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17-4  軌道上農園

「おい赤羽!そっちに行ったぞ!!」

「マジかよ!?どこにいる!?」

「その木の陰よ。注意して」

「こっちから追い立てよーか?」

「いや、いけるだろ!」




竜司達は、小舟(サリサが貸し与えた、一人乗りの宇宙艇)にそれぞれ乗って巨大な宇宙空間上の”森”に分け入り、”森”の中で作物を荒らす宇宙生物達を追い払う仕事をしていた。


”森”は惑星エレストラの衛星軌道上をすっぽり包み込むように取り巻いていて、その体積は惑星エレストラ自体の数百倍にも及ぶものだった。


何しろリャート63-9星系全体がそうした宇宙空間を利用した農業を一大産業としていて他の惑星や衛星の軌道上、さらには恒星リャート63-9そのものにも”森”や”海”が取り巻いているのだ。

サリサの話では、ここで農業を営む家は他にも数多くあり、それぞれが担当の宙域で農作物を栽培していて、それらを地球日本の農協に当たる組織が統括管理しているそうだ。


宇宙で農作物を栽培するメリットは数多い。

何よりもその無限とも言える空間を最大限に活用する事で、どんな巨大な農作物だろうと育成栽培が可能である。

それに安定したG型恒星であるリャート63-9の豊かで穏やかな太陽風を利用してエネルギーを得る事も出来る。

水や土壌その他栄養分は、そこらを漂っている彗星や小惑星を幾らでも採取して砕いて農作物に与えれば良い。


しかしながら問題もないことはない。

その一つが、農園を荒しまわる宇宙生物『アラムトリア類』である。


アラムトリア類というのは、元々は星間空間を漂って移動するプランクトンのような生物群の総称である。

生物群を大きく分類すると、まず植物性と動物性が存在するのは地球と同じだが、更には鉱物性とかプラズマ性などという群類も存在する。

しかし真空中を漂う栄養(この場合は有機物)を摂取しようとする習性があるのは、どの群類も似たようなものだ。


そして目の前に栄養たっぷりの塊が浮いていたら、どんな種類の連中であろうと群がってくるのは自然の摂理だ。

また、そもそも宇宙を航行する生物などというものはやたらに大きく、当然栄養の摂取量も半端ない。

何より数千数万体という群れが一気に押し寄せてくるのだから、”森”のスケールが数億立方Kmあろうと一瞬で食い荒らされ、消失してしまうだろう。


従って”蟲追い”と呼ばれる、””森”や”海”を守る牧羊犬のような役割が必要になる。

大抵の場合は、ドロイドを用いて追っ払うのだが

アラムトリア類も種類によるが一定程度の知性を有しているのでドロイドの行動パターンを読まれ、裏をかかれてしまうと意味が無くなってしまう。

従ってドロイドも学習機能を持たせ、都度アップデートしているのだが結局いたちごっこの状態に陥るのだ。

しかも相手がドロイドの配備台数を超えて襲来してくると完全に処理オーバーになってしまう。

そのため、アラムトリア類の襲来は宇宙農家にとって常に頭痛の種なのである。




「いやあー、君達が来てくれて本当に助かるよー!!

 ここんところ、毎日のようにアイツらがやってくるからさー!」

サリサが巨大な帆を広げた宇宙ヨットで竜司達の小舟タブと並走しながら話しかけた。


「いやあ、こんなんで良ければ”蟲追い”なんて幾らでもやりますけど。

 って言うか、こんなすげー広い空間をいっつもこんな感じで追い回してるんすか?」

竜司が小舟間の通信チャンネルを通してサリサに訊く。

「そーだよー!

 だからさぁ、ドロイドがすぐに使用限界に達して交換がおっつかないんだよねー!

 それに最近じゃ連中の方が猿知恵使って翻弄してくるからさー、効果がいまいち出なくなってるっつーかさ」


「なるほど、そうすると私達のような新たな行動パターンを取る敵が現れると、相手も混乱する訳ですね」

神崎がサリサの狙いを言い当てると、サリサがニヤッと笑った。

「そーそー!!

 もう私の行動パターンも読まれてるからねー!大変なんだよ!

