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13.できるかな?

 

 領主様ご一家とのディナーはつつがなく終わった・・・はず。


 そのディナーでの主な話題は「私が住んでいた世界について」だった。


 皆さん興味深々だったようで(それはそうだよね)それこそ食いつくように、あらゆる事の違いに驚いき、興味を持って聞いてくれた。


 特に私の居た世界では魔獣が存在しない事や、魔法が無い事にはとても驚いていた。

 あと人族以外の、いわゆる亜人族がいない事にも驚かれていたっけ。


 移動手段の事も聞かれて、車に船に飛行機と、自分の知ってる範囲で説明をしたけど私には力不足で、説明するのが本当に難しかった・・・。


 それに皆さん、まるで幼い子のような「何で? どうして?」のような質問がすごかった。

 私としては電気やエネルギーの詳しい仕組みなんかは説明できないし、もうどこから説明したら・・・っ!という感じだったのだけど。


 いや私がうっかりアレコレと話しちゃったから、皆が興味を持っちゃったのよね。・・・反省だわ。

 確かに自分が逆の立場だったら、質問攻めをしまくるに違いないと思う。


 でもルーカス様には馬車の改造を出来ないかとか、その辺りを微に入り細に入り聞かれたから、また質問があるかもしれないなぁ・・・。

 いやもうそれ以上の知識は無いですし、馬車の改造なんて私には無理ですよ!?

 この世界にゴムの木があれば、衝撃を吸収してくれるサスペンションだとかタイヤとかを作れるかもしれませんけど・・・。


 ・・・ルーカス様が、ゴムの木を探し出しそうで怖い。




 翌日、領主様に草原に行きたいと話したら、行くなら護衛をつけると言われてしまった。

 だけどそれは丁重にお断りをした。

 転移魔法を試したいから、出来れば他の人には見られたくないし・・・。


 とにかく「【招かれ人】というのは領主様たち以外に知られていないし、二人でも大丈夫です!」と言い張って出てきたのだ。


 とにかく早く転移魔法はマスターしたいのだ。・・・私に出来るかな?・・・出来るといいなぁ。



 いざ、実践の時。

 転移魔法は行ったことある場所を思い浮かべて、と女神様の【知識】にハウツーがあった。


 まずはロアと二人で草原の真ん中に立って・・・そこから私だけ数十歩ほど移動して・・・座標はロアの前、と決めて【転移魔法】!



 はい、出来ちゃいました!

 いやぁ、【招かれ人】チートが炸裂ですね!


 私が急に目の前に現れたから、さすがにロアもちょっと驚いてたけど「やっぱりね、リサはすぐに出来ると思ってた」と、すごく良い笑顔で言われてしまった。


 【転移魔法】は、かなりの魔力を使うと女神様の知識にはあったのだけど…今のところ疲労感とか魔力を大量に使ったという感じはない。これは試した距離が短いからかな?


 そういえば森で薬草を見つけた時の【鑑定】や、ポーション作成の時に使ったであろう【調合】も、あまり意識しないで使えてたっけ・・・すごいなぁ、女神様パワー! もうマルチでチートでワンダホーだ。


 それと「僕も一緒に跳べるかな?」とロアに言われたので、じゃぁと試しに二人で森の入り口まで跳んでみようとチャレンジしたら、これもアッサリ出来てしまったという・・・。

 で、出来るんだ・・・。



 そんな経緯があって、しばらくいにしえの森の、入口付近で薬草を採取して過ごした。

 調子に乗って何度も【転移魔法】を使うと魔力切れで戻れなくなるリスクもあるので、今日はここまでにしようと早い時間にお屋敷に戻った。


 次はもう少し森の奥まで行けたらいいな。できたらまたあの美しい湖にも行きたいんだよね・・・。



 転移魔法を試した二日後、私達はまた草原に来ていた。

 前回の【転移魔法】を使った後に魔力切れや疲労も無かったので、今日はもうちょっと森の奥まで行ってみようと思う。


 流石に湖までは距離があるので、今回は別の場所に。できたら何回くらい連続で飛べるのかも確認したいところ。



 それが成功して、さらにその数日後。

 前回は何回か跳んでみたけれど魔力切れなどもなかったので、今日こそは湖に行ってみようと、ロアと二人で挑戦してみると・・・


 よし、あっさり成功!



 そして美しい湖は変わらずだった。

 なぜかこの湖には心惹かれるのよね・・・。


 湖は【鑑定】でもお水が飲料可能と出るくらいで、底が見えるくらい水が澄んでいて綺麗。

 あと不思議なことに、ここは動物は見かけるのに、魔獣らしき姿はまったく見かけないのだ。魔獣って本当にこの世界で多いの・・・?って思っちゃうほど。


 その畔をロアと散策していたら、ふと湖の中に光る何かがあるのを見つけた。一見するとボールみたい。

 最初は何でこんな場所にスーパーボールが? と不思議に思って湖の中に手を入れて拾い上げたら、ロアにもし湖の中に魔獣が居たらどうするの、と叱られてしまった。


 それは大きさがピンポン玉ほどあるのに、見た目が乳白色でキラキラしていて、まるで磨かれた真珠のようであり・・・。


 ・・・え、まさかこれ本当に真珠とか!? 淡水湖の真珠だったり!?


 ちょっとだけウキウキしながら早速それを【鑑定】をしたら、【シンジュの実:種子】と出た。



 真珠じゃなくて、”シンジュ”の実・・・?

 これを植えたら木になるのかしら。どんな木なのか、ちょっと見てみたい。


 他にも同じような実が落ちているか探したけど、あいにく見つからなかったので、とりあえずその実を持ち帰ってみることにした。



 今はお屋敷に戻る前にちょっとだけ休憩をしようと、我が家を召喚したところ。

 ロアとお茶を飲んで一息入れている。


 心配性のロアには、疲れてないかとか魔力切れはどうだとか何度も確認されたけど、今のところそこまで疲れてはいなかったし、帰りも問題なく跳べそうな感じだ。


 あのスーパーボールならぬシンジュの実を手の中で転がしていたが、どうにも気になってしまい、やはりここの庭に植えてみようとお庭に出た。


 お庭の空いている場所にロアが穴を掘ってくれたので、そこに無事に育ってくれますようにと植え、ふかふかの土を被せる。

 たっぷりお水をあげながら、うちのお祖母ちゃんがいつも種を撒く時に歌ってた口癖を真似てみる。



「ねーがでて、めーがでて、おおきくなーあれ♪」



 ピカッ



「あれ? いま地面が光った・・・?」


「うん、なんか光ったね・・・」


 そういえば雷って地中でも起こるんだっけ?

 でもしばらく様子を見ていたけど特に変化は無かったので、気のせいだったかとスルーをしてしまった。



 それがまさか、あんな事になるなんて・・・。

 この時は夢にも思っていなかったのだけど。


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