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【閑話】悩み(ロアン視点)

 

 僕はこの半月ほどで、おそらく一生分は驚いたに違いない。

 あと同時に幸運も使い切ったのかもしれない。



 ・・・それはリサに出逢えたから。



 リサはあのとんでもない規格の家のこともあったから、普通の人じゃぁないとは思ってたんだ。


 でもまさか、まさか【招かれ人】だったなんて。



 時々だけど神官が街中でも説話をしてくれるから、奴隷だった僕でも女神様や【招かれ人】の事は知っている。


【招かれ人】がいるだけで、国が安定するという。

 災害が減ったり、作物の収穫が多くなったりと良いことだらけだという。


 神殿では【招かれ人】のことを、女神様の愛し子ともいわれてるって話、あれも実際に本当だったんだ・・・。

 だってギルドでの【鑑定】でもリサは『女神フローデリアの愛し子』ってあったもの。


 そんな人が僕の家族になってくれるって。

 本当に? 本当に僕で良いの?



 でもリサが【招かれ人】でなくたって、僕は一緒に居たい。


 私の家族にならない?って言われて、僕はすごい嬉しかった。

 本当に、すごくすごく嬉しかったんだよ。


 でも今はリサが遠くなっちゃったみたいで、ちょっとだけ胸がきゅうっとするけど・・・。



 これから領主様と会ったりするらしいし、きっともうリサは僕だけのリサじゃなくなってしまうだろう。

 今のところここの領主様の悪い噂は聞かないけど、どんな人だろう・・・。もしちょっとでも嫌なヤツだったらリサには近づけたくない。



 そういえば、リサがようやく服を替えてくれた。これで町の男たちからの視線が少しましになるかと思ったんだけど・・・あまり効果がないみたいだ。


 街中にいるとリサはちょっと目立つ。その黒髪も、そのきめ細やかな肌も。もちろん服装も少し違うというのもあるけど・・・。リサが歩いてると男はみんなジロジロと見てくるから嫌だ。

 当の本人はそんな視線とか、まったく気にしていないみたいだけど・・・。


 一見しっかりしてそうだけど、信じられないくらい無防備なんだ。

 僕とベッドも一緒なのに、信じきって眠っているあの無防備さはなんなの?って思う。


 僕は嬉しかったけど、やっぱり少し心配だ・・・。



 今日は服屋でもちょっと僕がリサから離れた隙に、店内で男から声をかけられてたし・・・本当に一時も目が離せない。


 帽子を被れば顔も髪も隠れて、少しは目立たなくなると思うんだけど・・・それだけじゃダメかもしれない。何か良い方法はないだろうか。



 だけど今日会ったあの副ギルド長のエランドさん・・・彼からは嫌な匂いはしなかった。男だけどその点は大丈夫だったのは良かったな。話しを聞いている限りでは信頼ができそうな感じだったし。


 他の獣人はどうだか知らないけど、僕は匂いでどんな人間かだいたい分かってしまう。悪いやつは何とも言えない不快な臭いがするんだ。それがあのエランドさんには無かったのでホッとした。



 そういえば、リサは逆にとってもいい匂いがする。

 ほんのり甘くて、今まで嗅いだことがない特別な匂いだ。そばにいるとその匂いで安心するし、なんだか嬉しい気持ちになるんだ。

 これってリサが女神様の愛し子だから? それとも他に何か理由があるんだろうか。


 あぁ、だから次々と男が寄ってくるのかな・・・花の匂いに惹かれるように・・・。



 僕の悩みは、まだまだ続きそうだ。


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