 だから君達みたいな新鮮な動きをしてくれる人は大歓迎さー!!」


「でも、私達ってあと数日しか居られないんですけど、私達が帰っちゃった後はどーなるんですかね?」

山科が小舟をくるっと軽やかに回転させて宇宙塵を避けつつ疑問を呈した。

「大丈夫大丈夫!

 今こっちの農場管理システムが君達の行動パターンデータを目一杯読み込んでる真っ最中だからさー!

 そうすれば君達が帰った後も、君達6人分のデータを元に仮想行動プログラムをでっち上げてドロイドにアップデートすれば、だいぶん保つと思うんだよーー!!」


「何と!それは大変素晴らしいですな!!

 我々もこうやって飛び回る甲斐があると言うものです!!」

東雲が調子に乗ったのか、竜司達が組む編隊のさらに外側で小舟をぐりんぐりんと大きく旋回させた。

「っちょっと!東雲ちゃん危ないって!!」

山科の抗議も聞かず、はしゃぐように何周も大回転しながら飛行している。

「ありゃーフラグかな」「だわね」


「どぅわっっとぉ!?」

果たせるかな、竜司と神崎が予感した数分後に東雲の小舟が直径数mほどの宇宙塵にガツンとダイレクトヒットした。

「うぅわ!?うわわわわわ!!」

急にコントロールが取れなくなった東雲機は、そのまま錐揉みをするように明後日の方向へ失速しながらルートを外れていった。


「えぇえ!?大丈夫か!?」

「我操舵不能!我操舵不能!!」

「ちょっとヤバくないあれ!?」

「全く言わん事じゃないわね…」


すると、珍しくもしばらく黙って見ていたサリサが口を開いた。

「んーーー、まぁ大丈夫かなー!!」

「えぇ…」


竜司達が、急速に離れていく東雲機を光学レーダーで観察していると

急に東雲機が何か白い塊にヴァッと包まれるのが見えた。


「え?何あれ!?」

「あー、あれはねー、宇宙船の修復機能かなー!ははは!」

何も心配はいらないとばかりに笑うサリサだったが、竜司達は半信半疑だ。

しかし、さらに見ていると東雲機がバルーンのようなものに完全に飲み込まれたかと思うと

それはたちまちの内に収縮し、元の東雲機…いや、全体的に小さいウィングやアンテナのようなものが色々と追加された形状へと変化していった。


「おぉお!?」

完全に修復し終えたと思われる東雲機が、船尾の噴射口から炎をぶち撒けながら一気に再加速して竜司達の編隊に合流した。


「東雲壱号改、Ver,2.0!ここに参上!!」

「お、おぅ…まあ無事で何よりだぜ…」

再び調子に乗り出した東雲に、竜司が諦めの境地でハァっと息をついた。


「君達が乗っている小舟タブはね、

 半生体、すなわち半分生きてるような生体構造を持ってるからねー!

 だから修復機能もあるし、技術があれば乗りながら改造する事も出来るんだよーー!!」

「へぇー、シンプルなように見えて実は凄い宇宙船なんだな」




「あれ、そーいえばシアラちゃんとアルウィオネ様は?」

「あの二人なら、出がけに別行動をとるからって言っていたわね」

山科の疑問に神崎が答えた。


「ふーん、やっぱ久しぶりだし二人だけで遊びに行きたいってのもあるんかねぇ」




- - - - - - - - - -




「これは遊びじゃないですよ、本気出しますよ!」

「おう、望むところじゃの!」




同じ頃二人は、竜司達の乗る小舟タブの同型機をその場で改造しながら

限界速度の遥か上、光速の1/10を上回るスピードまで加速しつつ競争していた。


艇内の窓から見る宇宙は、ドップラー効果と特殊相対性理論によってみるみる間に星虹スターボウが掛かり、また自船のすぐ脇でデッドヒートを繰り広げる僚機は、光行差現象で奇妙に歪んで見えてくる。

そしてお互いでやり取りしている通信も相対性理論に従い、微妙に遅れて聞こえてくるのだ。互いに速度差が出ると、その通信音声の歪みが一層はっきり出てくる。


もちろん一般的な宇宙艇ならそういった歪みは船内AIが補正してくれるのだが、二人が乗る簡易的な小舟タブにはそうした機能は無い。

というか、そもそもこんな異常な程の亜光速で航行するように造られていないのだから当たり前である。

それでも曲りなりに亜光速航行出来ているのは単にこの小舟の生体構造が頑丈であるのと、シアラとアルウィオネが航行しながら改造を行うという荒業を成しているからに他ならないのだ。


