表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/138

『国際UFO研究機構・定期報告 四』

(6)近年の日本社会に於ける異常性


・そこでUFO研究家達は『c』から日本へ科学技術の伝授が秘密裏に交わされているのではないかとの仮説を立てて、今や彼らを含めて多くの超常現象研究家や陰謀論者までもが日本に居を移して本格的な調査研究を開始しつつある


・不思議な事に、特に最近の日本国内ではアメリカや欧州よりも自由にこういった研究調査が行える環境にあり、多くの日本企業や国内の学術研究組織が門戸を開いて彼らの見学や調査の要請に応じている状況であるため、日本側の積極的な情報公開対応に接した多くの研究家は、それまでの先入観や仮説に反する状況に戸惑いを感じている


・しかしその研究家達がまた指摘するのは、現在の国際社会情勢に対する日本社会情勢の隔絶性についてである

 それは従来唱えられてきた日本文化の閉鎖的な異質性とは少し異なり、やはりここ十数年に於いて日本では奇妙なまでに社会的ダイナミズムが復活し、地域社会や組織の新陳代謝が活発になった事でより生産性や成長率が向上している事や、その結果として失業率や犯罪発生率が極度なまでに低下し、反対に出生率や世帯平均収入が急上昇している点を挙げている


・また海外からの移民の数も徐々に増やし、更にダイバーシティや格差是正政策が為されている事もあり、かつて無く現代の日本社会は開明的であり、その革新性と成長性は世界中の経済社会関係筋の注目と投資を集めている

 そしてその事が、現在も政治や経済の面で低迷し混乱し続けている国際社会との差となって現れてきている


・日本では2003年に革新的な経済社会政策を掲げた新政党が旧政党に替わって新たな政権体制を樹立し、その後も国内の政治社会改革を積極的に施行してきている

 それが上記状況への多大な貢献がある事は認められているものの、この新政権体制ですらも日本を動かす何らかの大きなうねりの一部に過ぎないのではないかと考える研究家も多い


 * * * * *


・また、ここ近年に於いて高度成長期並みの急激な再成長を遂げている日本経済の実体にも疑念が浮上している


・多くの国際経済専門家が指摘しているが、特に21世紀に入ってから国内の各企業や工場での商品生産が常時フル稼働状態となり、物資が輸出にも流れているお陰で、世界貿易輸出総額の12%が日本によるものであり世界最大の貿易黒字を計上している

 しかし内需分は輸出分を超過しており、それは日本人口から予測しうる内需の上限を遥かに上回る数量と考えられる

 そのお陰で日本経済は弱インフレ傾向が見られるものの、経済成長率がここ10年以上もの間で年10%を超え続けている


・莫大な物資が何処に消えて行くのかについては、海外の経済ジャーナリストが物流の追跡調査を行っているのだが、多くは普通の一般国民による消費が確認されたものの、半数近くの物流について最終的な宛先をたどる事が出来なかった

 分かり得た範囲でいえば、主にいわゆる公共法人とされている所へと流れて行ったまま物資の足跡が途切れている


・特に享遊規制法によって廃業したパチンコ店等と入れ替わる形で続々と開設されたEQ研修機構のワークショップ局が入居している建物や、EQ研修機構を含む様々な形態の新特殊法人が所有する施設や敷地へと消えていっている

 そして、こうした新特殊法人で物資が消費された形跡も無く、どうやら更に別の場所に物資が運ばれていると思われる


・運ばれている商品は主に車や家電、AV機器や情報端末等の電子機器、また家具や衣料品や日用雑貨、一部食品や嗜好品、更にはゲームや音楽CDやDVD、アニメやコミックや小説といったコンテンツ類まで幅広く、殆ど全てが日本製品である


・これらが海外に密輸出された形跡も無い事から、物資は全て国内に留まっている筈だが、その後の消息は一切不明である


 * * * * *


・上記のEQ研修機構自体についても、その理論やシステム等が一見して一般的な自己啓発系のようでありながら、オープンな環境にも関わらず、人材能力の抽出や発揮についての研修手法については理解が困難で奇妙な点が多い


・しかしEQ研修機構が海外で評価され数カ国で応用試験もされているが、決して日本並みに成功している訳ではないので、これもまた日本独自の、何らかの技術情報源からの組織的なサポートが為されている可能性があると考えられるという


・更には、EQ研修の受講者の中には特殊な能力や才能を顕現させた人もかなりの数に上ると噂されてもいる

 しかしながら、そういった人材は政府がスカウトし、極秘任務に就かせている為に表には出てこないのだという


・このEQ研修機構は、新政権体制が行った法制改革によって制定された複数の新特殊法人の内の一つであるが、それら新特殊法人は今も規模を拡大させ、その法人が入居するビルや施設群が都市内や郊外で続々と建てられつつある

 その中には、外見からは用途不明なものが少なからず含まれている事に注目している研究家もいる


・近年日本国内の人口が増えるにつれて郊外や地方の都市や工業地帯が再開発され、また新都市が続々と建設されているが、その都市計画には必ずその新特殊法人による施設群が組み込まれており、更には旧来の市街地の中にも多く散見される

 殆どの場合、建物登記上の用途に合わない設備類が施設内に存在し、中には宇宙基地のような外見の施設も珍しくない


・また深夜帯でも施設が稼働しており、異常な程に多くの人々や車等がその時間に施設へ出入りする所や、更には同じく深夜帯にその施設から見慣れないデザインの自動車やトラック等が出入りする所も幾度も目撃されている

