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トゥーア領 冒険者ギルドへ行こう

「レスティーナ、起きて」

 アレクサンダーの声が聞こえる。

「う……うーん?」

「ティーナ、今日は出掛けるんだよね? 早く起きないと、捕まるよ」

 ぺしぺしとアレクサンダーが、私の頬を叩き告げてくる。もぞもぞするだけの私。だって、眠いんだもの。

「ぅ……んん……」

「しょうがないなぁ……」

 アレクサンダーが、私の頬を両手で包むのが分かる。そっと体を寄せて来る。

「んー?」

「レスティーナ……起きてくれないとイタズラするよ?」

 耳元で何時もよりも、低く腰にキそうな、声をアレクサンダーは出す。そして、額や耳にチュッとキスをしていく。

「Θ☆*★×∂ゑΨ!?」

 一瞬で眠気がぶっ飛ぶ。がっ! と、目を開けると麗しのアレク様が、キラッキラッな微笑で私を見詰めている。

「おはよう、ティーナ♪」

「おおおおはよう、ございます、アレクさま」

 アワアワしながら、私は挨拶をするのだった。



――――と、まぁ心臓にはあまりよろしくない起床方法(色々な起こし方を試したら、アレが効果抜群だった。以来、寝汚い状況の私に対しては、容赦しないアレク様である)で起きた私達は、領主街プラータ冒険者ギルドに来ています。


 服装は冒険者らしく、ズボンにチュニックの上衣と、フード付きのローブと、そのローブの下、腰には魔導銃と、弾丸の入ったウエストポーチ。装飾品は、神様から貰った指輪のみである。極々普通の冒険者な出で立ちです。ある意味超レアアイテム持ちなので、普通じゃないけどね! (笑)


 目の前には貼り出された、沢山の依頼内容書。私はそれらをざっと眺める。あまり遠くに行かなくても良い依頼を探す。


 とりあえず、差し引きゼロでも構わないのだ。スキルのレベルアップ為と、神具の使い勝手を試す為の目的があるのだから。

 後は一年ちょいと言う、久し振りの戦闘だから安全面は確保しなくてはならない。体もそうだけど、感覚も鈍っているだろうなぁ……。


「どれが良いかなぁ」

 モンスター退治から、薬草採集まである。



―――――――――――――――

 受付番号、F856


 解毒薬の素となる薬草採集


 アンディーブ草

 必要な部位。花、茎、根。

 20束は必要。


 主な生息地 森、草原。


 成功報酬 2000G


―――――――――――――――


「よし、これにしよう」

 私は窓口へと足を向ける。

「すみません」

 受付担当者に声を掛ける。担当者の女性は、冒険者ギルドの職員制服を着ている。

「はい。依頼受注ですか?」

「ええ、F856を受けたいのですが、大丈夫でしょうか?」

「あぁ、薬草採集のですね。定期の依頼モノですので、受注可能ですよ。ギルドカードの提出をお願いします」

 横の上の棚からA5サイズの依頼書の控えであろう用紙(裏には魔方陣が描かれてる)と、同じ棚の下の棚からは、管理用の魔法具を出してくる。

「あ、はい」

 私は首にかけている鎖を引っ張り出す。先に付いている、ギルドカードのドッグタグをトントンと突っつき、本来の大きさに変化させる。そして、それを担当者に渡す。

「お預かりします」

「あ、あと、レンタルの帰還用の記録石をお借りしたいのですが……」

「ここに戻る記録石でしたら、1000Gとなりますが、そうしますと、あまり実入りが良くないですよ? 個人的には、他の依頼を受けた方が良いと思いますよ?」

「あー、はい。久し振りのクエストで、リハビリを兼ねてますのでそれで良いんです。行きは兎も角、帰りに時間を掛けたくないので、探索などもしたいですから」

「なるほど、それでしたらその方が良いですね。最近は少し強めな魔物も出てきたとか言う噂もありますから、気を付けて下さい」

 そう会話しながら、担当者は真ん中の棚にある木箱を開けて、記録石らしき透明な石を出してくる。管理用の魔法具の上に依頼書、ギルドカード、魔石を載せる。白くそれらが光ると完了の合図で、依頼書と、管理用の魔法具を担当者は元の場所へと仕舞う。


「では、依頼の受注と、帰還用の記録石のレンタルが完了しました。レンタル料金は、前払いなので、差し引かれてます」

 担当者は、ギルドカードと透明な魔石を私へと差し出しだ。

「有り難う御座います」

 それを受け取り、ギルドカードはドッグタグにして首にかける。記録石はウエストポーチに仕舞う。


「無事の御帰還をお待ちしています」

 折り目正しく、頭を下げる担当職員であった。

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