95/104
094
金華猫の手が、露草の白い喉に触れた瞬間、蘇芳の目の前は真っ白になって。
けれど向う見ずな行動をとる前に、頭の中で声が響いた。
『勝手に動くな。馬鹿娘!』
「だって、露草が!」
『直ぐに喰えるほど、あいつの防御は安くねぇよ』
「でも!」
『まともに考えろ! お前が闇組に突っ込んで首の骨でもおられたら小僧は如何なる!』
びくりと身を震わせた蘇芳に、白銀の声は冷ややかに渡る。
『おい、偽善者。お前は、小僧を助けたいのか? それとも小僧を護る自分を護りたいのか?』
蘇芳の視界に唐突に色が戻ってきて、蘇芳は露草と山吹と鈍と、それから此処にいない鴇や海松、木路蝋たちを思う。
そして白銀と織を思った。
「…りたい」
『あ?』
「護りたいです。私の世界を」
蘇芳が呟いた途端、露草の叫びが部屋に響いた。