 目撃者によると貨物や人員を運んでいるらしいが、その意匠は既知の車メーカーの何処の車種でもないという

 大概の場合は流線型を呈していたり、材質不明の筐体に覆われていたり、ロボットや重機風の外見のものも存在している

 鉄道と直結している施設では、やはり既存の車両ではない奇妙な形状や編成の列車も出入りしているという

 そして、時々路上でこうした車両が走っていたり、駐車場に停まっている姿も時折目撃されている


 * * * * *


・更に不可思議な点として、ここ近年に於いて急激に増加しつつある日本の人口推移についても指摘されている


・日本の人口は終戦直後から二度のベビーブームを経て、1980年代までに約5000万人増加して1億2000万人となり、それからほぼ横ばい傾向が続いていたが、90年代後半から再び増加傾向を示し始めてから、21世紀に入って急激に上昇し、たった15年で1500万人も増加して2015年には1億4000万人となった

 もちろんこれには海外から正規に来日した500万人程の在日外国人居留者は含まれていない


・海外での一部の人口学者や統計学者は、この近年の急激な増加現象についてはどうしても理論的に説明不可能であり、もしこの現象が成立するには、90年代から現在までに約1000万人もの適齢者を日本へ移民させなければならないという


・また、日本の厚生省等が発行する正式の統計資料からは、一見して特に不可解な点が見当たらないように思えるが、市区町村単位の人口統計データを詳細に計算し直してみた結果、日本全体の人口数と統計の合算値がどうしても一致せず、市区町村単位の合算値に厚生省が発表する日本の全体人口を引くと、やはり約1000万人の差分が生じている


・この約1000万人は実在するのか、もし実在するなら一体何処の出身でどういう人々なのかは、今の所全く不明である


 * * * * *


・また、日本経済躍進の原動力の一つである資源開発にも、一部の研究家達によって疑惑の目が向けられている


・1990年代より日本の領土や領海及び排他的経済水域内に、膨大な量の原油や天然ガスやメタンハイドレートといった、化石エネルギー資源や、また金銀等の貴金属や稀少金属の鉱床も続々と発見され、総量にして数百兆円以上に達している


・これら新発見の資源の本格的な採掘がこの十数年の間に開始され、これにより日本が一挙に資源大国となった事で、ハイリスクでも急いで海外で資源獲得を行わなくても良くなり、逆に日本の海外資源獲得交渉で優位に立てる様になった


・しかし、こうした新資源の発見場所は、日本が1960年代から何度も資源の有無を調査確認していた場所であり、多くの地質学者が、そうした場所で何故最近になって急に資源が発見されるようになったのか説明できないでいる

 特に地上の幾つかの旧鉱山では、閉山となるまで散々資源を取り尽くしているのを確認していた筈だったのが、最近になり再び鉱山内を調査すると今まで未発見だったのが不思議な程の大規模新鉱脈を発見した、といった事例が多い


・それとは別に、日本では絶滅したと思われていた動植物が、やはり最近になって再発見されたという事例も数多くある

 ニホンオオカミやニホンカワウソ等の以前から生存が噂されていた動物や、トキのような殆ど有り得ない筈の事例まで、この20年程に再発見された日本固有の動植物はかなりの種類数に上り、しかも保護管理せずとも自然に増加しつつある


・自然増の事例は既存の稀少動植物でも起こり、特にイリオモテヤマネコやアマミノクロウサギ・ヤンバルクイナ等は、増加しすぎて害獣指定寸前まで至っているし、似た事例は他の離島や僻地の生物群でも確認されている

 こうした動植物は都市部へも溢れ出すようになり、一例として近年の東京や大阪の河川でのホタル類大発生が有名である


・一部の研究家達は、このような天然資源類の急増現象の裏にも何らかの超常的な介入があるのではと考えている


 * * * * *


・またこれは信憑性には乏しいのだが、昔から日本で活動していた研究家達によれば、90年代から国内の都市部や郊外等で、いわゆる超常現象の内、今までに無いタイプで様々な種類の現象が多発するようになったと報告している


・その現象とは主に、低空でのUFOや空中都市様構造体の目撃、妖精や異生物やロボットのような存在との遭遇等であり、主に上記の新特殊法人施設群やその敷地周辺、更には普通の市街地や工業区域、田園地帯でも上記現象が多発しつつある


・原因は何らかの電磁波が脳に作用した結果と思われるが、中にはそれらが実在するのではと考える研究家もいる

 すなわち、もし『c』がこの施設群を管理しているなら、それらもまた『c』によって運用される「何か」であると捉え、そしてこの「何か」が、現代日本での数々の異常な事象をバックアップしているのではないかと推察している


・これも不思議な事だが、現地日本人の殆どはその現象に遭遇しても特に騒がず、日常茶飯事のように捉えているのである




ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー




(7)結び


・以上、ここ近年の世界情勢及び科学技術や宇宙開発の進展において、UFO現象と関連する奇妙な動きが見られており、その中心には日本が存在しているのは間違いないと言えるだろう


・しかし、日本と謎の異星人勢力『c』との間にどのような繋がりがあるのかは、現在のところ全く分かっていない状況である

 この案件に関し、また新たな事実が判明し次第、改めてこの誌面上にて報告する事としたい

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