【閑話】きっと良い年にゃ
明けましておめでとうございます。
新年は短い閑話(ヴィオ目線)からのスタートです。
2026年もどうぞよろしくお願いいたします(*^^*)
「リサちゃん、おはようにゃのー!」
ぼくは朝目が覚めると一番にリサちゃんに朝のごあいさつをするの。
リサちゃんは朝起きるのが早くて台所にいることが多いから、ぼくは急いで向かうんだ。
「おはよう、ヴィーちゃん」
リサちゃんは今日もにこにこして、ぼくをいつものように抱っこしてくれる。
「うふふ、リサちゃん、きょうもいいにおいにゃ」
ぺろぺろ、むちゅー、と朝のたいせつなごあいさつの続きをしていると、お返しにリサちゃんもぼくにちゅーってしてくれるの。ぼくがまたおくち周りを膨らませながらリサちゃんのほっぺにむちゅーってすると、またちゅーって返してくれる。
ロアお兄ちゃんは「ずっとそれをやってるつもり・・・?」と少し困ったように言うけれど、ぼくはこの時間がだいすきなの。
だけど、しばらくするとぼくのお腹が鳴っちゃって、そうなるとリサちゃんが笑って台所での作業に戻っちゃうんだけど。
「今日の朝ご飯はね、”お餅”なのよ」
「『おもち』ってにゃぁに?」
「うふふ、ヴィーちゃんは初めてよね。私の国ではお祝いの席でよく食べられるの。もちろん普段から食べても良いのだけれど」
どうやら今日の朝はいつもと違うみたい。
「これでお餅を作ってみたの。おくちに合うかしら」
リサちゃんが「これ」と指した入れ物のふたを開けると、そこにはまっしろで丸くてやわらかそうなものがあった。・・・うーん、見た目はちょっぴりスライムみたい?
「まだ熱いから気をつけてね」
リサちゃんがおててに水をつけて、そのまっしろなものをつかむと、それはビヨーンってなった。
「すごくのびるにゃ・・・!」
ぼくはびっくりして目をまんまるにして、ちょっとだけしっぽがボワッてなっちゃった。
「そうなの。お餅はね、つきたては柔らかいからすごく伸びるのよ」
そう言ってリサちゃんはビヨーンとしたのを、ぼくが食べやすいように小さく丸めてくれた。
「そのままでも美味しいけど、ヴィーちゃんにはあんころ餅が良いかしら。きなこも美味しいと思うから、ちょっとずつ味を変えて食べてみてね」
「わぁ、いただきまーすにゃー!」
ぼくは初めて見る『おもち』をさっそく食べてみた。
我慢できずにそのまま、まっしろなのをパクリと食べてみると、その『おもち』はすごく柔らかくてほんのり甘くて、とってもおいしかった。
「そのままでも美味しいけれど、僕はこの甘じょっぱいので食べるのが好きだな。あとこの『大根おろし』っていうのはサッパリしていいね」
ロアお兄ちゃんもお向かいの席で初めてだという『おもち』を食べてにこにこしている。ぱくぱく食べては、すぐにおかわりをしていた。
「これ、おいちいにゃ。おくちがむにむにしてたのしいにゃー」
「良かったわ。あとでお雑煮やおしるこにも入れましょうか」
この『おもち』はね、スープの具にもなったり、あとね、焼くとまた別のおいしさがあるんだって。
しょっぱかったり甘かったりと、いろんなお味で食べられるのだとリサちゃんは教えてくれた。
ぼくもリサちゃんが色んな味つけで食べさせてくれたので、今日でかなりの「おもち通」になったと思う。こんどお兄ちゃんやお姉ちゃんにも教えてあげようっと。
いつもはお野菜しか食べない大白鷲のおじちゃんも『我はくちばしにひっつくのが苦手だ』って言いながら、ぼくよりもずっとたくさん『おもち』を食べている。だからきっと、すごく気に入っているんだと思うな。
でもぼくはその『おもち』のおかげですぐにお腹いっぱいになっちゃった。
ぼくはおててにひっついちゃった残りをペロペロしたんだけど、うまくとれない。
一生懸命ペロペロしていると、リサちゃんがクスクスと笑いながらあったかい布で拭いてくれた。
『・・・我のくちばしも頼む』
大白鷲のおじちゃんもそう言うと、くちばしをリサちゃんに向けて拭いてもらっている。大白鷲のおじちゃんのおくちがくわんくわんだから、リサちゃんは拭くのがたいへんそう。
ぼくも大白鷲のおじちゃんも、次はもっとじょうずに食べられるかなぁ?
「ヴィーちゃん、お餅は気に入った?」
「うん、ぼく『おもち』がすきになっちゃったの。とってもおいちかったにゃー」
「お餅は私の生まれた国では新年を祝う日に食べられるものでね、このお餅の他にもいろいろと縁起物を食べたりするのだけど・・・こちらで全部を用意するのはさすがに難しいから、せめてお餅だけでもと思って」
その「年が明ける」っていうのは、おめでたい事なんだって。
「一年を無事に過ごせたことに感謝をして、新しい年を迎えるの」
リサちゃんは『カレンダー』という暦を見ながらそんなお話をしてくれた。
「グレンもたくさんお餅を食べたみたいね?」
リサちゃんに撫でられて、ぽんぽこのお腹を上にしたグレンも満足そう。
グレンは味つけをしていない『おもち』をいっぱい食べてたよ。そのままがいちばん好きなんだって。
グレンが気持ちよさそうなので、ぼくも隣で一緒に丸くなる。
なんだかお腹いっぱいになったら眠くなっちゃったみたい。
食べるとすぐに眠くなっちゃうのはどうしてなのかな。
ロアお兄ちゃんはお片付けを手伝っているから、ぼくも何かしなくちゃ・・・と思うのに、気がつくといつも眠っちゃってるの。
どうやら今朝もいつの間にか眠っちゃったみたい。
目が覚めたらもうお昼になっていて、ぼくはリサちゃんのお膝の上にいた。リサちゃんはぼくをお膝に乗せたまま、撫でてくれているの。うふふ、うれしいな。
ぼく、こうしてリサちゃんやみんなと一緒にいるとうれしいから、それがずっと続けば「いいとし」なんだと思う。
リサちゃんも「みんなと一緒に新しい年を迎えられて嬉しい」ってにこにこしてるから、「ことし」もきっと「いいとし」なんだ・・・と、自分の小さな胸に浮かんだ考えに、リサのお膝の上でひとり満足しているヴィオなのであった。
お読みくださりありがとうございます。
この閑話の時系列は、リサが異世界で初めてクリスマスを迎えた直後で、まだ我が家のメンバーも少ない頃になります。
そしてこの後、おそらくリサはやってきた神樹の精霊様たちにお餅をねだられているはず・・・( ̄m ̄〃)




