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しかし夢獣の勢いは、我々が予測した以上であった。
夢を吸い付くされ、廃人のようになる者。
夢獣に操られ、次々と獲物を探させられる者。
それは呪詛の生き物であり、それは同時に呪具であった。
エネルギーを得、増殖する彼らに対抗するには、道法使の数が少なすぎたのだ。
我々は夢獣を弱体化させるために才能を持った若手を集めた。
取り揃えた子どもたちの中の一人の稀有な人物によって、われわれは一端は夢獣を退けた。
彼女は夢獣を引き寄せる力を持ち、同時に喰らった夢獣から知識を得ることで、夢獣の行動パターンを把握し、効果的に祓いを行うことができたのである。
同じような子どもを求めたが、当代ではついに得ることができなかった。
いつかこの書物を見つけ出したものが、怖ろしい夢獣を滅ぼしてくれることを切に願う。
そう締め括られた和綴じから顔を上げると、木路蝋が少しだけ目を細めた。
「どうだ?」
「この少女の再来が、私であり露草だと?」
「お前は、候補になかった」
「木路蝋は、あまり人を、特に君みたいな子を巻き込むのは反対だったんだ」
くすりと笑った十文の頭を叩いて、木路蝋はふいと視線を逸らす。
「いたた。酷いな、図星を指されたからって」
「図星? 寝ぼけるのもいい加減にしろよ」
「照れなくても良いのに」
素っ気ない言葉に堪えた様子もなく、十文はへらりと笑った。




