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「止まれ」
「痛い目にあいたくないよなぁ?なら大人しくするんだな!」
1度死んでから異世界に飛ばされ、最初の出会いが盗賊というのはなかなか残念だ。
申し訳程度に丸腰ながら戦闘の構えをそれらしく取るが大人の腕力の前には屈するしか選択肢がないのだ。
「歳は9から11といったところか、髪質も顔も上等だ」
「黒目黒髪とか、高級品じゃねーか!捨て子かあ?勿体ねえなあ」
「落ち着け!丁重に扱え!てめえらぜってえにこの坊主に傷をつけるなよ!」
「奴隷相場でいくらぐらいになるでやんすか?」
「そうだなあ…少なくとも金貨5枚は堅い、こいつはとんだ拾い物をしたぜ」
「さあ坊主、こいつを飲め。…よーしよしいい子だ。利口な子はお兄さん大好きだ。」
ゲヒヒヒヒヒ!と一斉に笑う一味。バンダナに隠れた口元は醜悪に歪んでいるのは想像に難くない。
ますますこの容姿が憎たらしい。黒目黒髪はどうやら希少価値が高く、このままだと待ち受けているのはおそらく会話からして奴隷生活。
(薄暗い馬車の中でこの先どうなるのか怯えながら行くとは幸先ついてないなあ…)
丁寧に扱ってもらえたのか、毛皮のコートを羽織れたのが不幸中の幸いだった。
毒でも盛られたのか、遠のく意識の中で震える身にコートを羽織り、馬車に揺られていった。
薄暗く、泣き出しそうな空の下で馬車は駆けて行く。