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秋の桜子詩集

里の木 柿の木 悲しい木

作者: 秋の桜子

 里の木 柿の木 さみしい木 人の手欲しがる甘い柿



 空き家の裏庭 草ぼうぼう そこで立ってる 大きな木


 葉っぱは ある夜 秋風突風ふきわたり パラパラパラと落ちたけど 枝にはたわわに だいだい色の 子らをたくさん ならしてる。



 里の木 柿の木 さみしい木 人の手欲しがる甘い柿


 やわになったお日様の 光を浴びてるその子らは 甘く 甘く おいしく あまく 熟れてるけれど


 だぁれも とらない 見向きもされない 悲しい かなしい 実りの秋を迎えてる。


 ちちちちと、日中 ひよどり訪れて、甘いその実をついばむけれど 多くの柿の実 透き通るほどに熟れたなら ボタボタ落ちて 地に帰る



 里の木 柿の木 さみしい木 人の手欲しがる甘い柿


 寒い 寒い 冬が近づく 里山 霜月 ある日の暗い くらーい寒々夜に


 ベキベキ バギバキ 枝を折り、木に登り むしゃむしゃ モグモグ 柿の実食べてる 熊一頭


 夏の水枯れきびしくて 山にどんぐり少なくて 誰も採らない 柿の実見つけた 冬眠前の熊一頭


 山から こっそり降りてきた。おりてきた。


 里の木 柿の木 うれしい木 甘い子らが誰かの役に たった事 うれしく うれしく思った 霜月 の 寒いさむーい夜だった。


 熊は 柿の実 全てきれいに 食べ終わり のそのそ山へと帰ってく。足跡 残して 帰ってく。


 次の日 里は 大騒ぎ 集落内に 熊がでた!お巡りさんがやって来る 役場の職員やって来る


 オレンジ色の ベストを着こんだハンターも ワンワン強い鳴き声 猟犬も 柿の木周りに集まった。


 里の木 柿の木 驚いた みんなで ひそひそ 話してる。柿の木 どするのか 話してる。


 やがて 響くは チェーンソー ぎゅうぎゅう ぎゅわん と音立てた その後に ベキベキバギバキ


 柿の木たおれる 音がした。音がした。



 里の木 柿の木 さみしい木 人の手欲しがる甘い柿



 誰も見向きもしなかった さみしいさみしい柿の木は 熊のお腹を満たした後に 欲しかった 人の手出て来て ベキベキバギバキ 倒された。



 里の木 柿の木 悲しい木 最後は人の都合で たおされた。跡には ポツリと 切り株一つ残るだけ……














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― 新着の感想 ―
[良い点] 哀愁ただようラップですね。←ら、らっぷ? 幸い家で読んだので、だれにも知られず音読です( ̄▽ ̄)
[一言] 本当に、悲しい気持ちになりました。 熊は悪くないのに。
2018/11/01 10:38 退会済み
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