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135.ヴィーちゃんのメンタルケア

 

 セイドン様から頂いた宝箱に入っていた、あの見た目ジェリービーンズな”竜の涙”をちゃんと【鑑定】してみたら、確かに【竜の涙:竜が涙として生み出した魔力豊富な半固体状のもの】とあった。


 ちなみに女神様の【知識】で調べてみると更に詳しく、【竜の涙が長い年月をかけて化石化すると竜玉となる】とあったから、まるで琥珀みたいだね。

 この世界でも琥珀は宝石の扱いのようだけど、もともとは樹脂が気の遠くなるような長い時を経て化石化したものだ。

 それと同じように”竜の涙”も竜の体内で長い時間を過ごすと、いずれ”竜玉”になるらしい。それこそ何百年か、それ以上かかるのか分からないけど。



 ・・・ちなみに、このいただいた宝箱はホントにお宝の山でして・・・。


 個々に【鑑定】をしたら”竜玉”こそ入っていないけど、”竜の涙”をはじめ、とても貴重な鉱石だったりレアな宝石などがたくさんあった。


「あきらかにもらい過ぎね・・・」


 ロアにも「一生贅沢ができそうだね」と言われた。どんだけなの・・・。

 いくら神樹とはいえ、真珠爺様おじいちゃんの枝をもらって土に挿しただけで・・・。


 その真珠爺様おじいちゃん達からは『もらっとけば良い。お前さんしか出来ない事をしたのじゃ』・・・などと諭されてしまったけど。


 使い道がわからない鉱石もあるから、こんどガーブさんに何かに使えないか聞いてみようかな。

 とりあえず”竜の涙”は、大猫妖精族ジャイアント・ケット・シーさん達の集落で使わせてもらう予定。

 集落の行き来が簡単に出来るようになれば、きっと交流が増えてすてきな出会いもあるだろうし・・・うん、そうなったらいいなぁ。

 そしていつか大猫妖精族ジャイアント・ケット・シーの赤ちゃんがいっぱい生まれてくれたらいいね。ふふ・・・たくさんの赤ちゃん、可愛いだろうなぁ。



 この時、そんな妄想をしていた私には予想もつかない事だったのだけど・・・


 ”竜の涙”を使った魔道具を作った事で、この数年後に大猫妖精族ジャイアント・ケット・シーの集落ではかつてないベビーブームが来ることになる。


 そしてその時の赤ちゃんの名前に「リサ」にちなんだ名前がつく子が多くなるのだが・・・「アリサ」だとか「リサール」だとか・・・だけどそれはもう少し先のお話だったりする。



 まぁその”竜の涙”のことはさておき、いま私が一番気にかかっているのはヴィーちゃんのことだ。


 今日は一人でとても心細い思いをしただろうから、ヴィーちゃんの小さいお胸に影が落ちていないか気がかりなのだ。

 少しでもそのマイナスの影響が薄れてくれればと思い、大猫妖精族ジャイアント・ケット・シーさん達の宴に参加させてもらい、楽しく過ごせればと思っていたのだけど・・・。


 宴ではとても楽しんでくれていたようだし、みんなと一緒にワイワイしている時は大丈夫そうなのだけど、やっぱり少し不安になるのか、あれからほとんどの時間を私にくっついて過ごしている。


 そして気がつくと足元にいたり、私が抱っこしている時はおそらく無意識でその小さなおててでしがみついてきたりするのが少し心配・・・。




「さぁ、そろそろ寝ようか」


 ヴィーちゃんとグレンにそう声をかけて寝室に向かう。


 いつもだったらロアも一緒なのだけど、今日は彼も察してくれているようで「僕らはもう少し後にする」と言って、もうすでに寝落ちしていてよだれを垂らしていたグレンをソファで預かってくれた。気遣いばつぐん・・・さすがスパダンです。


