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164.真名と呼び名

 

「このスライムに・・・名前をつけたの?」


 ロアにそう聞かれたので「スーちゃんにした」と伝えると、ちょっと微妙な顔をしていた。

 あれ? もしやダメだった? それとも名付けのセンスに問題が・・・?


「ロアに相談なく決めちゃったけど・・・でも我が家に居てもらうなら呼び名はあった方が良いかと思って」


「いや、そこは別に気にしてないよ。ただ名付けっていうのはさ、けっこう重いものかな、と・・・」


 そういえば・・・グレンの名前を決めた時に真珠爺様おじいちゃんと真珠のきみにも言われたっけ。

 たしか・・・


『名付けって重要だからね』

『名を相手が受け入れたら、それはもう契約じゃからなぁ』


『その”名付け”によって切れない絆ができた、という事じゃ』

『育てる責任があるということじゃのぅ』


 とか言ってた!!!


 思い出したわ!!



「名前はさ、名付けた人の影響が強くなると言われているんだよ。・・・そういえばリサは真名マナって知ってる?」


「マナ・・・? 知らないと思うけど・・・。あ、でもそういえば前に私が居た世界でもその真名という概念はあったかも・・・?」


 それは遠い昔。私がまだ小さい頃におばあちゃんから聞いた話で・・・

 そのおばあちゃんも幼い頃に母親から聞いた大昔の話だとかで、「母親のお腹の中にいる赤ん坊の特別な名前」と言われていたらしい。

 お腹にいる子が無事にこの世に生まれてくれますようにと、そう願いながら親が子に話しかける時の名前で、赤ん坊が無事に生まれてきてくれたらもうその真名は使わずに、真名とは別の呼び名を名付けるのだとか。


 つまり私だったら「里紗リサ」が生まれてからつけられた名前(呼び名)なんだけど、赤ん坊の時だけの真名は別にあるということだ。

 あいにく私にその真名があるのかはもう分からないけど・・・いや、その時たしかおばあちゃんに教えてもらっていたような気も・・・? あれ? なんだったっけ・・・忘れちゃってるなぁ。


 とにかく、その真名は「名を知られ、悪いものから支配をされぬように」と身を守る意味があるのだとか。 

 それが一般的な風習だったのか、一部地域だけのささやかな風習だったのかは分からないけど、こちらの世界にだって似たような風習モノがあってもおかしくないよね。


 そういえば、偶然だけど私が名前を考えたヴィーちゃんとグレンは二人とも私の眷属になってるなぁ・・・。まぁそれもみつばち精霊さんの特別なはちみつを食べさせちゃった経緯があったからだけど。でもこれもご縁があったという事なのかもしれないね。


「たぶん、そのリサのいた世界での話と似ていると思う。ただ、こっちで真名を知られることは、その相手に従うという意味を持つんだよ。だから普通は他人に教えることは無いだろうね・・・。もちろん本人も知らない場合も多いだろうけど」


「そっか、親御さんがあえて本人に伝えない場合もあるかもね・・・」


 本人も知っていたら、うっかり話してしまうリスクがあるからかな?


「だからその真名までいかなくても、名付けっていうのは相手がその名を受け入れたら、それなりの意味を持ってくると言われてるんだよ」


 ロアが真名についてこんなに詳しく知っているという事には驚いたけど・・・やっぱり名前ってすごく大事なんだなぁ・・・。

 自分の子供にはしあわせになってもらいたい・・・だからこそ親は子の名前を一生懸命に考えるものだし・・・それは納得できる。


 でも、どうしよう・・・スライムの「スーちゃん」という名前はそこまで深く考えずに名付けてしまったのだけど。・・・これって考えが浅すぎでは・・・?


『名付けはそれなりのちからを持つものじゃ。それゆえ精霊どうしでも普通は互いに名は名乗らんものじゃの。儂らでも普通であれば ”王都の” とか ”エルフ国の” と場所で呼びかける事が多いかのぅ。実際は呼び名くらいは皆あるんじゃが』


 そう教えてくれたのは博識なる真珠爺様おじいちゃんだ。

 そういえば、最初の頃はそんな呼び方を聞いた事もあったっけ・・・。今ではそれこそあだ名的な ”真珠爺様しんじゅじいさま” や ”真珠のきみ” 呼びが定着しているけれど。


 あら・・・? じゃぁ我が家の”真珠ちゃん”の場合はどうなるのかしら。

 まぁ本人が名乗ったことだし、通称って事でいいのかな?


