第8話 検査
10000pv突破
俺はエルシオンに冒険者登録をしに来ていた。
「すみません、町に入りたいんですが」
俺はそう門の前に立っている衛兵に話しかけた。
「そうか、では身分証明書を見せてくれ」
やっぱり必要か………。 でも俺、身分証明書持ってない。
「あの~、すいません。俺、身分証明書無くしちゃって」
俺は恐る恐るそう訪ねる。
「なんだと! 身分証明書持ってないのか?」
衛兵は驚いた表情をうかべた。
「やっぱりいけませんかね?」
「いや、そういう奴はたまにいるからな。ちょと待ってろ。今から、『真実の宝石』取ってくるから」
身分証明書無くす奴居るんだ。俺くらいかと思ってたぜ!
そう言うと衛兵は奥の部屋に入って行った。
それはそうと、『真実の宝石』か。聞いたこと無いな。
一体何のこと何だろう?
「悪い悪い、待たせちまったな。こいつに手をかざしてくれ」
そんなことを考えていると衛兵が奥の部屋から出てきた。
「すいません、これ何ですか?」
そう言いながら俺は衛兵が持ってきた宝石を指差した。
「お前……、マジで言ってるのか?」
「マジです。これ何て食べ物ですか?」
「いや、食べ物じゃねえよ! どっからどう見ても違うだろうが!」
「はい知ってます」
「なら言うな!」
言ってみただけです。
衛兵は溜め息をついたかと思うとやれやれ、といった感じで説明を始めた。
「簡単に説明するとな、これを使った奴の犯罪歴やなんやらが解るっていう優れものだ」
「それは凄いですね」
「ああ……、こいつを作った奴は天才だよ」
えっ! これ作ったの!? マジで!
「どういう仕組み何ですか?」
「いや、俺には詳しいことはわからん。とりあえずこれに手を置いてくれ」
俺は言われた通り『真実の宝石』に手を置く。すると少しの時間が経つと『真実の宝石』の中で青白く光る球が弾けた。
「よしっ、通っていいぞ。身分証明書ないから通行料 銀貨一枚枚払って貰うんだか、それで良いか?」
「はい」
そう言うと俺はポケットに手を突っ込みなけなしのお金を渡す
「確かに。それはそうとお前さんの風貌はちとばかし浮くぞ」
「えっ!」
今の俺は何処にでも有りそうな皮の部分鎧、腰には王城から取ってきたありふれた鉄の剣を身に付けており、その上からフード付の黒いコートを着ている。
……どこにも目立つ要素はないと思うんだけどな。
「いや、お前さん黒髪だろ。うちの町にはなかなかいないんだよ。フードを被っといた方が良いぞ」
へぇ、黒髪って少ないんだ。覚えておこう。
そう言われた俺はフードを被った。
「俺はエドワード。よろしくな!」
「俺はユート。こちらこそよろしく!」
俺たちはそう挨拶を交わした。
「それじゃあ、ようこそ、エルシオンへ!」
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