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185.王宮での報告会

 

 王都にやって来た私達は、エルフ国訪問の正式な報告会のため陛下にお目通りを願い、豪華な応接室に通されたところだった。


 報告会という名目だけど、実際はルーカス様が重要な件についてすでに報告済なので、私は顔見せをする程度で良いとルーカス様に言われ、ちょっと気が楽になった。


 それに比べ外交官のゾートさん達は大変みたい。帰国したらお仕事は山積みだとご本人たちも言っていたけど、今回は長期出張明けのようなものだから、きっと目の回るような忙しさだろうな。


 現にルーカス様だって連日王宮で仕事に追われて超がつくほどご多忙な身で・・・。

 本来であれば自領に戻れない日が続いているはずなのだけど、今回は私の転移魔法を使って行き来をしているので、毎日のように王都のタウンハウスではなく自領のお屋敷に戻られているけれど。

 うーん、転移魔法って本当に便利・・・。


 でもルーカス様が忙しいのは本当で、いつも夜遅くまで執務室でお仕事をされている。・・・このあたりは主に執事さんからの情報だけど。

 それなのに、この忙しい時期に湯殿の件で重ねて忙しくさせてしまったのは大変申し訳なかった・・・湯殿建設は絶対にタイミングが悪かったよね・・・結果オーライだったとはいえ、反省しきりだ。

 せめてものお詫びの気持ちとして、私は時々サンドイッチとかクッキーとか小腹が空いた時につまめるものを頻繁に差し入れをしているけど、それだけではどう考えても足りない気がするし、我が家にあるお酒(高級バージョン)でもまとめて献上しようかしら・・・。


 ちなみに報告会は今回ようやくゾートさん達が帰国されたので本日となったけど、主要外交官の方々は護衛騎士を含めた数名で早駆けの先行隊として戻って来たばかりだそうで、他の荷馬車隊が王都に着くのはもう少し先になると聞いている。荷馬車はどうしても移動する速度が遅いので別行動になったらしい。


 ゾートさん達は文官なのに騎士様のように馬で早駆け出来るなんて凄いなぁと思っていたら、ルーカス様には「この国で貴族が馬を乗りこなすのは当たり前だ。文官とて騎士並みには乗りこなすぞ」と教えられた。

 まぁお馬さんはこの世界でほぼ唯一と言ってよいスピードが出る移動手段だから、必須技能なのかもしれないなぁ。


 でもあの早駆けって見たことがあるけど、かなりのスピードなんだよね。

 長距離の場合は途中で何度も馬を乗り換えて、日中は休憩もそこそこで移動するらしい。

 みなさん、強行軍お疲れ様です・・・。



 さて、今回の報告会は私が報告すべき事はほとんど無く・・・両陛下への贈答品をお渡しするくらいだ。

 もちろんエルフ国のエスターシャ女王陛下からは国への贈答品があったそうだけど、それとは別に個人的に頼まれたお品をお預かりしてきているので、こちらが本日のメインとなる。


「愛し子殿、お待たせした」


 そう言って陛下が私達の待つ応接室に、王妃様を連れて入室してこられた。


「お久しぶりでございます。両陛下にはご機嫌麗しく・・・」と、ルーカス様に教えて頂いたご挨拶を、噛まないよう何とか言い終えてホッとする。

 こういう言い回し、ホント慣れない・・・。


「そんな堅苦しい挨拶は良いのだ。今回はエルフ国への親善使節のお役目、誠に大儀であった。感謝する」


「無事のお戻りを大変嬉しく思います」


 そう両陛下から労われ、そのあとはルーカス様と四人でお茶をいただきながら歓談したのち・・・テーブルの上に取り出したのは、エスタール様達からお預かりしたお品だ。

 その途端、今までなごやかだった御二人の目つきが急に変わった。


「なんと・・これらを我らに?」


「まぁ、ハイエルフの王である御二人から・・・?」


「はい。個人的な贈り物として、だそうです」


 テーブルの上に置いたのは、美しい装飾がされている小瓶が1本と、艶のある革製の小さな小箱だ。この小箱は魔石や宝飾品の飾りもついており、一見するとちょっと宝石箱っぽい。


「エスタール様からはこちらの宝飾小箱を、同じくナターシャ様からはこちらの香水を、それぞれお預かりして参りました」


「ほう・・・この小箱は魔石がついておるのだな。宝石の装飾も美しい。この艶やかな赤い革はフレイムディアーの革であろうか」


 陛下はさっそく手に取りながら宝飾小箱をくるくると回し、魔石を指でなぞりつつ細かく観察している。


「この香水はまだ蓋を開けてもいないのに、素晴らしく良い匂いがしますわ・・・」


 王妃様は香水の小瓶に顔を寄せると、うっとりとしていたが、何かに気がついたのかハッと顔をあげた。


「この香り・・・もしやエルフ国にあるという、幻の花が調合された香水では?!」


「すごいです! お二人とも、大当たりです! そちらの小箱はフレイムディアーの革で作られたと聞いています。実はそれ、空間収納付きの小箱なんです。あとこちらの香水は、”月光花ムーンライトフラワー”というエルフ国の国花にもなっているお花のみで作られた香水だそうで・・・」


