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第4話 蹂躙

1000pv突破しました!

 一ヶ月後、ダンジョンへ行く前日、訓練場で俺は長谷川と訓練をしていた。



 ……いや、一方的に蹂躙されていた。



「ふっ!」



 俺は木剣を手に相対する相手、長谷川に振るう。



 しかし俺の渾身の一撃は長谷川が手を当てるだけでいとも簡単にいなされる。



 俺は大きく体制を崩しそうになるが、何とかバランスを取ることに成功する。



「遅いんだよねっ! 無能くんっ!」



 しかしそんな俺の隙を長谷川が見逃す筈もなく、あっさりと剣を叩き付けられ壁まで吹っ飛んでいく。



「がはっ!」



 肺に溜めていた空気が一瞬で出てきて、呼吸が一瞬出来なくなり、右腕に激痛が走る。



 右腕を見てみるとあらぬ方向に折れ曲がっていた。



「がぁぁぁ!」



 クソッ、痛ぇ。



「はぁ、ほんと君って弱いよね。弱い者いじめしてるみたいで気分悪くなるよ」



 そう言いながら長谷川が近づいてくる。



 ヤベェ、立たないと!



 そう思うが特に抗うことも出来ず、長谷川に腹を蹴られ宙を舞う俺を嘲笑するクラスメイト。



 内心、長谷川を罵倒するが、相手に伝わる訳もなく、俺は蹂躙され続けていく。



 数十分後、俺はようやく解放された。



 やっと解放された俺は治療室で雑な治療を受け、治療室から追い出された俺は自分の部屋に向かっていた。


 ここに来てから俺への対応はお世辞にも良いとは言えないものだった。


   まず王城の人間。 さっきの治療室の人もそうだが、メイドや執事も俺に対してはあんな感じだ。


 他の勇者が頼めば、二つ返事でやってくれるのに俺が頼むと、自分でやれよみたいな答えが返ってくる。


 だから部屋の掃除は自分でやらなきゃだし、必要な物があれば自分で用意しなければならない。


 だったら何故ここに住み続けているのか?


 なぜならここには『最低限の衣食住』が存在するからだ。


 ちなみにシルヴィア姫も俺がハブられていることを見てみぬ振りをしている。


 だから彼女も敵だ。 もうこの王宮に俺の味方は居ないのだ……。



 ……いや一人だけいた。



 俺は前を見ると勇者の内の一人である篠崎澪華がいた。


 彼女が唯一俺の敵じゃない人だ。


 澪華は俺を見ると血相を変えて走りよってきた。


「悠斗くんっ! またなにかされたの!?」


「……訓練だよ」


「でもその傷は……、また長谷川くんになにかされたの? 私から注意しておくね?」


「澪華……、俺は大丈夫だから。関わらないほうがいい」


 そう言うと俺は自分の部屋のドアを開けた。


「……また明日な」

 

 俺は自分の部屋に入っていく。


 俺が部屋に入った後、澪華が悲しげな表情をうかべながらこうこぼした。


「悠斗くん……、私には……何もできないの?」


 その言葉は夕闇に溶けていった。




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