トゥーア領 記録石の腕輪
私の手の中にはギルドカードがあり、現在の残金が表示されている。
ルカ親方に支払いを済ませたので、ガッツリと金額が減った。
―――――――――――――――――――――
4,010,244 G
―――――――――――――――――――――
「……」
――先行投資よ、必須アイテムなんだからお金に糸目はつけないのよ! でも、流石に同じ分だけ稼ぐのは、大変かな。まあ、いいや。とりあえず、記録石に位置を記録してしまおうっと。
私はギルドカードを小さく変化させて、服の中にしまい込む。
目指すは、広場である。
広場では、市が開かれている。野菜、魚介類、果物、肉、惣菜的な物、屋台などが立ち並ぶ。それを、横目に通り過ぎて、噴水近くまで行く。
ぐるりと周囲を見渡して、何処をワープポイントにするかを考える。
記録石に登録出来るポイントは、街の中では限られているのだ。
邪魔にならない場所かつ、問題の無さそうな場所を探す。
私は腕輪の一石に触れて呟いた。
「位置検索」
記録石として加工されてる魔石は、魔術が加えられているので、簡単な術式のみで発動と、記録が出来る様になっている。
基本記録石は壊れなければ、永久的に使えるものでもある。
触れている記録石がチカッと光り、小さな光の球体がひゅんと飛び出て、まるでハチドリの様な軽快な動きで、何かを探す様にクルクルと飛行し、地面にスレスレに停止して明滅する。
「そこか」
私にその場所に立つ。爪先には、チカチカと光る球体。
腕輪をしている手を下へと翳す。
「位置固定」
球体の光が環の様に広がり、直径1メートルくらいの波状になると自動的に魔法陣が構築されていく。
「位置記録」
地面に吸い込まれる様に、魔法陣が沈み込んだ。そこから、小さな光が飛び出して来て、出て来た記録石にまた戻った。
これでワープポイントが出来た訳である。後は王都の何処かで適当にセーブポイントを作れば、往き来が楽になる寸法だ。