「ほほう、光速の20%を突破しおったか。お主もなかなかやるな!」

「アルウィオネ様も私に追いつくとは、腕を上げましたね!」


二人の宇宙艇は惑星エレストラの公転軌道をとっくに離脱し、さらに幾つもの外惑星の軌道をどんどん超えていく。

今度は第6惑星シロン=チャルスのエメラルド色をした相貌が、艇内の窓を通り過ぎていった。

二人とも、レースに夢中になっていて農園の仕事を完全に忘れているようだ。


「まだまだ、こんなの序の口ですしこれからです!!」

「いやいや、余もこれから本気出すからのう!!」


二人がそれぞれ乗った宇宙艇は、更に加速を続けていき

第7惑星の公転軌道に到達する頃には光速の50%を突破する程に達していた。

その付近の宙域となると、流石に宇宙農園がまばらに点在する程度になっていたが

もしその農園から2機の宇宙艇を見る者が居たとしたら、見る目にはその宇宙艇がやたらと前後に潰れたような姿に映っていた事だろう。

もちろん光行差現象の為せる技なのだが、そもそも光速の50%で移動する物体を普通の肉眼で捉える事はほぼ不可能に近い。


そして、調子に乗った二人の宇宙艇がついに光速の80%を更に超えて光速そのものと化そうとした時、


「こらあああああああああ!!!」


突然の叱声が2機の艇内いっぱいに鳴り響き、二人が思わずムギュッと目をつむって頭を抱えた。

「うぇえええええ!?な、何!?何があった!?」


「何があった、じゃなぁああああいだろーーー!!」

特殊相対性理論の効果によって著しく甲高く、しかし妙に間延びしてひしゃげたような声が再び響く。

しかし、その声の持ち主を一発で認識した二人は、はっとして我に返ったようになった。


「あっ…やばっ」

「おおぅ…そうじゃった」


「全く!!何やってるんだよ二人ともーー!!」

艇内の窓から前方を見ると、いつの間にか巨大な半透明の、鮮やかなコバルトブルーの帆を目一杯に広げた宇宙ヨットが

2機の宇宙艇の進行方向を塞ぐようにして航行していた。




「さ、サリサ…」

「申し訳ないサリサよ、つい夢中になってのう」

「もー、夢中になりすぎだよー!

 一体何時間レースしてんだよー!」


「えっ!?まだ30分と経っていないと思うのだが」

「ちっちっ!!君達ー、相対性理論の事をお忘れかなー!?

 こっちじゃもう4時間近く経ってんだけどねー!

 もうお昼ご飯の時間だよーって呼ぼうとしたんだよー!」

「おおぅ、そうだったな…」


確かに、惑星エレストラからこの第7惑星軌道までおよそ20億kmばかりを亜光速で加速しながら航行してきた事になる。

相対性理論的には、艇内時間で30分でも艇外の空間では4時間が経っている事になるのだ。


「しかし、サリサはここまでどうやってやってきたのかの?

 その宇宙ヨットではワープどころか亜光速で航行する事も難しそうじゃが」

アルウィオネが首をひねった。


「ちっちっちっ!!甘い甘い!!

 私のヨットはちーとばかり特殊でね!

 こんななりでも立派なワープドライブを積んでるからねー!

