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あいろこいろ  作者: カラクリカラクリ
本編
36/104

035


難しい顔をしている木路蝋の前に正座をして、かれこれ20分だ。

露草の家について、一直線にこの部屋を訪ねると、蘇芳や露草が口を開く前に、


「許可を出すまで話し掛けるな」


木路蝋がぴしゃりと言い放った。

それは有無を言わせぬ口調で、仕方なく露草と蘇芳は挨拶もせずに座している。


「なんなのさ、一体」


口の中でぶつくさ呟いて、露草がちらりと視線を投げた。


「あんた、今日は無駄骨に終わるんじゃない? 多分、当分このままだよ」

「露草こそ、先に着替えてきたらどうですか? 木路蝋さんが気付いたら呼びますから」


つられたように視線を落として、露草はため息をついて立ち上がる。


「母さんにも声かけてくるから。あんた、夕飯食べてきなよ」

「え? い、いいです。そんな」

「我に返るの待つつもりなら、その方が効率的だよ」


襖に手をかけて、露草は顔だけちらりと振り返った。


「蘇芳」

「はい?」

「抜け駆けしないでよ」

「はい」


微かに苦笑して、襖が閉じるのを眺めていた蘇芳は、それに合わせてひやりと部屋の温度が下がったことに気付く。


「言いたいことは、はっきりいってください」

「それは、お前だろ」


不意にひたりと捕らえられた視線を外して、蘇芳は唇を尖らせた。


「山吹さんに会いました」

「へえ。そうか」

「実験って何ですか? 夢獣って本当は何なんですか? 初めて説明された時は解りませんでしたけど、今なら解ります。貴方の説明はあやふやな所が多過ぎるんです」

「知って、どうする?」

「強くなります」

「まぁ、帽子一つ護れない護衛じゃ、役不足も良いところだからな」


びりっと背中に雷が落ちたような衝撃に、蘇芳は目を丸くして木路蝋を仰いだ。


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