「な、なに?! 空間収納だと?!」

「”月光花ムーンライトフラワー”のみの香水ですって?!」


 両陛下の驚きっぷりが凄い。

 隣に座っているルーカス様のからも「は?!」と小さな驚き声が聞こえた気がした。・・・実際は両陛下のお声にかき消されちゃったけど。

 王妃様なんて、お声がもう悲鳴に近かった・・・。


「”月光花ムーンライトフラワー”とは、エルフ国にある森の限られた場所でしか採取できないと言われる、おそろしく貴重な花よ。しかも数年に一度しか咲かないとかで、幻ともいわれているわ。その花が・・・いえ、その花のみで作られた香水・・・?!」


 王妃様の手が震えている。

 この世界でも香水は高級品なのに、幻と言われるお花の香水なんて、すごいお品に違いない。

 精油だって沢山のお花からたった数滴しか採れなかったりするし・・・この香水に使われたお花は相当な量だろうね。お値段なんか私には想像もつかないわ。

 でも本当に素晴らしく良い香りで、こうして近くにいるだけでうっとりとしてしまう。私の知りうる限り、一番すてきな香りだった。


「現存の空間収納袋は、迷宮や古代文明から出土される物がほとんどだ。しかも妖精族など一部でしか作れないと伝えられている。このような美しい品は初めて見たが・・・!?」


 陛下も小箱を手にしたまま、先ほどから動きが止まっちゃったというか、半分固まっていらっしゃる。

 その小箱は古代の遺物などではなく、エスタール様が直々に作られたと聞いているから、まさに世界でただひとつの一点もの。

 この空間収納付きの魔法鞄は魔力が豊富で、かつ魔法に精通した者しか作れないそうだから、こちらもすごいお品に違いない。


 ちなみにノーム族のガーブさんだったら作れるそうだけど、まぁ彼は魔法具職人だし妖精族だからね。ああ見えて(失礼)彼はすごい職人さんなのだ。



 しかし、両陛下の興奮冷めやらぬ様子を見るに・・・私からのお土産を渡すのは今ではない気がする。

 王妃様もレティ様と同じくエスターシャ女王陛下のファンなので、私からは例のブロマイドならぬ精密肖像画をご用意したのだけど、お出しするタイミングが難しい・・・今日のところは止めておこうかしら。


 ちなみに陛下へのお土産はハンカチにした。

 ・・・ハンカチ?と侮ることなかれ。

 もちろんただのハンカチではなく、魔法が付与された特別製なのだ。毒の有無を感知できるとかで、近くに毒があると刺繍の色が変わるというお知らせ機能がついている。

 王族の方々はお毒見役がいると聞いたことがあるけれど、このハンカチを持っていれば、そのお毒見役の人がいなくても安心して飲食ができるはず。

 もちろん毒見としてだけでなく、毒がある虫などが近くにいても分かるらしいから、便利グッズと思っていただければ・・・?


 結局お土産はその場でお渡ししたのだけど、どうやら別の意味で喜んでいただけたようだ。

 両陛下からは「とても実用的で有難い」と歓迎された。・・・王妃様へのお土産が実用的かどうかはさておき、なかなか良いチョイスだったようだ。

 ちなみにエスターシャ様の精密肖像画を見た王妃様の反応は、レティ様とほぼ一緒だった事をここに付け加えておく。


 そういえば帰り際、ルーカス様が「空間魔法・・・月光花ムーンライトフラワー・・・」とブツブツと繰り返していたので、馬車に乗り込んだ際にちょっと聞いてみた。


「あれ、やっぱり相当貴重なお品なんですよね・・・?」


「そうだな、間違いなくどちらも国宝級の品だ。他国の王族でも持っていはいないだろうな・・・」


「そ、そこまでのお品なんですか」


 やっぱりもの凄いお品だった。そんな品をポンと贈って来られるなんて、さすがハイエルフのおうさま・・・。


「シルクスパイダーの布もそうだが、あの空間魔法の小箱も、月光花ムーンライトフラワーの香水も・・・エルフ国でしか手に入らない、いや金貨を積んでも買えない貴重な品なのは間違いない」


 ・・・やっぱりシルクスパイダーの布も相当だった。

 あれでスーちゃんにポンポンを作ったなんて、ルーカス様にはちょっと言えそうもないね・・・。



本日もお読みくださりありがとうございます(^v^)

ブックマークやイイね★など応援していただけるのは嬉しく、とても励みになっております!

皆さまどうもありがとうございます<(_ _*)>


そして気をつけているはずでも必ずどこかに潜む誤字脱字たち・・・。

読みづらく本当にすみません。いつもお知らせいただき感謝です!


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