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155.アレの出番

 

「♪にゃぁ~ にゃぁ~ もりのこねこ~ もりのこねこ~♪」


「なに、その歌は・・・」

「これはリサちゃんがうたってた、おうたにゃのー」


「えぇ・・・?」


 ロアさんがちょっと引いておられます・・・。


 まさか洗濯物を干していた時に口ずさんでいたのを聞かれていたとは・・・!

 元々は童謡の替え歌で、「こやぎ」だったのを「こねこ」にして歌っていたのだ。でもあの時ヴィーちゃんは近くにいなかったよ?


「ロアおにいちゃんも、いっしょにうたうにゃー?」


「え・・? いや、僕はいいって・・・」


 なんだかヴィーちゃんとロアでわちゃわちゃとやってる。そのせいでロアが被害者になりつつあるけど・・・。

 あ、グレンも交じってヴィーちゃんと輪唱をはじめちゃった・・・。「ぴゅ~♪ ぴゅ~♪」と、こちらも楽しそうに歌ってる。


 うぅ、歌わないでとは言いづらくなってしまった・・・。

 ヴィーちゃんもグレンも楽しそうなのは何よりなんだけど、私はちょっと居たたまれない。それにロアも巻き添えにしちゃってごめん。


「でもヴィーちゃんはあの時、近くにいなかったよね?」


 確かに猫さんはお耳が良いのだろうけど・・・でも私だって鼻歌ていどの小さい声だったはずなのになぁ。


「うふふ。ぼく、おせんたくかごのにゃかにいて、かくれてたのー」


 すごい? すごい? とおめめをキラキラさせているヴィーちゃん。・・・勝てぬ。これには勝てませぬ。ヴィーちゃんをナデナデしまくっていると、もう私の羞恥なんて些細な問題なのでした。



 それはさておき・・・。


 ここ、リビングには雑魚寝をしていた仲良しトリオが揃って撃沈しております。


 皆さんどうしてこう呑み過ぎちゃうんだろうか・・・なぜ、どうして、ほろ酔いのうちに止められないのか。・・・まぁおそらく、異世界のお酒が美味しすぎちゃってブーストがかかっちゃったんでしょうけど。

 それにしても、あのお酒好き代表であるガーブさんといい、オジサマたちは皆さんお酒が好きすぎませんか? これ全世界(異世界を含む)共通なの?


 ともかく、早朝とはいえルーカス様にはそろそろ起きてもらわないとまずい気が。お宿でのアリバイも朝までしかもたないだろうし、従者さんに気づかれないうちに戻っておかなくちゃ。

 それに戻った時にお酒臭いのはさすがにダメだろうなぁ・・・よし、これは我が家でシャワーを使ってもらお。


 ルーカス様が頭痛がするであろう頭を押さえて立ち上がり、そのまま何とかルーカス様がシャワーを浴びている間に、ゾフィさんとミケネーさんもようやく起きてきた。・・・こちらもちょっと足取りがよたついているなぁ。


「おはようございます・・・」

「おはよう・・・ござ・・・うっぷ」


 お二人とも二日酔いのようですね・・・。


「おはようございます。よかったらお水と・・・こちらのお茶をどうぞ」


 お水の他に、定番の梅干し入りのお番茶を用意しておいて正解だったようだ。梅干しもお茶に入れると食べやすいみたいなのよね。お二人とも「飲み過ぎました・・・」とか「面目ない・・・」とか言いながらチビチビお茶をすすっている。


 昨夜は「楽しくお酒を呑めるようになるのが、大人になったという事なのかも」なーんて思ってたのに、皆さんあきらかに飲み過ぎで、ダメダメな大人のお見本になってます。



 そんな二人を見ながら考える。

 うーん・・・、どうしようかなぁ・・・。

 昨日は結局聞きそびれちゃった「気になること」なんだけど、それはゾフィさんの目のことだったりする。この事はゾフィさん自ら話してくれたことだし、私から聞いても大丈夫だよね?


「あの・・・ゾフィさん。洞窟島でお聞きした視力のことなんですけど・・・今はどれくらい見えてるんですか? 視力が弱いと日常生活でもご不便ではないですか?」


 ゾフィさんも私に聞かれるとは思っていなかったのだろう。その目をパチパチと瞬いていた。


「そうですねぇ・・・今はこの部屋の家具がぼんやりと、なんとか見える程度ですね。遠くになるともうお手上げです。あ、でもリサさんのかわいいお顔だったら、この距離でもはっきり分かりますよ」


 そう言ってウインクをしてくるゾフィさん。

 リップサービスだとは分かっているんだけど、そういう方面での免疫が皆無な私に無駄に色気を垂れ流すのはやめて欲しいです。イケオジさまの危険な魅力・・・。


 ・・・ん? ロアさん? そのジト目はなんです・・・?