 いつもは寝つきが良くて早々と寝てしまうヴィーちゃんだけど、やはり一緒にベッドに入ってもすぐには寝なかった。

 私が寝かしつけるようにしばらくポンポンしていると「リサちゃん・・・」とヴィーちゃんの声がした。


「なぁに? もしかして眠れない?」

「ううん・・・あのね・・・・・・きょうはおやくそくをまもれなくて、ごめんにゃさい・・・」


 あー・・・。

 これはやっぱり昼間の事を気に病んでしまっているのね・・・。


「ヴィーちゃんのせいじゃないよ。私のほうこそもっと気をつけてあげなくちゃいけなかったのに、一人にして・・・不安にさせちゃってごめんね」


 ぎゅっと抱きしめると、「リサちゃぁん・・・」とぴっとりと私にくっついて私の顔をペロペロと舐めてきた。


「ふふふ、くすぐったいよー」


 いつもだったら滅多にここまで甘えることは無いヴィーちゃんだが、まだ幼いこの子が皆とはぐれてしまったのは、そうとう不安だったようだ。

 ・・・トラウマにならないといいなぁ・・・。


 そのままヴィーちゃんが眠くなるまで抱っこして、しばらく今日の大猫妖精族ジャイアント・ケット・シーさん達との宴について話したり、あれは楽しかったねー、と小声でくすくすと笑いあったりしていた。


 ようやく気持ちがほぐれたのか、ヴィーちゃんのおめめがショボショボになって、もうすぐ寝ちゃうかな?と思った頃・・・


「ぼく・・・リサちゃんの眷属ににゃれて・・・よかったの・・・にゃ・・・・・・ぼくね・・・」


 そう呟きながらヴィーちゃんは言葉の途中で眠ってしまった。


 わたしもね、ヴィーちゃんと家族になれたみたいで嬉しい。

 これは本音。眷属というのがまだよくわかっていないけど、私にとってはすでにヴィーちゃんもグレンも大切な家族だ。

 頭におやすみのキスをして、しばらくヴィーちゃんの可愛いお顔を飽きずに眺めていると、ロアがグレンを抱えてそっと部屋に入ってきた。


「ヴィオはどう?」

「うん、色々とお話して今ようやく寝たところ・・・。やっぱりあの時はぐれてから、ずい分と精神的に不安だったみたい」

「まぁ、ヴィオはまだちっこいからなぁ・・・」


 同じようにまだちっこいグレンをベッドに寝かすと、ヴィーちゃんの寝顔を見て「今はすごい幸せそうな顔をしてる」とほっぺをなでていた。


 ロアさんもほんと良いお兄ちゃんです。



「それで、明日はどうするの?」


 ロアにそう聞かれ、私はさっきから考えている事を伝えた。

 もう一度ドラムさん達のところに行って、ほかの大猫妖精族ジャイアント・ケット・シーさんの集落にも簡単に行けるよう、例の仕掛けを作らないか聞いてみたい。


「じゃぁ、さっそく”竜の涙”を使うんだね? まぁリサならそう言うだろうなと思ったけど」


 うん・・・。

 なんかね、偶然にしてはあまりにもタイミングが良すぎるというか・・・これも女神様の御導きかなって思ったのよね。

 それに私が宝の持ち腐れにするよりは、誰かのお役に立てるほうが私も嬉しいし・・・。


「しっかり”愛し子”として仕事をしてるんだ」

「それが出来てるかどうか・・・」


 そもそも、そのイトシゴの仕事ってなんぞや・・・とは、私が常々考えている事で、そして答えが出ない事なのだけど。それでも何かの役に立てればとは思っている。


「まぁ僕はリサのしたい事を手伝うだけだけど・・・。きっとヴィオやグレンも・・・ホークさん達だって喜んで手伝ってくれると思うよ」


 ありがたい・・・。

 事実、本当に助かっているし、ロアや皆がいてくれるから、この世界で積極的に頑張ろうと思えたような気がする。

 私ひとりじゃ、我が家に引きこもっていたかもしれないもの。

 考えてみれば、ロアと出会えたのが、私が外に出ようと思えたきっかけだったな・・・。


「ありがとう、ロア。いつも本当に助かってる」


 私のセリフにロアが少し驚いたようだったけど、はにかむように微笑んでくれ、「おやすみ」と、ヴィーちゃんと私のおでこに「ちゅっ」とキスを落としたロアさん・・・。


 サラリとおでこにキス、だと・・・?!

 うちのロアさんがカッコ良すぎる!! ――と、ひとりベッドで悶えてしまった夜なのでした。



すみません、ちょっと更新が遅くなってしまいました・・・。


本日もお読みくださりありがとうございます。

誤字などのご報告も助かっております。また、評価やブックマークなども有難うございます。


9月になりましたが、日中の日差しはいまだ殺人的ですよね。

外もそうですが、うちの部屋も暑すぎてクーラーを止められません。そして私はクーラーの効いた部屋でのお昼寝がやめられません・・・_(:3」∠)_


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