2
はじめは、こいつが神かと思った。あいにくこれといって信仰心があった訳でもなかった。どうでも良かった。ただ言うなれば人型でとても美人なのは神故の造形美なのだろう。
問題は彼女の発言にあった。
「わたしは君の知るような神ではない。人の祈りをたやすく聞き入れるような神は想像の産物でしかない」
「わたしはランプをこすれば願いを叶える俗物でもない。あんな器用なこともできない。」
「だがわたしは始めることはできる。君を軸にして始めることにする。」
どうやら神はいるらしい。だが彼女?の口から出てくることはよく言えば人智を超えた、悪く言ってしまえばまさしく理解できない内容だった。驚きが隠せない俺をよそに神は続けて言った。
「正直つまらないものを作ったと思った」
「非凡さのない人生に価値はない。君は腹から生まれてからその目を閉じるまで何一つ目を惹くようなものがなかった。」
「非凡さを今度は入れる。まず世界から」
待ってくれよ。俺の人生に価値はないだと?ふざけんなよ。平々凡々な人生の何がいけないんだよ?
そんな俺の悲痛な、文字通り魂の叫びを無視してソレの話は続く。
「君が次に生まれる世界の摂理をいじくる。わかりやすく言えば剣と魔法の世界。死と隣り合わせの世界。」
おいおい待ってくれよ!俺の、俺自身の意思はないのかよ?ふざけてやがる…
「無能力のクズが野垂れ死、うんツマラナイ。どうせなら異質な能力が欲しい。うんそうしよう、それがいい、その方が楽しい。」
俺は神への無力さを実感しつつ、嬉しそうに俺の人生プランを立てていくソレに怯えるしかなかった…