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さぁ、ざまぁタイムだ! 2

 光が消え失せ、王子の側に現れたのは、やはりカスト国王陛下と、ヴァルーヒン宰相の二名だった。

「これは……?」

「……ここは?」

 キョロキョロと挙動不審に、辺りを見回す二人。


 我が子である王子をみとめると、少し安心したのか相好を崩す。

「カイン?」

 カスト国王とは逆に、訝しげに王子を見詰めるヴァルーヒン宰相であった。カイン王子に寄り添っているアデリアを一瞥した上でだ。

「……カイン王子?」


「父上と、宰相がなんでここに?」

 意味が分からないと言う風に、声を上げるカイン王子の次の言を言わさぬ様に、ニャーと祭壇にいる白猫が鳴き声を上げる。全員の視線が集まると。


『妾はケレス』

 室内に聖癒神ケレスの声が響く。白猫の口が動くが、四方八方からも声がする。

『その者達は、妾が喚んだのじゃ』


 伝令鳥がバサバサと、六枚羽根を器用に動かし自己主張した後に、管理神バルキリーの声も響く。

『我が名はバルキリー。管理神の名において、裁きを与える。汝らはロキの与えし神具を使った。神具の呪は破られた。故に、汝らは代償を捧げよ』

 朗々と告げる神威の帯びたバルキリーの声が響き渡る。


「「なにッ!?」」

 ギョッとするのは、当事者である国王と宰相。みるみる内に顔面蒼白になっていく。


『あぁ、そなたらを唆した盗神ロキもこの場におるぞ。そうであろう? ロキよ』

 そう言うと、聖癒神ケレスの化身の白猫は、ギリギリと爪を食い込ませて黒ネズミを締め上げる。

『……ぐぇ。イテェ……あー、俺様が盗神ロキだ。ったく、ドジりやがって。まぁ、勝算低いだろうとは思ってたが、意外と粘ったかもなー』

『ええぃ! ギャンブルするのであれば、己の契約者のみにせよ! 妾の愛し子を巻き込むでない!』

『ギャ! いてててててて! 刺さるっ! 刺さってるッ!』

 容赦なく白猫は、黒ネズミに爪を刺し続けた。伝令鳥はぐりぐりと踏みつけている。

『さて、ロキよ、神具に掛けられたの術により、汝も代償を捧げる対象だ。何を捧げる?』

『……俺様を契約神とした時に使える、固有スキルを与える。クローキング、解錠、スティール、毒解析、罠解除だな。神具の呪解除で、彼奴らが奪われるのは、ステータスのポイントの献上だ。持っているステータスから、三分の一が呪の対象者に与えられる。ま、これは前もって言ってあるがな。現時点で、二人分で400位だな。あ、レベルが上がって増えたら、そっからも勝手に差し引かれて、追加されるぜ。全部終わったら、後でギルドカードを見ると良い。色々付与されてっから』

 諦めた様に、ロキの化身の黒ネズミはじたばたするのをやめて、べちゃっと弛緩して前足でテシテシ祭壇を叩いている。


『妾の愛し子よ、妾はもっと代償を獲ろうと思うが如何する?』

 怒りがおさまりきらないのかそう言い放つ、聖癒神ケレスにそう問われた私は、考えながら答える。

「えぇと……私とアレクサンダーが受けた、月日と同じ分だけの報いを願います。大事なものを奪われ、別たれる悲しみをキッチリ認識して反省する様に願います。命を代償にはしないで欲しいと思います」

 実際、命を奪ってまでの、代償レベルとは断言出来ないし、ステータスの間違った振り分けは、さっき言ってた分で補填出来る。

 また、五つの追加スキルの加護を貰えるのであれば、ダンジョン攻略をする時にお役だちで帳尻が合う。これならグチグチ後々言うよりも、建設的だろう。


 問題は、アレクサンダーの方だ。

「ねぇ、アレクはどうしたい?」

「母たる聖癒神ケレス様、管理神バルキリー様に申し上げます。彼等が自身が持つもので大事なものを奪って下さい。僕がティーナと別たれた歳月分キッチリ苦しんで貰います」

 笑顔で言うアレクサンダーの瞳は、冷々としていた。


『よかろう。この者共の大事なものを同じ歳月分、別たれるとしよう』


「「ひいいいぃ!!」」

 震え上がる大の男二人。何て言うか、情けない。


『受け取るが良い!』


 ピシャーーンッ! と、雷の様に電撃が二人の上に落ち、悲鳴が上がる。


「「ぎゃああああーーー」」

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