 そのゾフィさんのお話しを聞く限りでは、こういった目の症状だったら強度近視のように思えるけど・・・確か老眼だと逆に近くが見えづらいんだよね。あとは白内障だったらぼんやりと靄がかかったように見えるとか聞くし・・・もちろん他の病気の可能性だってあるから断定はできないけれど。


「まぁ年のせいでしょう。ここ数年でかなり見え方が悪くなってしまったようで。いずれは家から出れない事も増えて来るでしょう」


 日本でも近眼だったらある程度は眼鏡とかで矯正ができるけど、たしか白内障は手術が必要だ。どちらにせよ私はお医者さんじゃないから、正確な診断は無理だけど・・・あ、【鑑定】だったら、もしかするといけるかも。


 でも待って? こういう時こそアレの出番なのでは・・・?



 そう。アレです!!

 じゃーん!! みつばち精霊さんからの贈り物、ローヤルゼリー!


 お庭ではみつばち精霊さんが「私がつくりました」的なドヤァ顔をされています。・・・最近なんとなくですが、彼女たちの表情がわかるようになった気がする私です。


 さてこのローヤルゼリー。効能は【若返りの妙薬:一粒で10歳ほど肉体が若返る。同時に失った機能をも取り戻すことが出来る】で、つまりは若返りと失った機能の復活! 視力低下は年齢のせいだというゾフィさんにぴったりのアイテムではないだろうか。


 これでもダメならエリクサーとの合わせ技もあるけど・・・。とりあえずローヤルゼリーはゾフィさんに合いそうな気がするので、私としてはこっちをお勧めしてみたい。

 ・・・ただ私が食べて効果を確認できていないから、ちょっと人体実験みたいになってしまって申し訳ないのだけど。



「ゾフィさん、これ・・・お薬だと思って召し上がってみませんか?」


 そう言いつつ私はビンから一粒、ころん、とグミキャンディのようなローヤルゼリーを取り出す。

 でも私が直接お渡しするとロクなことにならない・・・ような気がするので、ここはまたヴィーちゃんにプレゼンターをお願いする。


「ゾフィのおじちゃん、これどーぞー」


 ヴィーちゃんがそのクリームパンのような可愛いおててで、小皿に出されたローヤルゼリーをお皿ごとゾフィさんの前に置いてくれた。仕草までがソーキュートである。



「・・・ほう。丸薬にしては見た目が変わっていますね。半透明というか・・・」


「けっして怪しい薬ではなくてですね・・・実はこれ、みつばち精霊さんの贈り物のローヤルゼリーなんです。私はまだ試してはいないのですが、主な効能は機能の回復と若返りだそうで・・・」


 いや、こうして説明してみると怪しさ100%だな・・・? 

 食べてもらえる・・・?


「若返り・・・? み、みつばちの精霊様・・・?!」


 ゾフィさんが目を丸くしている。

 若返りなんて信じられないかもしれないけど、ホントなんですよ・・・。なにせ【鑑定】さんのお墨付きですからね、これは間違いないです。



「こちらは精霊様の作られたものなんですか? そんな、もったいなくて頂けません!」


「でもこの通り沢山ありますし、何より我が家のお庭だと草花が豊富なせいか、みつばち精霊さんがいっぱい作ってくれるんです」


「これがたくさん・・・? この庭で・・・? まさか、みつばちの精霊様がここに住まわれているのですか・・・?」


「え? ええ・・・そうですね。庭の木にみつばち精霊さんのおうちがあります。・・・まぁほかの精霊さんも出入りは結構ありますが」


 ・・・主に神樹の精霊さんですけど。

 あとカフィの精霊さんも結構な遭遇率ですけど。



「信じられない・・・ここは精霊がおられる場所なのですか・・・! あぁ、でもこの家も庭もとても居心地がいいですから、それも納得ですが」


 確かに精霊さんは多いのよね・・・。

 神樹の真珠姫シンジュちゃんもだけど、お庭には小さな精霊さんがたくさん居てくれるし。そのせいで居心地が良いのかもしれないな。



「このローヤルゼリー、せっかくみつばち精霊さんが作ってくれたんですが、私が食べて若返ってしまうと色々と問題があるので宝の持ち腐れになっておりまして・・・ゾフィさんに食べてもらえたら嬉しいです」


「なるほど・・・確かにあなたが今以上に若くなってしまうのは危険でしょうからね」


 そうなんですよ。本当に危険なんです・・・。思わず過去の出来事を思い出して遠い目になってしまう位には・・・。



本日もお読みくださりありがとうございます(*ᴗˬᴗ)⁾⁾⁾

いつも★を置いていって下さる皆さま、またブックマークをしてくださる皆さま、どうも有難うございます。とてもとても嬉しいです。


最近自分が座り過ぎなのと睡眠不足だと知ったのですが、これがもし逆だったらかなり健康的な生活スタイルのでは・・・?

そして、1月もあと少し・・・(え?)


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