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「くっ」
身体に力が入らないのに、首だけがしまっていく。
露草はもがこうとして、力無く腕が落ちるのを感じた。
どうしたら良いだろう。
伽羅は、一体どんな隙を夢獣に突かれたのか。
「(僕の馬鹿)」
あれだけ近くにいたのに、少しも気付かなかった。
これで夢獣使いの家系だというのだから、笑わせる。
木路蝋に何と言われるか。
「(本当、有り得ないよ)」
床に転がった山吹や鈍を虚ろな瞳で眺めていた露草は、ふと指先が何かに触るのを感じた。
かさり、かさり
蘇芳に向かって喋る夢獣は気付かない。
漸く落とした視線の先で、鴇からもらった何かがふわりと羽ばたいたように見えた。
それが夢獣の死角から一直線に教室を出ていくと、何故か露草は無性に腹立たしくなって、残った力をかき集めるように息を吸う。
関係のないはずの鴇でさえ、あんなに協力的だというのに。
「ちょっと、馬鹿神!この元凶!好い加減出てきなよ!なんとかしろ!」
露とも感じられない気配に、露草は言葉が掠れるのも構わずそう叫んだ。




