58.精霊のいたずら?
季節はもう冬になり、ここベルナール領でも寒い日が続いている。
あれから周囲の人達は割とすぐに私の薄桃色の髪や瞳にも慣れてくれたけど、当の本人はまったく慣れません・・・異世界でファンタジーなルックスになった立花里紗、??歳です。
しかもこの薄桃色なカラーチェンジ、どうやら精霊さんの仕業っぽいのだ。
私には精霊の姿は見えないけど、確かにこの色は我が家の梅の木のお花の色で・・・。
我が家にも梅の木は何本かあるけど、実をつけるほとんどの梅の木は白いお花を咲かせる。その中でおそらく一番のご長寿であろう梅さんがこんな薄い桃色だった。
昔、祖父の両親が果樹農園をしていたらしくて、梅の木は我が家でも特に古くからあるらしい。
ただエメの木の精霊って言ってたから、我が家ではなくエメの里にいた別の木の精霊さんかもしれないな。・・・もし姿が見えたらお話しが出来ると良いのに。
ん・・・?でも髪色が茶とか赤にも変化してたって聞いたけど・・・茶や赤は何で?
野菜の色・・・?いや、違うか・・・。
もしかしたら梅の木の幹の色、赤は紅梅の色かな?じゃぁ金色はなんだっていう話なんだけど・・・。
あぁ、梅酒の色・・・?いやいやいや。
もう深く考えるのは止めておこう・・・。
で、今日は王都の薬師ギルドにロアとルーカス様と来ていたりする。目的は例の魔道具を使わせてもらうためだ。
私が例のエリクサーを作った当人ということは伏せられていて、ただのルーカス様の親戚という事にしてもらっている。
ギルド内の一室を借りて、三人で魔道具を囲んでいる所です。
では・・・いざ!
■リサ・タチバナ
■人族?(半神族、精霊属)
■招かれ人(女神フローデリアの愛し子)
■12歳
■女性
■薬師・調合師・鑑定士
■家族:ロアン(11歳・獣人・銀狼族♂)
あ!良かった、12歳だった!!
かろうじてロアより一つ上だった・・・!
そうよね、流石に一桁はないよねって思ってたんだ。やっぱり獣人族と人族の体型の違いは大きいんだね。
「「・・・12歳・・・?」」
ロアとルーカス様が納得いかない、という顔をしていますけど・・・ルーカス様、同じ人族じゃないですか・・・!
そりゃぁ皆さんはご立派な西洋人的体型ですけども。
あれ?
種族のところ、例の人族?の所は変わってないけど・・・(半神族、精霊属)ってナニ。
なんか霊長類ヒト科みたいな分類っぽくなってるけど、梅の木の精霊ちゃんが憑いていると、こうなっちゃうの?
いやもう良く分からないわ・・・。
「コホン。まぁ元気なら良し!だな」
ルーカス様、大きく纏められましたが、仰る通りです。
元気であれば何でも良いんです!!!
人族だろうが、半人族だろうが、半魚人であろうが・・・!・・・いや、やっぱり半魚人はちょっとアレだけども。
何となくだけど、こんな桃色ファンタジーな、いや違った。梅色ファンタジーなルックスも今だけのような気がする。
私に憑いているというエメの精霊が自立してくれたら、いずれ黒髪の元の私に戻れるんじゃないかな?
そう希望、しています・・・。
「リサ、ところでポーションの件なのだが・・・体調が良くなったとはいえ無理はしないでくれ」
そう、先ほど王都の薬師ギルドの方から「ベルナール候、リ・ポーションはまだ入手できませんか」と声をかけられていたんだよね。
リ・ポーション・・・?って思ったけど、どうやら私の作ったポーションの事らしい。そんな名前が付けられてたの?!と思ったけど、リサ印とかそのものズバリな名前でなくて良かった。
でもどうやらルーカス様が王都に来るたびに、まだかまだかと言われているらしい・・・。そんなこと初めて聞いたんですけれど。
「いや、もともと定期的に入手は出来ないと言ってあるし、王宮に献上した分も数が少ないのだからギルドで足りないのは仕方がないんだ。今までのポーションなら在庫はあるんだから気にしないでくれ」
きっと薬師ギルドからの督促を、ルーカス様が私の耳に入らないよう自分の所で止めておいてくれていたのだろう。
でも今はすっかり体調も戻って問題ないし、時間もあるので良かったら作りますけど・・・。
そういう訳で、タウンハウスに戻ってきた私達。
薬草は【収納】に入っているので、初級・中級と作れたはず。上級は・・・薬草が足りないかな?
とりあえず、二種類を作りましょう。
さっそく我が家を呼び出す。
寝込んでいた時にはシンジュの木や畑のお野菜などお水をあげていなかったから、先日たっぷりとお水を撒いたけど、二週間も留守にしちゃって申し訳なかったのよね・・・。
シンジュちゃんにも心配かけちゃった。
でも『まま、ひさしぶりね!』って、小さくなってカラーチェンジした私のことを一目で分かってくれた。きっと精霊さん達にとって、外見ってあまり気にする要素じゃないんだろうね・・・。
それにしても私だけでなく、ロアも我が家を自由に呼び出して出入りができたら良いのだけど・・・ホークさん達も住むかもしれないし、何か良い方法が無いものか。
おっと、今はポーション作りだ。
早速取り掛かりましょう~。
はい、もう何度もポーション作りはしているので、さくさく出来ちゃいました。
実際にはお鍋でぐるぐるして濾したり、最後に【調合】魔法も「えいやーっ」て注ぎまして、安定の出来上がりでした。
あとは、アレです。
ゴア熱の特効薬を丸薬にしたくて、ちょっと考えていた。ゴア熱は今のところ王都やこの領では流行っていないようだけど、国境の街では患者さんがでているらしいの。
だけど錠剤って薬効成分以外はどんな成分で出来ているものなんだろう。日本に居た時は考えた事も無かった。よく錠剤に使う基剤って何で出来てるの?
おそらく、あの白い粉はでんぷんだと思うのだけど・・・ジャガイモを水に晒すとでんぷんが取れるけど、ああいうので代用ができるだろうか。
ダイレクトに小麦粉とかを使おうかとも考えたんだけど、この世界はお芋といえばジャガイモらしいので、それならどこでも安価に手に入るかな?と思ってるのだ。
でもポーションを沁み込ませて丸めれば丸薬になるなんて、流石に安直だよね。もうちょっと工夫をしなくちゃ駄目だろうなぁ・・・。
とりあえずは今の時点で出来る事として、エメの葉で追加の特効薬を作っておいた。
それと今日は時間があったので、ついでとばかりにホークさん達が好きな梅酒も仕込みましたよ。神樹の真珠爺様達もお好きだしね。
私がエリクサーを作っている間にロアが梅の実を採って洗ってきてくれたので、仕込みは楽ちんだった。今回の梅酒はハチミツを少な目にしてみて、少しキリッとした味を目指してみました。その分、梅のハチミツ漬けにはハチミツをたっぷり入れちゃった。
「美味しくなってね~♪」
ピカッ
・・・ん?また光った?思わずロアと顔を見合わせる。
前回は光っていなかった気がするんだけど・・・気づかなかっただけかしら。
あーーーーー、もしかして、エメの精霊ちゃんが側にいるから張り切っちゃったの??
まぁ、もう少し寝かさないと食べたり飲んだりはできないから、とりあえず納屋に置いておきますけどね。ええ、今はまだ放置させて頂きますよ。
鑑定なんかしませんからね・・・・・・。
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