るい電球に対して、まるで直列から並列に切り替わるような明るさだ。

「そうなんだよねー僕、男の子みたいな外見だけど、これでも女の子なんだよねー!でも玲也君とはちょうどお似合いって感じだよね?」

「お似合い? 俺には初対面のお前を知らないのだが……」

「初対面……?」

 ようやくシャルロットは気付いた――玲也は自分の事をまだ何も知らないと。知っているを前提として話を続けていたと気付いた彼女が軽く頭をコツンと自分で叩いて、ペロリと舌を出す。

「ゴメンゴメン、僕は玲也君からすれば良く知っている人物だって将軍から言われていたんだね」

「そうだ。エスニックさんからそのように言われていたがお前を思い出すきっかけが見つからない」

「だよね~、じゃあ僕が一発で玲也君が良く知っている人物だって事を教えてあげるよ!」


発展途上の胸を天に突きだすように、彼女は両腕を腰に当てながら今から自分が口にしようとする事に対して、絶対の自信を抱いているかのようだ。

そして、実際その後に口にした言葉が彼女に対する玲也の認識を大きく変えることとなった。

「グランパルダー、ブルクレス、スピンライオー、アローシーザー。チーム名はマシーンコマンドーⅣ」

「……!!」

「ちなみに僕のはキングバーン、ジャックプライズ、クイーンレンジャー、そんでもって今組み立て中のポスパルドを含めたチーム名はブルーサンダース」

「……やっとお前が分かった!」

この単語の群れについてだが、玲也が良く知っているゲームでもあった。“アトランティック・ハンター“という名のオンラインゲームで2人が使用している機体でもあった。

その“アトランティック・ハンター”が玲也とシャルロットをとある一つの名前によって全てが一つに繋がろうとする瞬間であり、玲也がその名前をとうとう口にする。


「シャルロット! まさかお前がデビットだな!!」

「へへへ、これで僕の事が良く分かったね」

 デビットとは玲也とネットフレンドのような関係の人物で、同じアトランティック・ハンターのプレイヤー。彼女のプログラミングセンスは一目置くものであった。

「へへへ、まさか僕がサポートする相手が日本一流のゲーマー羽鳥玲也君とはすごく光栄だね」

「まさかお前がハードウェイザーと関係があるとは……すまない、一日でどうこうなるか分からないが教えられる側として宜しく頼む」

  先ほどのやや粗野な扱いを改めシャルロットに対して玲也は彼なりに敬意を持って接した。

彼は同年代の女性に対しての付き合いは無頓着にも程がある訳だが、ゲーマーとしての実力を認めた相手となると学ぶ点のある人物、それもエスニックがお墨付きの助っ人、そして明日の来るべき戦いの為に彼が真剣にならないはずはなかったことかもしれない。


「任せといて! 玲也君なら一日でどうにかなるかもしれないって僕思うからね」

「そのつもりを目指してはいる。だが相手は最古参のプレイヤーで全米ゲーマーチャンピオンのアンドリューさんだ」

「確かにアンドリューは手ごわいけど、僕、アンドリューのパートナーをずっと務めていたからね」

 迫るアンドリューとのハードウェイザーのプレイヤーとしての対決を前に、玲也は前向きであり続けようとするが、アンドリューという目の前の壁に対し若干の恐れをなす。

けれどもシャルロットは首を軽く振りながら彼をまるで“良く知っている相手“と言わんばかりの姿勢でオレンジのバッグからはノートPCを取り出す。そしてまるで玲也にそれを見せつけた。

「それに実力の差があるならそれを埋める方法だって出来るんだ。僕は今からそれを教えるつもりで、玲也君に教えるつもりだよ!」

「その方法は……」

「それは玲也君なら出来る方法。僕、信じているよ……!」

「……分かった!」

 その時、玲也は良く知っている助っ人の教えを請い、明日への戦いに対しての突破口を開く覚悟であった。

果たして全米№1ゲーマー、そして最古参プレイヤーアンドリュー・ヴァンスを相手に日本の若きゲーマーでもあり新米プレイヤー羽鳥玲也は、フランスの天才プログラマー少女シャルロット・カードリッジの力を借りて勝利をもぎ取る事が出来るだろうか……!!


次回のハードウェイザーは……

シャルロット「みんなー! シャルロットのハードウェイザー教室始まるよー!僕みたいな一流目指して頑張っていってね!」

玲也「それは何なんだ……とはさておき、シャルロットの助けを借りて俺は明日の決戦に必ず勝って見せる!」

フレイ「とは言うんだけど……エクスがとんでもない事をやっちゃうんだよね~」

玲也「何だと……!?」

ミュウ「フレイちゃん……!そんなエクスちゃんだけど今回のエクスちゃんは……!」

エクス「その通りですわよ!私だって、私だって……!」

玲也「はたして何が起こると言うのだろうか!? 次回、電装機攻ハードウェイザー「お前だクロスト! なるか、重戦車大改造!!」にさぁ、勝利へのフラグを立てろ!!」

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