 改造は君達だけの専売特許じゃないぞーー!!」


サリサはそう言うと、ヨットの前方に向けて何やら光るスプレーのようなものを噴射した。

噴射されたミストは、たちまち虚空に大きなリングを形成する。


「さーさー、

 今作ったワープゲートを起動させるから、そこに入った入ったーー!」

どうやら、リングはワープの為の出入口ポータルのようだ。

神崎が能力で作るゲートに似ているが、これは宇宙艇が楽に入れるくらい大きく安定している。


「やれやれ、勝負は一時お預けじゃの」

「ですね。それでは午後からまた再開しましょう」


「こらー!!二人とも午後こそ仕事せいっちゅーの!!」

「うっ…」はい…」




二人とも、サリサに再び叱られてしゅんとしながらゲートに入っていった。




- - - - - - - - - -




全員が揃ってシアラ邸に戻り、そこでミアナが提供する豪華な昼食を摂ってから

午後は再び”蟲追い”の仕事を行った。

むろん今度はシアラやアルウィオネもちゃんと参加した。

二人とも、最初は不承不承といった顔をしていたのだが

段々と面白くなってきたのか、結局は二人で競って宇宙生物を追い回す事に熱中していた。


そして、ある程度仕事が慣れた竜司達は行動範囲を少しばかり拡げ、全体的にばらけて作業を行うようになった。




「今度はこの投網を使って『アラムトリア』を捕まえてもらおうかなー!」

と、サリサはヨットに付いているロボットアームを器用に使って網のようなものを竜司達に広げて見せた。

「もう君達も小舟タブの操縦に慣れた頃だろうし、こういう作業も出来ると思うよー!」


「えっ!?それで捉えるんですか?あのでっかい宇宙生物を?」

「網のサイズ、ちっちゃくないっすか?」

「それに破られないかなぁ」


「ははは!大丈夫大丈夫!!

 コイツは一旦放り投げると、たちまち数十倍に広がっていくし

 粘性のある材質の糸で織られてるから、ちょっとでも連中を引っ掛けると強力に引っ付いて勝手に絡んでいくからねー!」

確かによく見ると、網の糸が妙にキラキラしている。


「ですが、それを捕まえてからどうするのでしょうか?

 ただ単に殺処分するのですか?それとも食料にでもするのでしょうか?」

神崎が疑問をぶつけた。

「うぇ!?まさかあれを食べるの…!?」

「ジビエにしても気持ち悪すぎだろ…」


「ああ、理由言ってなかったねー。

 例の連中は体組織が有機物を主成分としているんで

 農作物の肥料としても使えるんだよー!!」

サリサが笑いながら快活に答える。


「ああ、肥料か。なるほど」

胸をなでおろす竜司達だったが、山科はそれでもやや引きつった顔をしている。

「うぇえマジでー…?あんなんが本当に作物の栄養になるの…?」

「あら山科さん、私達が普段地球の日本で食べている食品だって、元を辿ればああした野生動物の遺骸を堆肥に混ぜて栄養に富む肥料にしている事もあるのだから、いちいち気にしてはいられないと思うわ」


「ほほぅ、さすが神崎さん!地球のご親戚が農家を営んでるだけあって知識も豊富だねー!」

サリサが褒めると、神崎が少し顔を赤くしながらぼそっと応えた。

「あ、いえ、それほどでも…差し出がましい事でしたわ」


「それじゃ、いっちょ使ってみましょーかー!」


サリサの号令で、各宇宙艇のロボットアームに投網を引っ掴ませてから

各々がそれぞれの割り当てられた宙域へと進発していった。




「そりゃーーー!!」

「ていっ!…あれ!?スカッた……」


「よっしゃー!一匹目ゲットーーー!!」

「なにぃー!東雲には負けられねーぜ!!」

「ははっ赤羽ちゃん肩の力入り過ぎでしょー!」


「こちらはもう3匹目、いえサイズから言えば3頭目と言うべきかしら」

「いぃやったー!!カナディアンロッキー仕込みの投げ縄の要領でやったら上手く行ったぜー!」

「あら山科さん、そのロボットアームの動かし方は大したものだわね」

「だしょー!?てへへっ!!」

山科は、自機のロボットアームをカシャカシャ動かしつつ映像通信でそれを他機に見せつけていた。


開始から1時間足らずで神崎を筆頭に次々と戦果を挙げる仲間達に対して、赤羽はなかなか投網を使いこなす事が出来ず、未だに1頭も宇宙生物を捕らえることが出来ずにいた。

「ぬぬぬ…こりゃヤベーな…」


「あら赤羽くん、貴方の能力とやらでどうにでも出来るのではなくて?」

神崎がからかうように言った。

「そんなんとっくの昔に試してんだよ。

 でも投網みてーなやたら大きいだけのふわふわしてるモンは全然上手く操れねーっつーかさ、もうそれをやる位だったらまだロボットアームを念力で動かした方がマシだぜ」

途方にくれたような口調で竜司は大きくため息をついた。




「っよっし…こんくらい練習すれば大丈夫だろ」


竜司は、指定された宙域からやや離れた所で、小ぶりな小惑星を相手にして網を投げる練習を繰り返していた。

100回くらい投げたところで、ようやくまともに投擲出来る手応えを得た。


「よっしゃ!じゃぁいざ、戦場へ往かん!!」

気合いを入れ直した竜司は、そのまま小舟タブの動力を最大にして自分の割り当て宙域へと全速で向かう。

しかし、惑星エレストラを周回する軌道に乗る農場の相対位置について航法システムに再計算し忘れた竜司は、公転移動によって農場の宙域が若干ずれている事に気づかなかった。


