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あいろこいろ  作者: カラクリカラクリ
本編
67/104

066*

ふわりふわりと雲が流れる。

屋上には人影が一つ。


『まだ動かないの?』


唐突に聞こえた声に僅かに眉を顰めることで答えると、その声は不機嫌に唸った。


『良いじゃない』

「よくない」

『良いわよ。これ以上待って、一体何の得があるの?』


姿は見えないのに聞こえる言葉を不思議に思うでもなく、けれど何も答えずにいれば、その声はますます苛立ったように声を高める。


『約束したじゃない』

「解ってる」

『解ってるなら、どうして動いてくれないのよ。あんな不適任者に消されるなんてまっぴらだわ』


わんわんと耳の中で声が響くような気がした。

実際その声が本当に耳朶を揺らしているのかは、誰にもわからないのだけれど。

軽やかに身を起して、目を細めた。

時間が戻っても、多分同じことをしただろう。

だから、もう次の一手は決まっているのだ。


「行け」


その一言を待っていたように、響いていた声がぴたりと止まった。


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