第6話 解散
頑張って書き上げました。可愛がってください。
薄暗い部屋の中、キンキンと硬質な音が響き、まるで流星のような輝く剣閃が舞う。
長谷川はボスのリザードマンキングに止めを差すべくスキルを発動した。
「『聖斬』」
長谷川が剣を振り抜き、光る斬激を放つ。
しかしリザードマンキングはひらりと長谷川の斬激を避けてしまう。
斬激はそのまま真っ直ぐ飛んでいき俺に直撃しそうになる。
えっ?
俺は必死になって斬激を避ける。
しかし俺の後ろには女子生徒が居たため長谷川の攻撃が直撃してしまう。
「きゃあ!」
斬激が当たった女子生徒は叫び声を上げ、腕から血を流しその場に踞ってしまう。
チィ、長谷川の馬鹿野郎が。
しかし長谷川はそれを無視しスキルを放つ。
「『聖刃』」
長谷川の剣が青白く光り、長谷川の姿がかき消える。リザードマンキングを見ると長谷川の剣が胸を貫いていた。
リザードマンキングは長谷川を振りほどき、貫かれた胸を押さえて、苦しげな叫び声をあげる
「グラァァァァアアアア!」
数秒後、リザードマンキングの身体は光の欠片となって霧散し、ボス部屋が光に包まれた。
◆ ◇ ◆
数分後、俺は長谷川から罵倒されていた。
「なんだよ、長谷川」
「神崎くん! どうして彼女を助けなかったんだ!」
長谷川はまるで俺が完全に悪いというくらいの勢いで言ってくる。
「どうしてッ、彼女を守らなかったんだッ!」
面倒だなぁ、こいつ。
「はいはい、俺が悪かったですよ~、すいません」
「なんだその態度は! ふざけるなッ、どうして彼女を助けなかたんだッ!」
そう言うと長谷川は俺の胸ぐらを掴み持ち上げた。
この時、俺の中で何かがキレた。
……何なんだよ。
「……黙れ」
もういいや、面倒くせぇ。
「放せよ、全て人に擦り付けるようなヤツとこんな茶番やってられっか」
「ッ! 勝手にしろ!」
そう言うと長谷川は俺を地面に投げ捨てた。
◆ ◇ ◆
俺は城に戻った後、旅に出る準備をしていた。
「さて、まずはどこに行くか?」
俺は図書室から持ってきた地図を広げた。
「ここから一番近い町は……、エルシオンか。えーと何々」
『エルシオン』……ギルド本部がある町。人口数千人で活気のある町である。
「じゃあまずエルシオンに行くか。そうすると出発は明日の明け方だな。なら今日は早めに寝ないとな」
そんなことを考えていると、コンコンとドアがなった。
こんな時間に……。
面倒くさく思いながらも俺はドアを開けた。するとそこには澪華が立っていた。
「どうしたんだ、こんな時間に。取り合えず中に入れよ」
「う、うん」
俺は澪華を部屋の中にいれてイスに座らせ、俺はベッドに腰かける。
「で……、こんな時間に何のようだ」
澪華はまっすぐな瞳で俺を見据える。
「単刀直入に言うよ。……悠斗くん、明日ここから出るつもりだよね」
なっ、こいつ気付いてたのか……。
「……ああ、明日の明け方エルシオンに行くつもりだ」
俺は驚きを顔に出さないようにしながらそう返した。
「そう……」
俺がそう重々しげに言うと澪華は悲しげな表情になる。
「明日は早いからな。もういいか?」
俺がそう言うのと同時に澪華は何かを決心したような表現になった。
「……悠斗くん、私も連れていって」
「……ダメだ。危ない目に合わせるわけにはいかない。解ったらさっさと部屋に戻れ」
そう言うと俺は澪華を強引に部屋の外に押し出した。
俺は澪華を部屋の外に出した後、壁に寄りかかる。
「はぁ、我ながら凄いヘタレだな……」
そう俺は深々と溜め息をついた。
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