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「お前は、あいつにどうなって欲しいんだ?」
生誕祭の宴会の時、木路蝋に尋ねられた言葉が、露草の耳の奥で不意に蘇る。
「どういう意味さ」
「言葉通りだ。お前が、あれに護られたくないのは解ってる。だから、その後。護られなくなった後の話だ」
木路蝋の言葉の意味が解らなかった。
眉を顰めた露草に、木路蝋は呆れたように目を細める。
「今、あれはお前の護衛としてこの家に必要とされてるわけだ。で、その存在理由が無くなったあと、お前は、あれとどう距離を取るつもりなんだと聞いてるんだよ。一切合切縁を切って、離れるつもりなのか?」
「存在理由なんか、いらないじゃないか。幼馴染が遊びにきて、何が悪いのさ」
蘇芳がただの少女になれば、ずっと言えなかったことが伝えられるはずだと、露草は単純にそう思っていた。
「単純」
「褒め言葉、とは思えないんだけど」
「褒めてないからな」
だから、ため息をついた木路蝋が、声を落として語った蘇芳を引き取るに至った経緯は、露草を打ちのめしたのだ。
『帰る家のないあれが、幸せな日常の子どもに戻れると思ってるなら、お前は随分お気楽だな』




