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あいろこいろ  作者: カラクリカラクリ
本編
89/104

088*

乾いた笑いが口から零れる。

世界っていうのはどうしてこう、ままならない。


伽羅が限界を感じ始めたのは高校に上がってすぐだった。

中学の間は、向かうところ敵なしだった。

それでも、驕りもせずに鍛錬してきたつもりだった。

それなのに、がくんと目に見えて勝てなくなった。

勉強は平均より下。

運動もそんなに得意とはいえなくて。

容姿だってやっと人並み程度。

唯一誇れるものが、空手だった。

伽羅を形作るもので、伽羅を世間と向き合わせてくれるもの。

それを手放すわけには、どうしてもいかなかった。

そんな時、声が聞こえた。


『ずっと、勝ち続けていたいのね』

『私の願いはひとつだけだから』

『協力してくれるなら、叶えてあげる』

『貴女の望む夢を、ずっと見せてあげる』


「本当に、叶えてくれる?」


畏れることも、訝しく思うこともなかった。

伽羅は、答えてしまったのだ。

強いふりをした仮面の下で、本当は伽羅はどこまでも弱い。

けれど、それを知っているのは、その時まで伽羅一人だけだった。


『勿論。貴女が協力してくれるなら』

「いいわよ」


伽羅がその存在が何なのか知ったのは、その後の事だ。

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