「おっ…目の前にちょうど宇宙生物が居るじゃねーか」

竜司が小舟タブの前方に浮遊する影をスコープで拡大すると、

そこには半透明のクラゲとイカを合体させたような形態の『アラムトリア類』の一種が単体で泳いでいた。


「お前には気の毒だが、修行成果の練習台となってもらうぜ!!」

竜司はそう独り言を言いながらロボットアームをキビキビと動かし、投網をアームの先端にセットした。


「3、2、1、発射ーーーっ!!」

叫びつつ、アームを勢いよく振り回して投網を宇宙生物目掛けて投げる。


アームから離れた投網は、そのまま超高速で数キロ先の宇宙生物へ向かって接近して行く。

「よっしゃ!いけいけいけいけぇ!!」


すると、宇宙生物が急に方向転換し、投網の投射予定範囲からずれた。

「うぇっ!?くっそ、また外したか…

 って、あれ?なんか向こう側に居るぞ!?」


見ると、今まで宇宙生物の陰に入って見えなかったが

その向こう側に小さな物体が姿を現したのだ。

「…あっ、まさか」


投網は、そのままの速度で勢いよく、竜司が乗っているのと同型の宇宙艇にバシャっとへばり付いた。


「……

 今、投網を投げたのは… 赤 羽 く ん か し ら?」


「…は、はい…」


竜司側の通信スクリーンに、額に青筋を立てて眉を思い切り顰めた神崎の顔が大きく表示された。




- - - - - - - - - -




結局、竜司の戦果は神崎機を捕らえただけという散々な状態でその日の作業は終わった。


他のメンバーは神崎12頭、東雲5頭に山科11頭という成果だ。

なお、シアラとアルウィオネは”蟲追い”に専念していたお陰で成果としては0である。




「全く…貴方のお陰であれから1頭も捕まえられなかったわ。

 それに私の小舟タブも船体がべちょべちゃじゃないの、一体どうしてくれるのかしらね?」

地上の駐機場で宇宙艇をドックに収めつつ、神崎がクドクドと竜司に文句を言う。


「いやマジで済まなかったって…それにあんな所に神崎が居るとは思わなかったしさ」

「それは貴方が航法システムの管理を怠ったのが原因でしょう。

 この船のシステムなんて慣れれば地球の車のカーナビよりも簡単なのだから、責任は赤羽くんにあるわね」

神崎が腕を組んでキッと竜司を睨みつける。

「ひぇえ…はい…」


「まーまー、まだ君達もこの仕事をし始めたばっかだしさー。

 あんまり気にせずにこの反省を活かせば良いと思うよー。

 それに船体だってすぐに洗い流せるしねー」

サリサが神崎をなだめる。


「そうだぞ神崎さん、私なんか今日は投網を一切出来なかったし」

「明日は投網でシアラと勝負しようぞ!」

シアラとアルウィオネも帰って来て、宇宙服を脱ぎながら言った。


「ははは…二人は相変わらずだなぁ」

「何かと競わずにはいられないみたいねー」

二人の会話を聞いて、その場の全員が笑った。




すると、急にシアラの腕輪がピィピィと鳴った。

「ん…何だ?緊急通信だと…!?」


シアラは、腕輪のスイッチを入れて手のひらを広げると

手のひらの上に3D表示による通信画面がポップアップした。


「シアラか?」

そこに映っていたのはオクウミだった。


「支部長、何か御用でしょうか?」

「まず確認だが、そこに他の4人と、あとアルウィオネ様も居られるんだな?」

さっと顔色を変えたシアラが頷く。




「それでは指令を伝える。

 明日にそちらへ時空探査局差し回しの高速宇宙船が到着するから、全員それに乗ってすぐに地球へと戻って来てもらいたい。

 緊急事態が発生した」

更新が遅くなり、申し訳ありません。


この年末年始は少しばかりバタバタしてました...


次はなるべく更新ペースを上げたい所ですね。

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