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あいろこいろ  作者: カラクリカラクリ
本編
82/104

081*

蘇芳の横顔に浮かんでいるのは焦燥だ。

まるで、兎を喰らったあとのようだ。

あの後蘇芳は、まるで喪に服すかのように外出を止め、ずっと一室に引きこもっていた。

あの時、木路蝋に引きずり出された蘇芳は、やっぱりあんな顔をしていたのだ。

どうして良いかわからないような、何かを後悔するような。

露草と違い、教室の後ろのドアから入ったらしい蘇芳は、奥に倒れている少女を抱き起していた。

ちらりと見えた顔は、露草も良く知っている。


「山吹! 山吹、しっかり」

「無駄だ」

「そんな。だって」


そして、男と露草の間で身を起そうとしている少女も。


「っ」

「立ち上がる気か?」


宙に手を上げた男に、露草ははっとして男と少女の間に割り込んだ。


「ちょっと、何やってるわけ!?」


挑むように男を睨んで、露草はさっと少女を庇うように手を上げる。


「邪魔だ」

「退く訳ないだろ」

「つゆ、チャン?」


背後でゆるゆると顔をあげた伽羅に、露草は男から視線を逸らさないまま、ちらりと流し目を向けた。

身体的に怪我はなさそうだが、頭に添えられた手と酷くゆがめられた顔が、伽羅の様子を物語っている。


「あんた、何やってるわけ?」


直接の面識自体はなくても、露草はこの男の事を知っていた。

なにより、つい先ほどまで


「本当は、あんたが黒幕だったわけ? 鈍先輩」


露草が睨みつけると、宙に手をあげたまま鈍は僅かに目を細めた。

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