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4-8 帰還

「きゃっ」

ゲートをくぐり抜けてロボットの背中の上に着いた瞬間、山科は固いロボットの背中に思い切り尻餅をついてしまった。




「あら、山科さんでも可愛い声が出せるのね」

「まー神崎さんたら言ってくれるじゃーん。

 これでも17歳、ピッチピチのギャルだよー」

「自分でピッチピチって中々言わないけど」

「むー。

 まぁ気を取り直して、ちゃっちゃと仕事を片付けますか!」

と言うなり、山科はロボットの体に手を当てて目を瞑った。


「む、むむむぅ~」

「どうかしら?どうにか出来そう?」

「ん~、やっぱりちょっとココからはアクセスしにくいみたい。

 何しろコイツの図体がデカすぎるからね~

 多分、人間で言う神経の中枢、脊髄とか脳に近い所に近寄らないと駄目かも」

「そう、困ったわね…」


「ん?」

と、山科が何かを見つけたかのように目を見開いた。

「どうしたの?」

「えーと、ロボット内部の図面みたいな奴にアクセス出来たんだけど、どうやらコイツの内部ってやっぱり宇宙船みたいに幾つもの小部屋や廊下みたいなのがあるっぽい」

「じゃあそこに入れたら…」

「そう!神経中枢の所まで歩いていけるかも」


「山科さん、この真下で良いのね?」

「うん、そこそこ」

二人はロボットの背中をしばらく頭側に歩いていき、山科が指差す所に着いた。

「この下に、神経中枢から一番近道で行ける道が通ってるはず。3m真下ね」

「分かったわ。じゃあ山科さん、準備は良い?」

「オッケー」

山科の手を繋いだ神崎は、顔を下に向けて何かを念じ始める。

と、いきなりロボット自体が身震いをするように大きく揺れた。


「わわっ」「きゃっ」

「おっ、神崎さんも良い声が出るじゃん」

「ま、まぁ冷やかしは置いておいて、これは急がないとまずいわね」

その次の瞬間、二人の姿は真下に空けられたゲートに吸い込まれた。




「ここがロボットの中…?」

「そのようね。どうやら廊下みたいだけど」

廊下は全体的に薄暗かったが、それでも天井や側面にぽつぽつとまばらに発光器が付いているので、かろうじて前後が見渡せるような状態だ。

「ふぇー、まるで潜水艦とか宇宙船みたいじゃん。壁一面が訳の分からん機械で一杯だー」

「それもそうでしょうね。このロボット単体で宇宙を自由に航行出来るそうだから」


ここで再びロボットが大きく揺れ、二人は大きく体勢を崩しつつ壁に手をついて揺れが収まるのを待った。

すると廊下の向こうで何かうごめくものが垣間見える。

「やっ、やばい!例の機械虫がどんどん侵食してきてるみたい!

 あっちの方はもう駄目っぽい!」

「山科さん、神経中枢はどっちの方にあるの?」

「うん、幸いにして反対側だから、早く行こう!」

「ええ」


二人は機械虫がやって来ないか辺りを警戒しながら、駆け足で廊下を突っ切った。

「えっと…こっち!」

行く先で十字路になった分岐点を右に向かう。すると再び分岐点に出くわし、それを何度も繰り返していく。

「次はこっち…その次はこの方向…いやあっちだ!」

「山科さん、大丈夫よね!?」

「あはは、ま、まあモーマンタイだよ!」

山科が冷や汗をかきながらサムズアップをするも、それを見た神崎は不安そうに眉をひそめた。




「着いた!ココだよ!」


二人が辿り着いた所は、まるで管制センターのようにコンソールとディスプレイが並ぶ、前後左右で差し渡し十数m前後はありそうな、ちょっとした広間になっていた。

「それじゃ山科さん、早速お願いするわ」

「合点承知!!」

言うが早いか山科は、両手をコンソールの一つに当てて目を瞑った。


「むむむ~」

山科の顔や額に、みるみる間に玉のような汗が噴き出す。

「こんな複雑だとは…なかなか…ムズいじゃん…」


山科の方を不安そうに見つめる神崎だったが、その時に後ろの廊下側で何か気配を感じた。

「…?」

振り向くと、廊下の奥の方から機械虫がまるで津波のように溢れ出し

ガサガサガサと不気味な音を立てながら殺到して来つつあるのが見えた。


「あ…あああ!!」

神崎はさすがに顔面蒼白になりながら、山科に声を掛けようとする。

しかし瞑目したまま集中している山科の姿を見た神崎は考えを改め、意を決した。


(山科さんの集中を途切らせる訳にはいかない…私にも何か出来るはず!)

