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その何もない味気ない空間でソレは言ったんだ。
「あなたは死んだ。やっと次の転生へ進める。」
その声に悲しみはない。むしろ滲み出る好奇心とも取れるような口調に俺は不思議な印象を持った。声の主は神様なんだろうか。
「わたしは」
その姿があらわになるのを
「君が思うような神様とやらではない」
ぼんやりと眺めているような、そんな気分だった。特に思考が回るわけでもなく、「へえ」と相槌を打つだけで無限の時間が流れていくように錯覚した。
ゆっくりと、転生へ進んでいるのだろうか?床で仰向けになって見守られていた記憶もある。未練も特になかった。
要するに、己が死んだ後などどうでも良かった。
暇を弄びながらここは天国なんだろうなあとぼんやりと考えていた。
当然何もない場所にソレが現れたなら見るしかない。見てどうかしようとも思わない。
これが輪廻転生の迎えかなあとぼんやりと考えていたのだ、ソレが奇怪なことを言うまでは。