「まぁ、このスライムはリサに縁があったってことだよね」


「そうだね・・・」


 野良スライムから家スライムになった訳だけど・・・まぁ縁があって我が家に来た子だ。これから皆で仲良く出来たらいいな。

 あと出来れば・・・もう脅かさないでくれたら有難いけど・・・。



 ところで、さっきから真珠爺様おじいちゃんが何やら言いたげにチラチラとこちらを見てくるような・・・。

 何だろう?


真珠爺様しんじゅじいさま、あの、何か・・・?」


『いや、そのぅ・・・』


 あれ? いつになくモジモジされて・・・何か言いづらい事でも・・・?

 あ、もしや・・・!


「もしかして真珠爺様しんじゅじいさまも露天風呂に入りたい・・・とか?」


『うむ。そうなんじゃ! あと儂らもそのロテンブロで酒を呑んでみたいんじゃ・・・エリクサーと、できればそのビールという酒も駄目かのぅ?』


 その上目遣いはいったい・・・。


「それは別に構いませんけど・・・え?『儂ら』?」


『もちろん、僕も飲みたいからね』


 そういってタイミングよくポワワワーンと現れたのは真珠のきみだった。

 あ、やっぱり・・・。

 実はいつ出て来られるかと気になってはいたのよね。お二人ははルーカス様たちに負けず劣らず、お酒は大好きみたいだし。でもそれは神気の入ったエリクサーに限るのかと思っていたのだけど。


『そりゃエリクサーが一番だけど、その異世界のビールというのが気になって・・・。さっきからずっと見ていたんだよね』


 ビールって人だけでなく、精霊さんをも惹きつけるんだ・・・。出来る事なら、日本でビール醸造をしているメーカーさんに「異世界では精霊さんにも人気ですよ」と教えてあげたい。



 でもちょっと待って。・・・いま個人的に問いただしたい事が発覚しました。


 まず、さっきタイミングよく現れた真珠爺様おじいちゃんにうっすら疑惑が。あと今「ビールの事を気になって見ていた」と、のたまった真珠のきみも同様だけど。


真珠爺様しんじゅじいさまに真珠のきみ・・・さっき私がその露天風呂で大騒ぎしていた時はどこにいらしたんです・・・? まさか・・・」


 じとーん・・・という目をしていると、お二人は慌てたように言い訳をしてきた。

「いやその、儂は腰が痛くてすぐには、のぅ・・・」とか、「ほら、僕は一応ね、男性だから・・・」とか。


 これ、ぜっっったい二人とも見てた!!! 

 きっと二人で私が慌てている姿を面白おかしく見ていたんでしょう!?


 ぷんぷんして「やっぱりお二人は露天風呂は禁止です」と言うと、慌てたように謝って来た。


 いえ、別に良いですけどね・・・?

 私の身体なんて別にのぞいても楽しくは無いでしょうし?

 露天風呂にスライムが潜んでいても、害がないから放っていたんでしょうし?


 ちょっと深呼吸をひとつ。

 ・・・まぁ、冗談ですよ。露天風呂を禁止にはしません。

 どちらにせよ、精霊様たちに悪気はなかったんでしょうから・・・。単にスライムに害がないから見守っていただけなんでしょうね。私が一人騒いでいただけですし・・・。


 実際に何の被害も無かった訳で、その被害といえば、ただ私の中の何かがゴリゴリと削られただけで。

 ・・・でもちょっとだけ泣いて良いですか? やっぱり半裸を見られたのは、精神がアラサーでもちょっとショックなんですけど! 何より恥ずかしいので!!



 それにしても精霊様たちって露天風呂に裸で入るんだろうか。それとも着衣のまま・・・?

 まぁ・・・・・・・・・私は覗きませんが。


 精霊様だったらお風呂で事故の心配もないでしょうからお酒もご自由にどうぞ・・・と、エリクサーとビールをお渡しして、疲れた私は眠ることにした。


 今夜はヴィーちゃんとグレンを抱っこしながら眠って、二人に癒してもらおう・・・そう心に誓った私でした。


 いや、ほんとに疲れた・・・・・・



本日もお読みくださりありがとうございます。

ブックマークやイイね★などの応援いただける事が嬉しく、いつも本当に励みにさせていただいております。どうもありがとうございます(*^ⅴ^*)


今日はものすごい嵐のような風で、洗濯物を取り込んでいた時に飛ばしそうになってしまい、ちょっと慌てました(;´∀`)

明日はお天気だと良いですね♪


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