と神崎は、機械虫が殺到する廊下の方に手をかざした。

(外に解放するゲートを開けて、機械虫を外に放り出せばいい!)


次の瞬間、廊下の先で空色のリングが幾つも花開き、神崎の方に殺到していた機械虫が次々に吸い込まれていった。




『フィムカ』号の上でミサイルや戦闘機の迎撃に勤しんでいた竜司と東雲は、襲来が一段落した頃に、ロボットの真下で何か変なものがボロボロと落ちていくのを見た。


「何だ?なんか部品というかガラクタみたいなのが一杯落ちてくのが見えるが」

「ああ、あれはどうやら機械虫みてぇだな」

「とすると、神崎と山科の作戦はうまく行ってるのだろうか?」

「いや、どうだろう…

 ちょっと俺、ねーちゃんの所に行ってくるわ。東雲は周囲を見張っててくれ」

「おう」


機内に戻ると、明日香がシートの上で今もうなされ続けていた。

「春乃、沙結。ねーちゃんの様子はどうだ?」

「にーちゃん、まだ明日香姉さんは…」

「うにゅ。汗びっしょり」

沙結が手元のハンカチで明日香の額を拭っていた。


「そうか、何か変化があれば教えてくれ」

その次に竜司は、コックピットに座してコンソールを忙しく操作するシアラの方を向いた。

「シアラ、ちょっと訊きたい事があるんだが」

「何だ?」


「まず、あの米軍が持ってるUFOの正体は一体なんなのか知ってるか?」

「UFOというのは、あの戦闘機の事か?」

「そうだ。ありゃどう見ても地球製じゃない、どこかの宇宙人が絡んでるのは間違いないと思うけど、シアラ達は何か知らないのか?それに、例のバイオメカノイド?の事も」

「うむ…」

「いいや、それだけじゃない!

 シアラ達の目的も、あのロボット達の正体もだ!

 一体シアラが地球に来た目的は何なんだよ!?それにあのロボットが”証拠”になるって言ってたけど、その証拠って何の証拠なんだ?それとウチのねーちゃんとどういう関係があるんだよ!?」

「…」


「もうダンマリは通用しないぜ。

 こっちだって、ねーちゃんは大怪我してるし俺達も変な能力に目覚めちまった。もう無関係というわけにはいかないんだ。日本に帰ったら、時間が掛かっても絶対に教えてもらうからな」


「…わかった。約束しよう」




「にーちゃん!明日香姉さんが!」

春乃の呼び声にハッとした竜司は、明日香が横たわるシートに駆け寄った。


「り、竜司…」

「ね、ねーちゃん!!目が覚めたのか!?」


弱々しいながらにはっきりとした声で明日香がつぶやき、竜司はそれに応える。

「なんで…こんな所にみんないるのかしら…

 でも…みんな、私を助けてくれてありがとう…迷惑かけてごめんなさい…」

「いいよねーちゃん、気にすんな!

 さあ、日本に帰ろうぜ」


「ああそうだ…あの『須佐ノ男』号とその眷属達も一緒に日本へ…」

「へ?スサノオ?もしかして、あのロボットの名前は『須佐ノ男』って言うのか?」

「そうよ…今日から私達の新しい家族になるの…仲良くしてあげてね」

「ああ、分かったよ!」


その時、上のハッチから機内へと3人が戻ってきた。


「いやーしこたま疲れたわ~、東雲く~ん、あとで肩揉んでよ~」

「断る」

「あっ!!明日香さん!?目が覚めたのね!!」

神崎が明日香の元まで駆け寄ってくる。


「由宇ちゃん…!」

「明日香さん…本当に助かって良かった…!!」

二人はひっしと抱き合い、お互いの再会を喜びあった。




「さあみんな、すぐに日本へ帰るぞ!

 ワープドライブ起動を確認、発進準備開始!総員直ちにシートに着席!」


シアラの一声で、全員が急いで手近なシートに座った。

「あと明日香さん、目覚めたばかりで悪いがこの薬を飲んでくれ。

 時空酔い止めの錠剤だ」

「あっ、その薬は…」

神崎が何か言おうとしたが、その前に明日香はシアラが差し出すその薬を素直に飲み込んでしまった。


「ロボット…『須佐ノ男』号達は付いてくるかな?」

竜司の問いに、明日香が応える。

「ええ、私達の家に着き次第、彼らは自身を亜空間に隠匿すると言ってるわ」

「へぇー、ねーちゃんは今もアイツらの声が聞こえるのか?」

「それだけじゃなくて、私、彼らの「司令官」になっちゃったの」

「はぁ!?」




そして、『フィムカ』号及び『須佐ノ男』号とその眷属達は

一瞬でグルームレイク上空から、日本の多摩市上空へとワープしていった。

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